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2006.05.29

日本の法人営業の落とし穴は「展示会は量より質」という誤解

出典:「見本市展示会通信」 / 庭山一郎

ここ数年企業が展示会に求めるニーズは「ブランディング」から「見込み客獲得」へと移ってきた。しかしそこには大きな誤算が・・・「展示会での見込み客獲得は「量より質」って間違っているの?

ブランディングから見込み客獲得への急激なシフト

ここ数年で企業が展示会に求めるニーズは「ブランディング」からもうひとつの「見込み客獲得」へと急速に比重が移ってきた。展示会を前にしての広告代理店や制作会社を集めたオリエンテーションでも、アンケートや名刺を集めるだけではなく、集めた名刺をどう「活用」するのか、という部分までの提案を求める企業が増えている。

つまり今まで企業が展示会に出展する目的の70〜80%を占めていた「ブランディング」が急激に「見込み客獲得」に代わってきたのだ。私は非常に健全な変化だと思っている。ブランディングではどうしても費用対効果を算出できないが、見込み客獲得なら明確に計算できるし、検証も可能なのだ。それに何よりも、目的が見込み客獲得ならば費用を削減する時でも「出展するか、やめるか」というゼロサムではなく、ブースの小間数を減らす、ブースの制作費を低減するなどの選択肢が出てくる。例えば弊社ではクライアントが展示会で収集する見込み客の獲得単価を算出してレポート化し、定量的に評価できるようにしている。収集する名刺やアンケートの数が同じでも出展コストを抑えれば獲得単価を削減することは可能なのだ。

欧米のビジネスショーと日本の展示会の明確な違いと誤解

しかし、この見込み客獲得へと急激に変化してきたニーズを取り違えているケースが目に付くようになった。これが展示会を活かせないもうひとつの理由「量より質という誤解」である。

展示会の主催者などが出展者に対しこんな説明をしているのを聞いたことがないだろうか「展示会で集める名刺やアンケートは量ではなく質です、何枚集めたかではなく、何件の案件を獲得できたかで決まります、だからブースには商談コーナーを設けて、量ではなく質を追いましょう・・・」。残念ながら例え法人向けの展示会であってもこれは日本では当てはまらない。

アメリカのビジネスショーはフロリダやラスベガスのコンベンションセンターで開催されることが多い。当然来場者の多くは飛行機を乗り継ぎ、ホテルを予約して2日から時には3日以上かけてじっくり会場を回りブースで真剣な商談をする。全米や世界中から関係者が集まる貴重な「場」になるので当日大型商談が成立することも珍しくない。良い商材を求める商社、優秀な販売代理店を獲得したいメーカー・・・これはヨーロッパのビジネスショーでも同じ光景が見られる。

しかしこうした欧米のビジネスショーと日本の展示会では来場者のモチベーションが大きく違うことはあまり知られていない。

日本の実情を見てみよう。例えば関東圏では大型のビジネスショーの大半は東京ビッグサイト、幕張メッセ、東京国際フォーラム、横浜パシフィコなどの首都圏の会場で開催される。来場者の大半も首都圏からなので、オフィスから会場までの移動時間は片道で30〜50分程度、平均の滞留時間は4〜5時間。つまり午前か午後の半日を使って多くのブースをさっと見て回るという人が大半であり、会場近くのホテルを埋めている予約の大半は出展企業や主催者、広告代理店などの関係者であり、来場者は少ない。来場者は展示会場で今年の各社の雰囲気や新製品情報、トレンドなどを感じとり、付き合いのある企業のブースに顔を出し、新しい情報を「軽く浅く」収集して資料とノベルティを持って足早にオフィスへと帰って行く。欧米とはまったく異なる利用形態とモチベーションなのだ。

だから私は弊社のクライアントに常々「日本の展示会では質より量です」と申し上げている。もし量を集めても実際に見込み客になる人の割合が少ないと考えている展示会なら、それは出展する展示会を間違えたと考えるべきで、問題を解決するにはもっと自社製品の想定ターゲットが集まる展示会を探すべきなのだ。

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