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2009.10.21

【SFA導入の落とし穴-2】SFAの不得意な機能を使ってはいけない!

意外と知られていないSFAの真実・・・、それは「SFAはマーケティングがとても苦手」ということ。本来の目的を理解しないとどんなに素晴らしいツールも活かせません。

日本の企業が「営業のプル型への移行」や、そのための「マーケティングの強化」が重要な経営課題だ、と気が付いたのはもう10年以上も前なんじゃ。しかし、気が付くのと、それに対応して進化するのはちょっとタイムラグが存在するんじゃな。
現実には、プル型機能を担うはずのマーケティング部門にはせいぜい展示会やWebやセミナー集客の担当くらいの役割しか任せておらず、費用対効果の検証も全然していない企業がまだまだ圧倒的に多いのじゃよ。
でも、昨年以来の世界不況でそんな企業カルチャーも吹き飛ばす強風が吹き荒れたんじゃ。日本企業も今度は本気になるじゃろ。

さて、そんなことも背景に在ってSFA(Sales Force Automation)を導入する企業が増えておるというのは前回書いた通りなんじゃ。
SFAを導入し、これを利用して営業を可視化し、売上げの予想を立て、リソースを適正配分する、あるいは弱い部分を補強するというのは業種や規模に関係なく、どの企業でも取り組むべき課題で、SFAやSFA機能を持ったCRMの導入は避けて通れない必然なんじゃよ。
幸い、今の日本には国産・外資、パッケージ・SaaSなど実に多くのタイプの素晴らしいSFA・CRMのラインナップが揃っているので、自社に合ったソリューションを導入して、営業戦略にイノベーションを起こして欲しいとワシは考えておるんじゃ。

ただし、SFAの運用は実はかなり難しいから、しっかり研究して準備する必要があるんじゃよ。

SFA導入企業が運用を失敗する原因を大きく分けると前回書いた「営業のコアタイムを侵食した結果」と「SFAの不得意な機能を使う」という2点が最も多いんじゃよ。
そこで今回は「SFAの不得意な機能を使ってしまう」という問題点を書いてみようと考えておるんじゃよ。

先ず覚えておいて欲しいのは 「SFAはマーケティングがとっても苦手!」 ということじゃ。

SFA導入を検討している企業を対象にしたアンケート調査を見たことがあるんじゃが、驚いたことに「SFAの導入の目的はマーケティング」、という企業が50%以上というデータが在るんじゃよ。これは完全に導入失敗予備軍と言えるじゃろうな。
なぜ50%超もの人が苦手な部分を使おうと考えておるのかの。それは、SFAを使った経験の無い人が、SFAをマーケティングに使った経験の無い人から購入するからなんじゃよ。ちょっと悲しい現実じゃな。SFAを販売している会社の多くは、営業マンの行動管理や案件管理には利用しているが、マーケティングに利用しているところはほとんど無いんじゃよ。じゃから機能があれば活用できる、と信じて勧めてしまうんじゃな。
SFAやCRMは次々に機能を追加しているので、カタログ的には「出来る範囲」がどんどん拡がっているように見えるんじゃ。「リード管理」や「キャンペーンマネージメント」「Web制作」「セミナー受付」などのマーケティング系の機能じゃな。

ビジネスアプリケーションの特徴である「汎用性が乏しい」というのはSFAも同じで、最初の目的以外のことをやらせるのはかなり無理があるものなんじゃ。

ではなぜ日本ではSFAだけではマーケティングは出来ないのか、それを説明しようかの。
日本で個人情報保護法特定電子メール法プライバシーマークなどのコンプライアンスを守りながらマーケティングをやろうと思えば、「高度な名寄せと営業対象外排除」、「大量のメール配信とメール配信後のリストメンテナンス」、「行動解析でのスコアリング」の3つの機能がどうしても必要になるんじゃ。
残念ながら、ほとんどのSFA・CRMはこの「名寄せ」と「メール配信」と「スコアリング」が苦手なのじゃよ。
ひとつひとつを詳しく見ていこうかの・・・。

