マーケティングキャンパス 基礎から実践までBtoBマーケティングを学ぶサイト

Loading

ホーム > 講座 > ノヤン先生のマーケティング講座 > 4Pから4Cへ!マーケティングフレームワークの進化の背景

2010.01.21

4Pから4Cへ!マーケティングフレームワークの進化の背景

売る側の視点から、買う側の視点へと進化を遂げたマーケティング。ここ数十年で大きく発展した産業はみな、「より顧客の視点」でマーケティングを設計しているのです。

みなさん新年おめでとうございます
激動と呼ぶに相応しい時代のどまん中じゃが、キャンパス読者のみなさんはいかがお過ごしかの?

時代が混迷すればするほど、現代の戦術参謀であるマーケターの役割は重くなるもんじゃ。ナレッジを研ぎ澄まして、未来を切り拓く提案をし続けて欲しいとワシは考えておるんじゃ。
さて、今日はそんな激動の新年に相応しいもっとも原典的なフレームワークの話をしようかの。

4Pで有名な「マーケティングミックス」の話じゃよ。

実は、昨年ある会社で社内セミナーの講師をしていて、このマーケティングミックスの説明をしていた時のことじゃ。受講者から「今は4Pではなく4Cの時代ではないのですか?」という質問が出たんじゃよ。
提唱者のラウターボーンが聞いたら泣いて喜びそうな言葉じゃが、実はこの2つのフレームワークは提唱された年代に30年以上の開きがあるし、そもそも4Pをベースにして4Cが考えられたのじゃから、どっちが正しいかと比較するのはあまり賢明ではないんじゃよ。

では、はじめようかの。
マーケティングの最も基本的なフレームワークのひとつに「マーケティングミックス」があるのはご存知じゃろう?いわゆる「4P」と呼ばれるやつじゃよ。このマーケティングミックスは1960年代前半にアメリカのジェローム・マッカーシーという経済学者が提唱したフレームワークなんじゃ。
4Pというのは

  • 製品(Product)

  • 価格(Price)

  • 流通(Place)

  • 販促(Promotion)

の4つの言葉の頭文字で、マーケティングをこの4つの要素に分解して組み立てたフレームなんじゃ。

マーケティングの最も原典的なもうひとつのフレームワークである「STP」で、市場を細分化し、勝負すべきターゲットセグメントを決定した後は、そのターゲットセグメントで勝負する製品を開発しなければならないじゃろ。この4Pはその製品開発から販売プロモーションまでのフレームワークなんじゃ。
じゃから、4Pには必ずその前提としての「STP」が在って、そこで明確に定義されたターゲットセグメントがすべての基準になるんじゃ。そうでないと誰も欲しくない製品や、在りもしない問題を解決するサービスを作るはめになるんじゃよ。こんな製品やサービスが売れるはずもないじゃろう。

ターゲットセグメントのニーズに対応した「製品」を開発し、ターゲットセグメントに最適な「価格」を設定し、ターゲットセグメントに届けるために最も効率的な「流通網」を構築し、ターゲットセグメントに対して最も効果的な「プロモーション」を展開する、という考え方なんじゃ。判りやすいじゃろ。
ひとつひとつみていこうかの。

製品(Product)

製品開発(R&Dまたはマーチャンダイジング)は言うまでもなくビジネスの根幹を成すものなんじゃ。ビジネスをもっとも基本的に考えれば「誰に何をいくらで売るか?」ということに尽きるからの。この「何を」の部分がここなんじゃよ。

このProductにはサービスやアフターメンテナンスも含まれるんじゃ。製品のスペックは多少劣っていても、顧客の求めるサービスを充実させることで勝っている例はいくらもあるじゃろう。そういう周辺の構成要素も含めて、ターゲットセグメントからみて魅力的な製品・サービスでなければ売れることはないからの。

価格(Price)

価格決定(プライシング)、は非常に重要な経営課題なんじゃ。これは昔から言われていることで、江戸時代の商家では「利は元に在り」と言って、販売は番頭さんに任せても「仕入れと値決め」だけは店主の仕事と家訓に定めている家がある程なんじゃ。
もちろん価格優位性は販売の現場で強い意味を持つんじゃ。高い価格を付けてさっぱり売れないこともあれば、安く設定して沢山売ろうとしても想定したほど大量に売れず、結局赤字になってしまうこともあるんじゃ。難しいの。

この価格設定はBtoBに於いてはさらに難しい意味を持つんじゃ。
なぜならBtoBの多くは代理店販売じゃから、代理店の営業が優先的に売りたい金額でないとダメなんじゃ。

例えば、IT系の商社の営業が1人1ヶ月5,000万円の販売目標を持っていたとして、この営業にSaaSタイプのソリューションを販売してもらう場合、問題になるのはその価格体系なんじゃ。1ライセンス15,000円で、平均購入ライセンスが10ライセンスだとして15万円。これで5,000万円の目標を達成しようと考えれば300件以上の契約を取らねばならないんじゃ。
大型のビジネスソリューションを販売していたIT商社がSaaSやクラウドに本気にならない事情がわかるじゃろう。

