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2006.08.31

B-to-Bダイレクト・マーケティングとは何か Part1〜What is B-to-B Direct Marketing?by Ruth Stevens〜

text:Hiroko Hatanaka

今回は、ダイレクト・マーケティングについて、もう一度振り返ってみたいと思います。前回ご紹介したルース・スティーブンズ氏の論文に引き続き「B-to-Bダイレクト・マーケティングとは何か」についてご紹介していきましょう。

先日、長者番付世界第2位の投資家ウォーレン・バフェット氏が全資産440億ドルのほとんどを、米国最高の資産家であるビル・ゲイツ氏が設立した財団に寄付するというニュースがありました。このニュースを聞いて驚かれた方も多いのではないでしょうか。

慈善事業はアメリカ人の大きな特徴の一つといわれています。ロックフェラーやカーネギーもその一例ですが、彼らの場合、建造物・病院・劇場に自分たちの名前を残しました。ウォーレン・バフェット氏もバフェット財団の設立ができたはずです。

しかし彼は、自分の名前をつけることをせず、その財産をビル・ゲイツ氏の財団に託すことを選びました。多くの米国民がウォーレン・バフェット氏を尊敬する所以はここにあります。

ところで、今日ではインターネットの発展に伴いダイレクト・マーケティングの手段も拡大しています。そこで、ダイレクト・マーケティングについて、もう一度振り返ってみたいと思っています。前回ご紹介したルース・スティーブンズ氏の論文に引き続き「B-to-Bダイレクト・マーケティングとは何か」についてご紹介していきましょう。

ルース・スティーブンズ氏より、彼女の見解を惜しみなく披露いただきました。
今回、次回と2回に分けてご紹介いたします。きっと皆様のお役に立てることでしょう。

B-to-Bダイレクト・マーケティングとは何か。〜by ルース・スティーブンズ〜
Part 1

ビジネス・マーケティングの世界では、一般的にマーケティングの役割、特にマーケティング・コミュニケーションに関して大きな混乱が生じています。実際に、B-to-Bにおける「マーケティング」は、一般的に「マーケティング・コミュニケーション」と同じだと思われています。そのため、マーケターは戦略的な影響を殆ど与えることなく、P&L責任も全くありません。さらに言うなら、彼らはただ販売機能を支援し、コストセンターとしてサービスの役割としての活動を行っているだけなのです。

しかし、これだけではありません。事態はより深刻です。ビジネス・マーケティング(実際にはマーケティング・コミュニケーション)内には、別の混乱の要因があるからです。そもそもダイレクト・マーケティングとは何か、その役割は何か、それを誰が担い、どのように評価し、資金を割り当てるのか。

これらは瑣末な問題ではありません。B-to-B企業がダイレクト・マーケティングをどう定義できるかは、そのスタッフのキャリアや専門性の発展は言うまでもなく、そのマーケティング投資、結果、ROI(投資利益)に対して大きな影響を持つこととなります。

企業が「ダイレクト・マーケティング」を単なる「ダイレクトメール」の意味で見るとすれば、何が起こるかを考えてみましょう。言い換えると、ダイレクト・マーケティング機能をコミュニケーション手段によって定義する場合です。

かつて私のところにいた広告部長は、「勿論、インテグレーテッド・マーケティングをやっていますよ。広告もバナーも、そしてダイレクト・・」とよく言っていたものです。この最後の部分で彼が意味していたのは「認知活動の一部として、ダイレクトメールを送っています」ということです。

彼はマーケティング部門でのダイレクト・マーケティングの役割は、広告を手紙で送ることと認識していました。そのため、彼は企業の認知広告を作成しそれを封筒に入る形に加工して、切手を貼って送らせていました。でも一体誰宛に送ろうとしていたのでしょう?
彼はそれについては全く気に留めていませんでした。

彼はお金を無駄に使っていたのです。一体誰が郵便と言うコストの高い手段を使って、認知広告を送りたいでしょうか。
しかし一層問題なのは、彼がせっかくの機会を無駄していたことなのです。もしターゲティングができていたなら・・・。適切な顧客に対して、購買喚起させる力強いメッセージと説得力のあるオファーが実施できていたなら・・・。最終的に販売に結びついたはずでしょう。

さて、この同じ組織で、バナー広告と言う素晴らしい新手段を導入したとします。これは「広告」、つまりブランド認知活動の延長と見なされました。オファーはありませんでした。「ここをクリック」といった行動喚起もありませんでした。しかし面白いことにこの会社では、印刷物や放送メディア広告を測る追跡調査に対して、バナー広告のクリックスルーレートを計測したのです。そのためダイレクト・マーケター達はバナーの取扱いに対して早急に幾つかの変更(オファーの挿入、行動喚起の追加、1to1への投資)を提案し、キャズムを克服しました。

企業がダイレクト・マーケティングをどう定義するかに、なぜそれほどまでに気にしなければならないのでしょうか。一つにはコストの観点からそうしなければならないのですが、しかし、もっと大きなのは競争力に差をつけるためなのです。Go-to-Market(GTM)戦略で効果的なダイレクト・マーケティングを展開する会社は、他より優勢となります。

従ってダイレクト・マーケティングを構成するのは何かについて、明確に把握することは重要です。その上で、マーケティング・ミックスで機会が来た時に、それに正しく対応できるのです。

Hiroko Hatanaka プロフィール
NY在住。NYの大学でダイレクト・マーケティングを学び、エイボンや英国資本の高級トイレタリーなどのマーケティングを手掛ける。現在はニューヨークの広告&PR代理店であるIWグループに所属。

ルース・スティーブンズ(Ruth P. Stevens) プロフィール
コロンビア大学客員教授。
イーマーケティングストラテジー社 代表取締役。
1986年コロンビア大学経営大学院卒業、MBA取得。タイム・ワーナー社、ジフ・デイビス社、IBM、NatWest Group社などを経て、2000年6月にイーマーケティングストラテジー社を設立、代表取締役に就任。1998年よりニューヨーク大学でダイレクト&インタラクティブマーケティング修士修了プログラム、2002年よりコロンビア大学経営大学院の客員教授。BtoBのデータベースマーケティングの第一人者。