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2018.03.22

グレたAIはマーケターを助けてくれない

text:シンフォニーマーケティング代表取締役 庭山一郎

デジタルマーケティングを語るときに必ずと言って良いほど登場する「AI」。その期待値が高ければ高いほど、役に立たなかった時の失望は大きいものです。機械学習とは「放っておいても育つシステム」ではありません。どうしたら「役に立つAI」に育ち、どうしたら「役に立たない不良AI」になってしまうのか?を書いてみました。

マーケティングの世界でもAIは大人気で、世界中どこのカンファレンスでもメインテーマは「Predictive」と呼ばれる未来予測と、「AI(人工知能)」です。
名寄せやデータ連係などの作業だけでなく、未来を予測することもAIの主要なミッションですから、AIがBtoBマーケティングでどれほど期待されているか判ると思います。
しかし、私はAIが期待に応えてくれるようになるのは、まだかなり先になると考えています。

その理由は、AI自体にあるのではなく、AIに格納する情報の質にあるのです。AIの特徴は言うまでもなく機械学習であり、学習させるためにはきちんとしたデータを大量に、定期的に与える必要があります。
企業と個人の名寄せと正確な紐付け、そして入力や更新のルールが守られた運用によって作られたデータを定期的に与えることで、AIは学習し、正しい判断や未来の予測が可能になります。

しかし、そんなデータがいったいどこにあるのでしょうか?
部や事業部によってSFAの運用ルールやステータスの定義が異なるのはまだ良い方で、中にはルールもなくただ業務日報的に使っているケースもあり、MAもただのメール配信ツールになってしまっている例も少なくありません。BtoB企業で洗練されたデータベースを作り、さらにその状態を維持することは、多くの人が考えるよりはるかに難しいのです。
では、整理整頓していない、ルールも定義も曖昧なデータを与えたらAIはどうなるのでしょうか?

「不良」になります。つまりグレるのです。

今のままだと正しく学習させてもらえずにグレたAIが日本中に溢れ、正しくない判断で営業を怒らせ、とんちんかんな未来予測で現場を混乱させ、最後には電源を止められることでしょう。
私は、プロフェッショナルマーケターの仕事をAIが脅かすことはまったく心配していません。それよりもAIのこんな末路を心配しています。