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2008.10.29

データを枯らすコンテンツ、育てるコンテンツ

Webやメルマガのコンテンツには、大切な顧客データを「枯らす」危険な力もあるのです。あなたの会社は大丈夫ですか?

今日は、Webやメルマガのコンテンツのちょっと怖い話をしようかの。

マーケティング担当者にとってWebやメルマガのコンテンツを考えることは楽しい一方で、頭の痛いテーマでもあるんじゃ。
中でもよく耳にするお悩みは「ネタが無い」ということじゃ。事例を載せようにも営業が取材に協力してくれない。顧客は社名を出すことに同意してくれない。同意してくれても顧客の細かい校正が入り、途方も無い手間が掛かる上に結局意図した内容とは別物になってしまうことが多いんじゃな。
しかも新製品、既存製品のバージョンアップ、セミナー開催、イベントの出展など営業サイドのリクエストコンテンツは際限もなく続き、気がつけば「売らんかな」一辺倒の、安っぽい折込みチラシのようなWebになってしまうんじゃ。

つまり、コンテンツのマネージメントを間違えると、展示会などで苦労して集めた顧客・見込み客データを枯らしてしまうことになるんじゃ。ワシはこれを「せっかく集めた顧客・見込み客データに枯葉剤を散布しないでください」と表現しておるんじゃ。
BtoBにも通じるものがあるので、数年前にBtoCのサイトでよく起きていた事例で説明しようかの。

自分のWebにうっかり散布してしまった枯葉剤

自社の製品やサービスを楽しんでくれる人々を対象にWebを立ち上げたとしよう。自分でコンテンツをコントロールできるWebを持つことは、なんの制約もなく世界に向けて自由に情報を発信できることじゃ。インターネットの醍醐味そのものじゃな。
やがてアクセスが増えてくるとメールマガジンを発行する。せっせとコンテンツを増やし、アクセスログを見ながらSEOも研究し、タグや、キーワードに手を入れながら、コンテンツの内容を向上させていく。こうした努力を継続すると、少しずつアクセスが増え、メールマガジンの登録者も増えてくるんじゃ。これは担当者にとっては本当に嬉しいもんじゃの。

多くの人が見てくれたり読んでくれたりしていると思うと、より良い内容にしようとモチベーションも上がるもんじゃ。ついついコンテンツに掛ける時間も増えていく・・・。しかしこのクオリティを維持するためには、さらに多くの時間を掛けなければならず、SEOの順位も気になるのでこれにも時間を掛けてしまう。つまり時間とお金がどんどん掛かるようになってくるんじゃ。
小さな会社や、マーケティング部門の人数を増やさない方針の外資系企業では、Web関連に獲られるリソースがどんどん膨らんでくるんじゃ。こんな時に、悪魔がやってきて耳元でささやくんじゃな。

「このWebにお金を生ませる方法が有るの知ってますか?」

そこで、悪魔の声のままにオンライン広告会社の営業を呼ぶと、
「これだけのアクセスやメールマガジンの登録者があれば十分に広告メディアとして価値がありますよ」
なんて言われるんじゃ。

苦労したWebがお金を生むなんて素敵なことだ・・・誰もがそう思うじゃろ。そして広告会社と契約を結ぶ。やがてWebは広告で溢れ出す、それも多くは消費者金融やエステ、派遣会社などの広告で埋め尽くされるんじゃ。メルマガも同じじゃ。ヘッダやフッタにやたらと広告が溢れ出し、一方人気のコンテンツは探しにくくなる。

そして・・・急速に読者が離れていくんじゃ。

皮肉なことにアクセスが減って広告のクリック率が低下すると広告メディアとしての価値も一気に低下するんじゃ。広告会社が広告主と約束したクリック数を消化できないからじゃ。やがて広告会社が去っていった後に残るのは、誰も来なくなったWebとメールマガジンの配信停止の山、という悲惨なことになるんじゃよ。
つまり、せっかく手間を掛けて、耕して種を蒔き、大切に育ててきた自分の畑にうっかり「強烈な枯葉剤」を散布してしまったわけじゃな。
このようにせっかく良いコンテンツでファンを増やして最後に「広告で枯らして」しまったWebは過去にたくさん在るんじゃ。

なにも広告が全部悪いわけではないんじゃよ。これは「パワーバランス」なんじゃ。
テレビは基本的に広告だけで成り立っているメディアなんじゃが、民放テレビは産業として成熟しているのでメディア側が広告枠をコントロールする手法を確立しているし、そもそもコンテンツが強いので広告に枯らされてしまうことは無いんじゃ。
しかしWebの世界は未だそうした成熟度は持っていないから、Webマスターが「広告」をコントロールすることは難しいんじゃ。そういう構造なので、営業力の強い広告会社と契約すると、あっという間にWebを枯らされてしまうことが多かったんじゃよ。

BtoBにも枯葉剤は存在する!

