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2008.05.23

出展準備(2)〜当日のオペレーションをスムーズに行うために〜

出典:展コミ / 庭山一郎

展示会では、1枚でも多くの名刺を集めなければなりません。そのための当日オペレーションと多くの名刺を集めるための戦略と注意点をご紹介します。

第3回目は、当日のオペレーションを考える上で非常に重要なアンケート用紙や人員配置についてです。

パーミッションのとり方

ブースに立ち寄っていただいた方にアンケート用紙を配布して、営業へ渡すためのスクリーニングに使っていることも多いでしょう。その際に注意しなければいけないことのひとつに、「個人情報利用についてのパーミッション」があります。

個人情報保護法の施行により、多くの企業がこの問題を非常にセンシティブに扱っています。しかし、その多くは正しく理解していないために必要以上に過敏になっているケースが多いのです。その最たるものは、個人情報を取得するときには、コミュニケーションの許可、あるいは許諾を得なければならない、と解釈してしまっていることです。

個人情報保護法第18条に「取得に際しての利用目的の通知等」という条文があります。この条文には、「個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を本人に通知し、又は公表しなければならない」とあります。ですから利用目的を通知しておけば、法律違反ではないのです。

この「あらかじめその利用目的を公表している」は、例えばブース内の目立つところに「このイベントで収集した個人情報は弊社からお客様へE-Mail、Tel、Fax、郵送などで情報提供をする際にのみ利用いたします」と書いたパネルを掲示しておけば良いでしょう。その時はこのパネルの写った写真を撮影しておいてください。後で万が一クレームが発生した時に役にたちます。

しかし、企業のポリシーや社内規則で個人情報の取得にあたっては「明示的に利用の許可をとらなければならない」と規定している企業もあります。その場合には、アンケートの一番下に『情報提供の許可』という項目を設け、チェックをしていただくことが多いのですが、チェック漏れや拒否もしやすいため、せっかく集めたアンケートの大半が「未許可」になってしまい、見込み客獲得コストを極端に引き上げてしまうことになります。

そこで、お勧めしているのはアンケートには利用目的を明記(E-Mail、Tel、Fax、郵送などで情報提供をする際に利用します、等)し、取得後の最初のコミュニケーションの時にパーミッションをとる方法です。この方が比較的拒否も少なくなります。しかし、この時に「どこで私の個人情報を手に入れたのですか?」といった質問がくるケースがありますので、取得履歴をきちんと管理しておかなければなりません。この質問に答えられないと個人情報保護法第25条にある開示義務に違反することになり、明確な法令違反になってしまいます。

アンケート用紙の作り方

パーミッションに続き、アンケート項目も出展担当者を悩ませることのひとつです。一括で大量の情報を取得するのですから、できるだけ有望な見込み客をスクリーニングできるような項目を入れたくなるのが心情ですが、展示会会場で本音を書いてくれる人は少ないものです。ましてや興味深いノベルティを配っていたら、まったく関係ない人でもブースにやってきます。

第2回でも書きましたが、欧米のビジネスショーに比べ、日本の展示会の来場者は、広く浅く情報を集めに来る人がほとんどです。短時間で多くのブースをまわるため、ボリュームのあるアンケートは毛嫌いします。後々データ化する上でも質問項目が多かったり、フリーワードの項目があると、費用が高くなってしまいます。
ですから、できるだけ選択式のアンケートで30秒程度で答えられる量が望ましいでしょう。その時々で変化する項目、例えば「今興味を持っている製品やサービス」などは、データベース化しても後でほとんど使われないムダな情報となることが多いので、すぐに使う情報とあまり変化しないデータベース化する情報とを区別しやすいような作りにすると管理しやすいでしょう。
データベース化する情報は、業種や企業規模、職種など次のアクションの時にデータ抽出のキーワードに使えますので、展示会に限らずセミナーなどでも継続的に収集すると良いでしょう。

しかし、実際あまり正直な回答は望めませんので、信憑性の低いアンケートの回答を得るためにスタッフの労力やブース来場者の時間を費やすより、多くの名刺を獲得することを目標にすると効率的でしょう。名刺には会社名・部署名・肩書き・住所・メールアドレス、WebサイトのURLなどが入っています。こうした基本情報があれば、後々いろいろな手段でデータを肉付けしたり、それによって絞り込んでアプローチすることが可能なのです。

コンパニオン、スタッフの立ち位置

出展担当者はたいてい名刺やアンケートの獲得目標を設定していますが、総来場者数が多いからといって、必ずしも多くの名刺やアンケートが獲得できるわけではありません。いくら社員ががんばって声を張り上げても、ブースの作りやコンパニオンの選定によっては予想以上に少ない獲得数になってしまうこともあります。
人通りの多いところにコンパニオンが立ちやすい(メイン商材の前やスタッフの出入りに影響しない場所)ブースにすることはもちろんですが、スタッフの立ち位置は非常に重要です。誰に何を対応させるか、明確に決めておくことがカギとなります。

  • 要員1:コンパニオン(名刺・アンケート獲得係)
    若さや見た目より、プロ意識を持って名刺を獲得できるかで選定する

  • 要員2:社員(名刺・アンケート獲得係)
    専門知識がなくても、明るく元気な社員を選定。自ら声をかけることができる社員を配置。

  • 要員3:社員(説明員)
    一通り商品の要点をまとめて手短に説明できる社員を選定。専門性が高く聞かれもしないのに多くを語る社員はNG。

ブースの前で人通りの多い場所にコンパニオンを配置し、ブースの前を通る来場者からノベルティと引き換えに名刺を獲得させます。次に獲得係の社員が、コンパニオンが対応できない場所に配置し、対応漏れをカバーさせます。興味を持ってブース内に入ってくる来場者は、説明員の社員に任せましょう。もっと詳しく聞きたいという来場者には、後日連絡する旨を伝え、滞在時間を短くしましょう。そうするとブース内の説明員の数を抑えながらも、多くの来場者への対応ができます。

よく自分の会社のポロシャツやスタッフジャンパーを着た社員であふれるようなブースを見かけますが、あんなブースに入るのは相当な勇気が必要です。ブース内にスタッフが多くいるのは威圧感や警戒感を与える以外の効果はありません。取りこぼしを防ぎ、なおかつ多くの名刺を獲得するために3段階の要員の対応をしてみてはいかがでしょうか?

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