1.名寄せ、営業対象外排除

マーケティング用語では「マージ&パージ」というんじゃ。「マージ」は名寄せ。「パージ」は競合などの営業対象外を排除することじゃな。この言葉、順番にもちゃんと意味があるんじゃ。リストの中から競合などの営業対象外の人を排除しようと思えば「名寄せ」が出来ていることが大前提なんじゃ。もし名寄せが出来ていないで例えば競合会社の佐藤さんを排除しようと思っても、リストの中に同じ人が3人いれば、1人排除してもまだ2人残っているじゃろ。セミナー案内も、キャンペーン情報もこの人に送られることになるんじゃ。
同じカタログやダイレクトメールが一度に3通も届けば営業どころかクレームになるじゃろうし、メール配信を拒否された時にフラグ処理が出来ずに何度もメールを配信してしまうことにもなるんじゃ。これはクレームを通り越して法令違反になってしまうので絶対に避けなければならないことなんじゃ。
日本では名寄せが出来ていない状態で多数のデータを保持することは非常に危険なことと考えるべきなんじゃよ。

あまり知られていないことなんじゃが、日本語のデータの名寄せは世界で一番難しいんじゃよ。それも比較するものが無いくらい圧倒的な難易度で、SFAに搭載されているメールアドレスだけをキーにした名寄せ機能で手に負えるようなものではなんじゃ。
理由はいくつか在るんじゃが、その最たるものは「表記の揺れ」というやつじゃな。名刺に印刷してある住所表記は「1-2-3」のように書いてあることが普通じゃが、これは正式には「一丁目2番3号」となるはずなんじゃ。日本の法令では登記簿謄本に記載してあるものが正規になるからの。
でも、名刺の住所表記のほとんどは、その時の総務担当者の判断で決まるんじゃ。全角・半角なども含めての。名前の漢字表記も同じじゃよ。「高田」さんの高には「はしごだか」があるし、渡辺さんの「辺」には本当に多くのパターンがあり、シンニョウに点がふたつあったりするじゃろう。斉藤さんの「斉」も名寄せの天敵じゃな。
こういう「表記の揺れ」が名寄せの前に立ちはだかっているんじゃよ。

ユーザー自身に入力させる「Web to Lead」という手法も日本ではまったく頼りにならないんじゃ。Webなどでアクセスした人に自分で登録・入力させて見込み客を収集する手法なんじゃが、自分の会社の社名や住所を間違える人なんていないでしょう、という考えが前提なんじゃが、データをいじった人なら判る通り、ユーザーが自分で入力したデータ程いい加減なものはないんじゃよ。
社名や住所の略や間違いは日常茶飯事じゃし、名前の漢字も名刺と違う字を平気で使うので、セミナー参加申し込みで登録した名前と、その数日後にセミナーの受付でもらった名刺の表記が違うことが普通に起こるんじゃ。これは当然名寄せ出来ないデータになるんじゃな。

名刺情報を営業に入力させるのもワシはお勧めしないやり方なんじゃ。
そもそも営業という人種はこういう作業は苦手で大嫌いなものなんじゃ。それを無理にやらせた結果、ルールを守らない間違いだらけのデータをせっせと作ってしまうんじゃ。
ワシの20年のマーケティング・コンサルティングの経験から言えば、営業スタッフが20名以上いる企業で、全員に入力ルールを守らせ続けるのは不可能なことじゃと確信しておるの。
こうして入力ルールを守らないで入力されたデータによってあっという間にデータが汚れていくんじゃ。

2.メール配信&メール配信後のリストメンテナンス

実は多くのSFAやCRMは数千件以上のメールの大量配信が苦手なんじゃ。
もちろん100件や200件の一斉配信なら問題はないじゃろう。でもマーケティングで使う場合、例えば10,000人にメールマガジンを配信したり、その不達や配信拒否のメンテナンスを次の配信までの行わなければクレームになるし、ダイレクトメールを5,000人に郵送した場合でも、不達の処理をしないと不達分の郵送費をドブに捨てることになるからの。

