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2009.01.22

部分最適から全体最適へ パッチワークを繋ぎ合わせろ!

展示会、セミナー、Web、メルマガ、そしてテレマーケティング・・・繋がっていないパッチワークになっていませんか?これらをしっかり繋いだ企業だけが「マーケティングが強い企業」と呼ばれるのです。

キャンパス読者のみなさん ノヤンじゃよ。
新年おめでとうございます。

良い正月じゃったかの?えっなになに?不景気でそれどころでは無かった?「米国本社から予算大幅カットの噂が流れて気が気ではなかった」なんていう外資系企業のマーケティング担当者も今年は多かったのかも知れんの。
実はワシが年末に「緊急メッセージ」を出したのはそれが理由だったんじゃ。あれには多くの人からコメントをいただいたんじゃ。
「緊急メッセージに共感しました」「この不景気をチャンスとしてがんばります」なんてコメントを読んだ時、ワシはちょっぴり嬉しかったんじゃ。

でも、あの緊急メッセージに書いたことは本当なんじゃよ。不景気の今こそ、マーケティングの部分最適を全体最適に修正し、マーケティングを企業の中心に据え直す大チャンスなんじゃ。

そこで今回は、こんな時代に相応しい、「部分最適から全体最適へ」という話をしようかの。
まず「部分最適」の説明をしようかの。これは俗に言う「パッチワークマーケティング」のことなんじゃ。パッチワーク、つまり「つぎはぎ」じゃな。あんまり良い意味ではないんじゃ。
つぎはぎだらけで、それぞれがシナジー(相乗効果)が無く、一貫性も無い、そして繋がっていないから売上に貢献しているのかいないのかさっぱり効果測定が出来なくて、景気が悪くなると真っ先に予算を削られる虚しいマーケティングのことなんじゃ。

実はの、景気の良い時のマーケティング部門は「部分最適」でも評価してもらえるものなんじゃ。景気が良い時はマーケティングが健全に機能していようがいまいが、営業が頑張れば売れるんじゃからの。
「セミナー」を満席にすれば、「展示会」でたくさんの名刺やアンケートを収集すれば、「テレマーケティング」でアポイントをたくさん獲れば、「Web」のアクセスを増やせば、「メディア」の取材を増やしたり、認知度調査で順位を上げれば、それだけで充分に評価してもらえるのが景気の良い時なんじゃ。

でも、いったん不景気になるとそうはいなかくなる。当たり前じゃな。

売上という全体目標に対する貢献が具体的に見えないのであれば、予算を削減されても仕方がないんじゃよ。
本来「マーケティングは売れる仕組みを作ること」という定義に則して考えれば、マーケティングの各プロセスは売上を上げることを目的とした「手段」なんじゃ。じゃから売上にどれだけ貢献したか、という基準で評価するのは当然なのじゃが、各プロセスを掘り下げていくうちについついプロセスが「目的化」し、こうした部分最適に陥ってしまうんじゃな。
しかも悪いことに、それぞれが面白く、またやりがいもある仕事なので、ついつい担当者はそれが本来の目的だと思い込むようになってしまうんじゃな。その結果、努力が報われない、という最悪の事態を引き起こしてしまうんじゃ。

例を上げて説明しようかの。
今、最も予算削減のターゲットになっている「展示会」は、企業にとっては新規リードを獲得する重要なマーケティングプロセスなんじゃ。でも、準備にあまりにも手間が掛かるので、いつの間にか担当者にとっては会場でアンケートや名刺を集めることが「目的」になってしまうんじゃな。
アンケートの収集数やブース内セミナーの参加人数などはあくまで個々の展示会の評価の指標であって、年間のマーケティング計画の中でそこで収集した名刺やアンケートをどうワークさせて売上に貢献するかが、本当に考えなければならないことなんじゃ。

マーケティングのプロセスで言えば展示会は「種蒔き」に該当するので、まだその先に選別して剪定したり、肥料や水を与えて育成したり、と収穫までの長いプロセスがあるんじゃが、それは放っておいて、月曜からはもう次のイベントの準備に向かっているという人が多いんじゃよ。

「セミナー」も部分最適に陥りやすいプロセスなんじゃ。
とにかく会場を満席にすることが目標、という担当者が目に付くんじゃな。セミナーは自分の会社の幹部社員やパートナーの幹部がスピーチすることも多いので、ガラガラだったり空席が目立ったりすると企業の面目が丸つぶれなんじゃ。じゃから担当は本当に必死で集客するし、最後は営業を拝み倒して顧客やパートナーを連れてきてもらったり、新入社員をサクラで動員したりするんじゃな。
もちろん、このセミナーを後から評価する指標を多くの企業は持っていないので、ただ「満席で盛況だった」「ガラガラで空席が目立った」などで判断するしかないんじゃ。