この「広告がメディアを枯らしてしまう」という現象はなにもBtoCだけの話ではないんじゃ。
BtoBの世界でも同じことが起きているんじゃよ。
もちろん、BtoBの場合、Webに消費者金融やエステの広告が掲載されることは無い。では誰が枯らすかと言えば、多くの場合、畑を枯らしているのは、自社の「広告的なコンテンツ」なんじゃよ。広告として掲載していなくても、いかにも「売る気満々」という一方的なコンテンツはBtoCでのエステや消費者金融の広告と同じように「枯葉剤」的な効果を発揮するんじゃ。

セミナー案内、バージョンアップ情報、新製品発売、イベント案内、期末のディスカウント・キャンペーンなどじゃな。データを枯らすという意味ではコンテンツだけではないんじゃ。例えばデータを育成・絞り込みをせずにアポ獲り目的のテレマーケティングキャンペーン(コールドコール)を仕掛けるのも強烈な「枯葉剤」になるんじゃ・・・。
多くのコストと苦労と時間を掛けて収集した見込み客データを一瞬で枯らしてしまう「枯葉剤」は使って欲しくはないんじゃな。

じゃから、BtoBの企業でのマーケティング担当者の大事な役割のひとつは「枯葉剤」的なコンテンツから自社のWebやメルマガ、そして何より顧客・見込み客データを「守る」ことなんじゃ。
これは相手が社内にいて、しかも多くの場合は数字を背負って戦っている営業部門だけに、とってもきつい仕事なんじゃ。

例えば営業から「2週間後のセミナーの参加者が集まらなくて困っているんだけどメールを全件配信してくれるかな?」と言われたら「嫌です」とは言えないもんじゃろ。でも、この時に、目先の集客のことだけしか考えていない営業部門の言いなりになってチープなノベルティでの集客メールを何度も配信すれば配信拒否を量産し、一気にデータを枯らすことになってしまうんじゃ。ここがBtoBのマーケティング担当者を最も悩ませている難しい部分なんじゃよ。

でも、こうやってコンテンツの質を守らないと、そのコンテンツを受け取る側、つまり顧客・見込み客データを枯らして、配信拒否や拒否はしなくてもめったにメールを開封しない人々を増やし、いざという時にまったく役に立たないデータにしてしまうことになるんじゃよ。こうなるとマーケティング活動そのものが成立しなくなってしまうんじゃ。

良いコンテンツは肥料のように畑の育成を促進する

一方、これとは反対に優良なコンテンツは畑の顧客・見込み客を健全に育成する「肥料」のような力があるんじゃ。
中でも最も育成力のあるコンテンツは「事例」なんじゃよ。その製品やサービスはどんな業種のどんな規模の会社に採用されたのか?採用の理由は何で、その時の比較対象はどんな製品であったのか?間違った判断で選択した企業はどんな失敗をしたのか・・・。
こういうコンテンツは読む側の貴重な情報源として価値があるから見捨てられることは無いんじゃよ。

BtoBの場合、会社の中にニーズが発生しなければ稟議書に判が押されないから、担当者が興味がある、というだけで購入に至ることはないんじゃ。じゃからその会社の中に問題が発生した時に、真っ先に社名を思い出してもらえるようにしなければならないんじゃ。「見込み客の育成」とはそれを指すんじゃよ。
ターゲット企業の中で「こういうことで困ったらあの会社に話を聞いてみよう、あの会社のWebに行ってみよう」という認知度を上げていくことが重要なんじゃ。それは「良い情報があるWeb」ということと同義なんじゃよ。

良く管理されたデータベースと洗練されたコンテンツは、上質の案件を創出できる

管理レベルの高いリード(見込み客)データベースを持っていれば、その中の例えば「売り上げ100億以上3000億未満の製造業の情報システム部門に所属している人」などという抽出条件でターゲットを絞り込むことができる。これが企業プロファイルでのデータ抽出じゃ。ここまでは出来て当たり前の話じゃな。
そして、その人たちに響く業種や規模、部門などでの事例情報を、マナーを守った手法で発信することが出来れば、この上質のコンテンツで関係を深め、育成したり、その反応から有望見込み客を絞り込むことも出来るんじゃ。つまり単なる企業プロファイルでの抽出ではなく、行動(ビヘイビア)解析も抽出条件に加えることができるんじゃよ。
これは例えて言えば、畑の作物に良いタイミングで最良の肥料を与えるような効果が期待できるんじゃ。

これは決して難しいことではないし、多くの企業で成功している手法なんじゃ。正しいコンテンツマネージメントは顧客・見込み客の中にブランドを育て、関係を深め、アプローチすべきタイミングを教えてくれるものなんじゃ。
しかし、逆に悪いコンテンツや強引なアプローチは、マイナスのイメージを醸成し、短い期間ですっかり枯らしてしまうことにもなるんじゃ。ご用心して欲しいもんじゃよ。

ちなみに、シンフォニーマーケティングの考案した「リードデータ・オプチマイゼーション」(LDO:セグメントしたターゲットに最適化したコンテンツで育成・絞り込みを行うこと)は、こうした背景から導き出されたマーケティング手法なんじゃ。

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