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2006.12.15

はたしてMySpaceは日本市場で成功できるか Part1

text:Hiroko Hatanaka

既にアメリカ本国以外にも利用されているMySpace。ついに日本上陸!各国で様々な批評がされている中で、日本ではどういった戦略を打ち出すのか!?

11月7日、News社と日本のソフトバンク株式会社は、人気ソーシャルネットワーキングサイト、MySpaceを日本市場へ参入することを発表しました。

日本経済新聞によると、新規ベンチャーの成長が著しい日本のソーシャルネットワーキングサイトへのユーザ登録数は、現在1000万人を超えると言われています。
MySpace社は、日本のオンラインソーシャルネットワーキングユーザ向けにどのような戦略を打ち出すのでしょうか?ニューヨークタイムズ紙は、ソフトバンク社が発表を行った日にヨーロッパ市場に関する次のような記事を掲載しました。日本市場でも以下のような傾向が見られた場合、同サイトの参入は厳しいものとなるでしょう。

9月、MySpaceはドイツおよびフランス向けのテストサイトを試験的に公開しました。このサイトは、同社にとって初の英語以外の言語サイトです。当月の利用者数はドイツで250万人、フランスではドイツの利用者の約半数を記録し、新たなビジネスとしては良いスタートとなりました。

フランクフルトで技術コンサルタントを務めるロバート・ベーシック氏(40歳)は、単なる好奇心から当サイトへ登録した多数のユーザのうちの一人です。「私は標準的なユーザではありません。」と話すベーシック氏は、不必要なメッセージにいら立ちを覚え、サイトの派手なデザインにも馴染めませんでした。「サイトのデザインが良くないと、ドイツの人々は言っています。デザインは、ドイツ人にとって重要なポイントなのです。」
既にイギリス、オーストラリア、アイルランド、ドイツ、フランスで利用されているMySpaceは、市場を拡大し新たに11ヶ国の市場に参入する予定です。

しかし、ベーシック氏の意見からも分かるようにMySpaceを世界規模に拡大することは、ひとつの映画を海外へ売り込むことよりもはるかに複雑なことと考えられます。MySpaceに登録している1億人のユーザの大半は、アメリカ国内のユーザです。アメリカ以外の各国のユーザは、既にそれぞれのスタイルでオンラインソーシャルネットワーキングを利用しており、パソコンからではなく携帯電話からのアクセスがその大半を占めています。

南カリフォルニア大学のアネンバーグセンターで大衆文化論を専攻するダナ・ボイドは、次のように語ります。「現在アメリカのティーン世代・20代の文化の中心は、インスタントメッセージです。他の国では、SMS(ショート・メッセージ・サービス:携帯電話で文字メッセージを送受信するサービス)を利用して友達との間のコミュニケーションをとっています。」

ソーシャルネットワーキングは、将来を予想することが難しいビジネスでもあります。例えば、Google社がスタートしたソーシャルネットワーキングサイト、Orkut.comを利用するユーザの大半はブラジル人です。サイトが公開されて以来、ポルトガル語圏の人々の支持が拡大し、ポルトガル語の分からないユーザが疎外感を持つほどまでに広がっていきました。

ドイツ国内におけるMySpaceの競合は、アメリカのFacebookによく似た機能を持つStudivz.netです。このサイトは主に学生を対象としています。一方フランスではSkyblogsが主流であり、comScoreの8月のデータ(現時点の最新情報)によると、そのユーザ数は590万人とも言われています。それに対してフランス国内でのMySpaceユーザの数は、110万人です。
次回はMySpaceがソーシャルネットワーキングサイトとして優位性についてお話します。

Hiroko Hatanaka プロフィール
NY在住。NYの大学でダイレクト・マーケティングを学び、エイボンや英国資本の高級トイレタリーなどのマーケティングを手掛ける。現在はニューヨークの広告&PR代理店であるIWグループに所属。