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2007.10.29

マーケターの必須科目「イノベータ理論」。攻略すべきは初期マーケットとメインストリームの間に在る「溝」

マーケター必読の名著「キャズム」のベースとなっているイノベータ理論。半世紀も前に提唱されたこの理論は、いまだ色褪せることなく、企業のマーケティングの核心を突いています。

やっと秋らしくなってほっとしておるんじゃが、マーケター諸兄はいかがお過ごしかの?今年はいつまでも暑くて、ワシャ死ぬかと思ったワイ。もう少しで赤城山のケヤキの洞の我が家を捨てて軽井沢にでも引っ越そうかと思った程じゃよ。

さて、今日は新しいビジネスモデルや技術、そして製品、つまり「イノベーション」(革新)がどのようにして市場へ受け入れられるかをまとめた「イノベータ理論」について説明しようかの。

これは、1962年に当時スタンフォード大学の社会学の教授だったエベレット・ロジャースがその著書「イノベーション普及学」(Diffusion of Innovations)の中で提唱した理論なんじゃよ。もう45年も前のことなんじゃ。ワシがまだハイハイしておった頃の話じゃから驚くの、まったく。

ハードにせよソフトにせよハイテク分野に入る企業のマーケティング担当者なら自社のビジネスモデルや製品やサービスがいま分布曲線のどのあたりにいるかを知っておくのは重要なことなんじゃ。それによって打つ手が違うからの。

このイノベータ理論は、革新的な技術やビジネスモデルが市場に浸透する様子を縦軸に導入数、横軸に時間軸をとって度数分布曲線で表現したものなんじゃ。正規分布の釣鐘型なので「イノベーションのベルカーブ」と呼ばれておるんじゃよ。

イノベーティブ(革新的)な技術やサービスが世に出ると、先ず「イノベータ」と呼ばれる人たちが真っ先に採用するんじゃ。今風な呼び方だと「オタク」になるかの。この「イノベータ」はとにかく新しいもの好きで、「未だ誰も使っていない」という言葉が何よりも大好きな人たちなんじゃ。彼らはオンラインでもリアルでも特殊な集団を作っていて、そこで情報交換し、常に新しい技術や仕組みをウォッチしているような人たちなんじゃ。「テクノロジーマニア、テッキー」などとも呼ばれていて、彼らからすれば世の中に普及している最新のテクノロジーなんかは既に「レガシー」(過去の遺産)なんじゃよ。もちろんこうした「イノベータ」に分類される人々はマーケットの中では少数で恐らく全体の1〜2%なんじゃ。でも革新的なテクノロジーは彼らの評価なしには普及しない、という意味では重要な人たちなんじゃよ。

その「イノベータ」を少し離れて見ているのがもう少し現実的な「アーリーアドプター」と呼ばれる人々なんじゃ。彼らも「イノベータ」たち程ではないが新しいもの好きなんじゃ。ただ「イノベータ」と違うところはで、彼らは新しいものそのものに興味がある訳ではなく、その新しいものを使って誰よりも早く成果を上げたいと考えておる人たちなんじゃ。だから「イノベータ」から目を離さずに新製品などに関する彼らの評価に注意を払って、彼らが高く評価したものを積極的に採用するんじゃ。この「アーリーアドプター」がマーケット全体の12〜14%いると言われておって、これと「イノベータ」を合わせた15〜16%を「初期マーケット」と呼ぶんじゃよ。

「イノベータ」と「アーリーアドプター」を合わせても全体の15〜16%程度ということは、ここを獲得しても成功はできないということなんじゃ。成功するにはその後にある「マジョリティマーケット」に採用されなければだめなんじゃ。この「マジョリティマーケット」も、比較的新しいものを積極的に受け入れる「アーリーマジョリティ」と、他社の導入事例をみてじっくり腰を上げる「レイターマジョリティ」に分かれ、その後に何があろうが新しい技術には抵抗する「ラガード」がいるんじゃ。これが「イノベータ理論」じゃよ。

この45年前にE・ロジャースが提唱したこの「イノベーションのベルカーブ」の中にある「アーリーアドプター」と「アーリーマジョリティ」の間の大きな溝に、その30年後に注目した人がおったんじゃ。この溝に焦点を当て、ここを「キャズム」(谷)と表現して「Crossing The Chasm」(邦題「キャズム」)という本を書いたのが、今、アメリカのハイテクマーケティングの世界で圧倒的な評価を受けているジェフリー・ムーアなんじゃよ。この「キャズム」という本はBtoBのマーケターなら必ず読むべき本の一冊じゃよ。

この「キャズム」では、多くのハイテクベンチャーが素晴らしい技術や先進的なアイデアを持ちながら成功できずにいる理由を、この溝(キャズム)に堕ちて這い上がれないからだ、と結論付けておるんじゃ。読んでいるとあまりに多くの企業や製品が当てはまるので驚くほどじゃよ。

そして、J・ムーアはこの溝(キャズム)から這い上がり、彼が「メインストリーム」(本流)と呼ぶマジョリティマーケットにたどり着く方法をしっかり具体的に書いてくれているんじゃ。経験豊かな一流のコンサルタントが書いた本なので、問題提起だけして途中ではぐらかされる、なんてことはないんじゃよ。まだ読んでいない人には是非お奨めしたい一冊じゃの。

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