見込み客から営業案件になればコミュニケーションは担当営業対顧客担当者、といった「個人対個人」のものになるんじゃ。直接会ったり、電話をしたり、Faxを送ったり、メールを送ったりというコミュニケーションじゃな。その内容はアポイントであり、提案書であり、見積もりや契約書なんじゃ。これらのコミュニケーション履歴を残す機能についてはSFAは最高のものを持っておるから、案件情報を社内でシェアしたり引き継いだりするには素晴らしいのじゃよ。
しかし、展示会の来場お礼メールを3,000人に一斉配信したり、登録されている30,000人にセミナー案内を配信したり、10,000人にメールマガジンを配信したりする機能はSFAにはほとんど実装されておらんのじゃよ。
もちろんメールを10回配信すれば10回のメンテナンスが必要になるんじゃ。配信拒否や担当変更、不達などを処理しなくては次のメール配信で拒否者に配信してクレームを引き起こすからの。
じゃから、必ずメール配信後のリストメンテナンスがやりやすくなければならないんじゃよ。
20,000件にメール配信をしたとして、多い場合には0.7%程度の拒否依頼がくるんじゃ。約140人じゃな。展示会で集めた直後だとこれが3〜5%にまで跳ね上がるから、約1,000人にもなるんじゃよ。こんな数のメンテナンスをいちいち検索して探してフラグを立てていては、メール配信が嫌いになってしまうというもんじゃよ。

3.行動解析からのスコアリング

案件化する前のマーケティング活動で最も重要なのは、展示会などで収集した見込み客の中から「今」有望な見込み客を探し出すことじゃ。これこそマーケティング担当者の醍醐味であり、腕の見せ所じゃな。
ではどうやってこれを探し出すかというと、最も初歩的なやり方は企業プロファイルのみの絞り込みなんじゃ。社員数や売上げなどの規模情報、業種や業態などのカテゴリー情報、そしてエリア情報で絞り込む方法じゃな。
これはしかし、あまり営業の役には立たないんじゃ。何故ならば営業が欲しいのはその企業に所属する個人の情報であり、出来ればその企業の中で最も購入担当に近い部署やポジションにいる人で、しかも「今興味を持っている」人の情報なんじゃ。もちろん訪問するにはアポイントが必要で、電話をしなくてはならんから、代表電話ではなく、その人のデスクの電話、つまりダイヤルインの電話番号が欲しいのじゃよ。これがないと営業にフォローして欲しくても、なかなか動きが悪いはずじゃ。

これを探し出すには企業のプロファイルではなく、企業に所属する個人の行動解析によるスコアリングが必要なんじゃ。どのセミナーに参加した、WebのPDFをダウンロードした、メルマガのこのキーワードに反応した、などの行動情報でスコアリングしなければ実現できないんじゃ。これが行動解析からのスコアリングなんじゃよ。
もちろん、スコアリングするということは、Webやメールのコンテンツがスコアを前提にした戦略的なものでなければ意味が無いし、その戦略で立てた導線計画にセンサーを埋め込む作業はどのみち人間がしなければならないんじゃ。ここはあまり自動化(オートメーション)にしない方がうまくいくとワシは思うんじゃ。
そして、このスコアをするにはやっぱり高度な名寄せ機能が実装されていないと不可能なんじゃな。せっかくWeb上の行動履歴がわかっても、データベースの中に同じ人が何人もいたら、その情報を誰に紐付けて良いのか判らんじゃろう。

*

SFA・CRMは企業の営業戦略を転換し、今まで実現できなかったプル型の営業を構築したり、営業のナレッジを企業の資産にできる本当に素晴らしいシステムなんじゃ。BtoBの未来はここにあるとワシは考えておるんじゃよ。10年以内にはSFAやCRMをまったく使っていない企業などほとんど存在しない日がやって来るじゃろう。
しかし、社内外のリソースやナレッジを踏まえて「運用の成功」をきちんと考えないと、またひとつ失敗事例を増やすことになってしまうじゃろう。
読者のみなさんの会社には成功事例になってほしいのじゃよ。

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