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2008.03.24

鳥の目で見た正しいマーケティングライン

出典:展コミ / 庭山一郎

効果的な展示会出展のためには、マーケティングから営業までのラインを俯瞰的に見ることが必要です。それぞれの役割をきちんと把握し、効果を出すことが数年先の営業活動をも潤すことになるのです。

リードを集めるところから受注までの正しいライン

連載のはじめにあたって、先ず自分の会社のマーケティングを「鳥の目で見る」ということを書きましょう。
私はBtoBのマーケティングプロセスを箱根大学駅伝の区間に例えて以下のように説明しています。

  • 第1区:展示会などで見込み客リストを集める

  • 第2区:収集したリストを整理し、コミュニケーションしながら絞り込む

  • 第3区:絞り込んだリストに営業が訪問して受注する

  • 第4区:顧客関係を維持し、クロスセル・アップセルを提案する

実はこれは欧米で教えている「BtoBのマーケティングライン」です。第1区が「リード・ジェネレーション」、第2区が「リード・クオリフィケーション」、第3区が「リード・トゥ・オーダー」、第4区が「リピート&クロスセリング」です。

日本では第1区で見込み客リストを集めるためのメニューは数多く用意されています。
展示会や専門セミナーなどのイベントから、リスティングなどのオンライン広告、テレマーケティングをベースにしたキーマンリサーチなどです。しかしこうした手段を駆使しても、途中でタスキが途切れてしまっては何にもなりません。繋がらなければ「売上げに貢献」することはできないのです。

もしタスキが途切れていた場合、それをそのままにしておくと必ず「展示会に出展することが本当に必要なのか?」という疑問の声が営業から出てきます。その結果、マーケティングに必要な予算を十分に確保できず、毎年出展していた展示会に今年は出られない、という企業が多いのです。
ではなぜタスキを繋げないのでしょうか?

なぜタスキを繋げないのか

BtoB企業で第1区(リード・ジェネレーション)の主役は展示会です。
出展が決まり、半年前から本格的に企画がはじまり、2か月前からは業者やノベルティの選定などが本格化します。販売代理店などとの共同出展の場合は、さらにこの企業間の調整に多くのリソースが割かれることになり、担当者の仕事は倍化します。

そして1週間前からはデモのチェックやショートセミナーのリハーサルなどでほとんど毎晩のように徹夜が続き、当日早朝の最終リハーサルの頃には担当者はほとんど緊張感だけで立っている状態になります。弊社のクライアントでも、この時期は疲弊して痛々しく見えるものです。

ですからイベント最終日の夜に搬出を終えてからの打ち上げのビールは本当に美味しいし、その晩は泥のように眠ってしまう人が普通だと思います。

しかし忘れてはならないのは、マーケティングラインで見ればここはまだ「ターゲットリストを集める」という第1区に過ぎないということです。マーケティング部門の人々のミッションは、このタスキを第3区の走者である「営業部門」まで繋ぐことなのです。

待っているはずの第2走者がいない…

本来は次の第2区で、第1区で集めた見込み客のリストを「整える」「コミュニケーションしながら絞り込む」という工程を経て次の第3区に繋がなければなりません。
しかし金曜日に展示会が終わって打ち上げのビールに酔いしれた担当者は、月曜からはもう次のミッションに取り組んでいます。次の展示会、セミナー、キャンペーン、そしてWebやブローシャーなどの制作物…。先週集めた名刺やアンケートは、もう過去の出来事です。入力業者に渡してデジタル化し、メール配信ASPを使って来場御礼メールを出せば、もうこのイベントから解放されます。

この結果、マーケティングラインの第3走者である営業チームや代理店の営業は、競合会社やグループ企業の社員、海外などの営業エリア外の人がたくさん混入し、しかも同じ人が2人も3人も存在する低レベルのリストを渡されるハメになります。
営業部門がマーケティング部門に不信感を持ち、もう展示会など出なくて良いと言い出す原因の多くはこれなのです。

「偶然」と「お人好し」に依存する日本企業

この光景は冒頭の「鳥の目」からは、「イベント担当」という第1走者がフラフラになりながら中継所に入ってきたときにそこに待っているはずの第2走者はおらず、一方遥か彼方の次の中継所では「営業」という名の第3走者がなぜタスキがちゃんと運ばれてこないのかを理解できずに不機嫌な顔をしながら待っている、という悲しい俯瞰図として見えます。

実は日本の多くの企業ではこの問題を「偶然」か「お人好し」に頼って解決しているのです。
「偶然」とは第1走者がタスキを渡す相手がいないので中継所を通過してもなお、フラフラしながら次の中継地点まで走るケースです。そのままでは営業が追いかけてくれないので、名刺情報の精査や、長いアンケートでより有望度の高い見込み客を絞り込もうと努力しているケースがこれにあたります。

一方の「お人好し」とは次の中継所で待っている第3走者が見るに見かねて第2区間の途中までタスキを取りに来てくれるケースです。営業が展示会のブースで来場者を選別したり、営業スタッフを総動員してブースの後ろで名刺を入力している企業などがこれに当たります。デジタル化し、ただちに拠点に振り分けて営業を開始することは可能ですが、元々その企業が持っているデータとの名寄せ(マージ)はできませんから結局多くの無駄を発生させることになります。

こうした「偶然」や「お人好し」があちこちに見られますが、多くの日本企業はこれでタスキが繋がっていると勘違いしているのです。

しかし存在しない第2走者の走るべき第2区は、実は非常に難易度が高く、特殊な機材や技能を必要とします。残念ながら「偶然」や「お人好し」で走りきれる区間ではないのです。

費用対効果を求められる展示会

この結果、展示会で集めた名刺やアンケートは売上げに結びつかないのでは…という疑念をもたれてしまいます。お金は掛かる、人手は掛かる、神経は使う、それでいて案件にも売上げにもならないのならもう出展するのは止めようか、という議論になってしまいます。そして最後はお決まりの「費用対効果のレポートを出しなさい」となります。外資系企業の場合、ROI(投資回収率)で出すことを求められることさえあります。

しかし、マーケティング部門には営業案件や受注の詳しい情報は入ってきません。手に入ったとしても受注総額などの情報程度です。

新規見込み客獲得のために一番有効な手段

こうして経営陣に求められた「費用対効果」のレポートを出せないと予算縮小という運命が待っています。

マーケティング部門はプロフィットセンターではありません。何をするにもお金が掛かります。
Webであればサーバをホスティングしてアップしておけば良かった時代は、もう昔のことです。今はアクセスを上げるためにキーワードを買うなどのSEOをしなければなりません。セミナー受講受付のCGIなども高いレベルのセキュリティ環境にしなければ個人情報を漏洩させるかもしれません。メール配信にはASPサービスを使わないと、社内の端末からは出せません。

つまり何をするにもお金が掛かるのがマーケティングです。特に個人情報保護法が施行されてからは確実にマーケティング部門のコストはアップしています。だから予算を確保すること、そのためにマーケティング活動の売上げへの貢献度を数値化してレポートすることは非常に重要なのです。

展示会はもう年に一回のお祭りではありません。年間のマーケティング計画の中の重要なプロセスなのです。しかも一人ひとりにきちんと利用目的を通知しながら見込み客情報を集めることができる最も効率的な手段です。
展示会に出展できなくなると、その影響は2年後、3年後に営業案件が不足するという形で出てきます。だからこそ展示会の出展予算を守らないといけないのです。

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