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2018.05.24

欧米で50代のマーケターが最も活躍している理由

text:シンフォニーマーケティング代表取締役 庭山一郎

欧米ではあまり見られない「キャリアの断絶」。これを乗り越えてナレッジを共有しないと人材の厚みが出てきません。

マーケティングは専門性の高いプロフェッショナルの世界ではありますが、一方では多くの要素が織り混ざって構成されているので、いろいろなビジネスの経験を持っている人が活躍するステージでもあります。マーケティングの先進国はまさしくそうなっています。
それは、海外のマーケティングカンファレンスに参加したことがある人なら、「登壇する人の年齢層が高いな」と感じることに象徴されます。もちろんケーススタディやベンダーのセミナーなどでは若い人も多く登壇しますが、アナリストやコンサルタントは50代、60代の人が最も多いのです。
その理由は「キャリアの断絶が無いから」だと私は考えています。

欧米の先進国でデジタルBtoBマーケティングを牽引している人は、インターネット以前は紙のダイレクトメール(DM)やカタログ通販の世界で活躍していた人ですし、CRMと呼ばれる顧客管理システムが登場した時に真っ先にそれを活用してDMの開封率を向上させたり、カタログの送付先をRFM分析などを活用して選別することで無駄を削り収益を好転させた立役者たちなのです。
紙のDMは、制作費から印刷費、封入封緘手数料から郵送コストまでを含めると1通あたりのコストが200円以上になるのが普通です。上質な紙にフルカラーで印刷するカタログの場合は数千円になることも珍しくありません。こうした高い投資が先行するマーケティングで鍛えられた人々が、1990年代のインターネットの商用化でデジタルサービスを手掛けるようになり、現代の高度なツールを組み合わせたBtoBのデジタルマーケティングを牽引しているのです。

こうしてナレッジが受け継がれている先進国と比べると、日本はかなり断絶しているように見えています。紙のDMやカタログ通販、カタログと訪問販売を組み合わせたり、コールセンターを組み込んで運営した経験を持っている人はデジタルマーケティングの世界には驚くほど少ないですし、印刷の世界には未だにデジタルに拒否感や恐怖感を持っている人が見られます。
広告を中心としたデジタルの世界で活躍している人は、最初からリスティング広告や運用型広告からマーケティングの世界に入っているので確かにデジタルネイティブではあるのですが、冒頭の

「マーケティングには多くの要素が織り混ざって構成されています」

という面から見ればやや偏っているように見えてしまいます。日本が本当にマーケティングが強い国になるためには、こうした世代や専門性の壁を越えてナレッジを共有すべきだと思いますし、人材の厚みとは年齢やキャリアが偏らないことだと私は考えています。

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