「CRMやSFAなどの営業支援システム」に至っては、そのシステムの導入そのものが目的化している場合も多く、肝心の「どう使うか」は導入してから考える、などという本末転倒も甚だしい話が実際に横行しているんじゃ。そんな風にして導入されたシステムが実際に営業を支援し、売上を作る仕組みとして機能した例は無いんじゃがな・・・。

言うまでもなく、これらのマーケティング活動は、みんな売上を上げるための重要な手段でありプロセスなのじゃが、いつの間にか「部分最適」に陥ってしまい、その結果「売上」という全体の目標との不整合は拡大するばかりで、費用対効果の測定ができず、結局不景気になると一気にコスト削減のターゲットにされてしまうというわけなんじゃ。
部分最適で設計されているうちは、それぞれがいくら進化しても全体では繋がらないから、評価は得られないんじゃ・・・。

では、どうしたら部分最適から全体最適に組み立てなおせるのかの?

一番大事なのはプロセスの評価を変えることなんじゃ。必ず「後工程から前工程を評価する」という考え方に変えることじゃよ。
セミナーは満席になったことを評価するのではなく、その満席の参加者から何件の営業案件が出せたか、で評価すべきじゃし、展示会も単純に名刺やアンケートの数ではなく、その中から何件の売上に繋がる営業案件を出せたか、という指標で評価すべきなんじゃ。

最近よくいただく質問は「今年は予算を大きく削られたのですが、やっぱり展示会には出展すべきですか?」というものじゃ。その答えはワシではなく、その会社のリードデータの中にしか無いんじゃよ。
つまり、その年の売上目標を通常の受注率で達成できるだけの営業案件数を創出するために必要な数と質のリード(見込み客)データを持っていれば「No」。こうした企業なら予算が潤沢に取れるようになるまで展示会に出なくても大丈夫、というのが答えじゃな。

逆にそうした数と質のリードデータを持っていなければ、他の予算を削ってでも展示会に出展しなければならないので答えは「Yes」なんじゃ。
セミナーも満席で評価するのではなく、そのセミナーの参加者から何件の案件を出せたか、その案件の質は他のプロセスからの案件と比べてどうか?などの指標で評価すべきなんじゃ。
全体最適とはそういう「後工程の必要を満たす働き」のことを言うんじゃよ。

展示会や営業の名刺交換で取得し、利用目的を通知し、正確に名寄せしてから競合などを排除してはじめて「リードデータ」となる。この人たちにセミナー告知のメールを送ることができる。
メール配信者の中からセミナー参加申込者が出る。申込者の中から当日参加者が、当日参加者の中からアンケートで「詳しい資料が欲しい」「デモが見たい」「価格が知りたい」などの営業にフォワードできる有望見込み客が出せるし、その中から訪問リストが作られる。営業がそのリストに電話を掛け、アポイントを取り、訪問してはじめてリストの数パーセントが営業案件になるんじゃ。

BtoBの場合、受注は基本的に営業案件からしか出ない。つまり、本来は展示会から受注までは明確な関連性を持って繋がっているのに、それを各プロセスで部分最適をして「閉じて」しまうことで後工程から評価できない、パッチワークにしてしまっているケースが非常に多いんじゃよ。

もちろん、この部分最適を全体最適に変えるには組織を越えた連携が必要になるし、多くの場合は複数の組織で予算や人的リソースを出し合って解決すべき問題が出てくる。展示会は広報部門で、Webはマーケティング部門で、セミナーは営業本部で、CRMは情報システム部門が主導して、となっている企業が多いので、これをその企業の固有の販売形態やカルチャーに合わせて再構築するのは簡単な作業ではないんじゃ。

ワシはよくマーケティング部門の評価者は営業部門、という話をするんじゃが、実際はこの両部門が伝統的に仲の悪い企業も多く、嫌いな部門からの評価なんて誰だって受けたくはないんじゃ。ましてすべての部門が潤沢に予算を持ち、元気な時にこれに手をつけようとすれば、総論賛成、各論反対でとても不可能なことに思えるじゃろう。

でも、今のように先の見えない不景気の中で予算カット、人員カットで各部門が少しションボリしている時なら、可能性はぐっと高くなるんじゃよ。じゃから「大チャンス」なんじゃ。
ワシは、今繋がなければ繋げる時は来ないかも知れない、とさえ本気で思っておるんじゃよ。展示会もセミナーもPRもWebもメルマガもテレマーケティングもCRMも、しっかり繋いで後工程から評価できる仕組みを創り上げた企業が本当の意味で「マーケティングが強い企業」なんじゃよ。

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