流通(Place)

直販で売るか、代理店に売ってもらうか、カタログを活用した訪問販売で売るか、オンライン通販で売るか、つまりどういう流通経路で顧客に製品やサービスを届けることが最適かを考えることじゃな。

実は4Pの「Price」と「Place」はどちらが先か、という議論がよくあるのじゃが、ワシはこの「Place」の方が「Price」より先だと考えているんじゃよ。なぜなら流通を先に決めないと価格設定が出来ないからなんじゃ。もし先に競合と比較して優位性のある安い価格を付けてから販売網を直販から代理店チャネルに移行しようとしても、代理店などの流通チャネルに十分なマージンが落ちる価格体系でなければ代理店は積極的に売ろうとはしてくれないじゃろう。

日本でオラクルやSAPが同時期にリリースされた競合製品に比べて大成功した理由のひとつは、それを販売したシステム会社やコンサルティング会社がたっぷり儲かる価格設定だったことがあるんじゃよ。

販促(Promotion)

このプロモーションの中には広報やPRも含まれるのじゃが、悲しいことにこうしたプロモーション活動だけがマーケティング担当者の仕事だと勘違いしている人も未だに多いのじゃよ。
もちろん、マーケティングに関わる人の大半は、製品開発や価格決定、流通チャネルの選定などに関わることは滅多にないんじゃ。外資系ならこういうことはみんな海の向こうで決まってしまうからの。

しかし、じゃからと言ってイベント、キャンペーン、セミナー集客、Web、リスティング広告、メルマガ、DMの制作と発送、プレスリリース、そしてカタログやパンフレットの制作管理などだけ、つまりこの「Promotion」だけが自分の仕事だと考えていると、ある日突然、「それは何のためにやっているのか?」という質問に答えられない状況に陥るんじゃ。プロモーションはあくまでマーケティングミックスの中のひとつの要素だと理解することが大事なんじゃよ。

*

さて、このように「マーケティングミックス:4P」というのはマーケティングの非常に重要なフレームワークなんじゃが、最近になって、「もう4Pは古い考え方だ、今は4Cの時代だ」と言う人が現れたんじゃ。
この「4C」とは1990年代に、アメリカの経済学者で特に広告関係で多くの論文を書いているロバート・ラウターボーンという学者が提唱した4Pに対応した新しい概念で、マッカーシーが1960年代に提唱した「4P」を顧客視点から以下のように再定義していることが特徴なんじゃ。

4P

4C

製品(Product)

顧客価値(Customer Value)

価格(Price)

顧客にとっての経費(Cost)

流通(Place)

顧客利便性(Convenience)

販促(Promotion)

顧客とのコミュニケーション(Communication)

つまり4Pがいずれも売る側(プロダクトアウト)からだけの論理で、どんな製品を作り、価格を決め、流通チャネルを選択し、販売促進をするか、を考えているのに対して、全てを顧客視点(マーケットイン)で再定義しているんじゃよ。

これはBtoBでは特に重要なことなんじゃ。BtoBで企業が何かの製品やサービスを購入する場合、それが購入企業の何かの問題を解決するものでなければ購入に至る事はないじゃろう。つまり、販売者がどんな製品を作ったか、ではなく、その製品がどんな問題を解決してくれるか、というマーケットインの考え方を持たないとマーケティングにならないんじゃよ。製造業で仕入れ先を選定する時に、その会社が常時持っている在庫量や、サービス要員の数、検査や解析を担当する技術レベルが決定要因になるのは、こうしたことが原因で製造ラインが止まることで困っている企業が多いからなんじゃ。

実はBtoCではこれが当てはまらないことも多いのじゃ。
コカコーラが飲む人のどんな問題を解決しているのかをロジカルに説明するのは難しいじゃろ?ワシの大好きな「田舎ぜんざい」がどんな顧客価値があるかを考えてみても、好きだから、というとってもエモーショナルな答えしか出てこないんじゃ。ダイエットや健康という面から観ればむしろ害になるからの。でも告白すると、一杯のぜんざいを食べるためだけに車を飛ばして、東京から鎌倉まで行くこともあるんじゃよ。BtoCはどこまで行ってもロジックにはならんのじゃよ。

実はの、この「4C」を提唱しているロバート・ラウターボーンという人は、マッカーシーの「4P」を「時代遅れの過去の遺物だ」と攻撃して登場したんじゃ。ワシもアメリカで講演を聴いたことがあるんじゃが、「もう4Pの時代は終わった、これからはラウターボーンの4Cの時代です」と何度も言っておったんじゃ。事実その通りではあるんじゃが、ひとつだけ残念だったのは、誰も「ラウターボーンの4C」とは言ってくれないことじゃな。この人は「IMC:インテグレート・マーケティング・コミュニケーション」というフレームワークの提唱者の一人でもあるんじゃが、これもラウターボーンの名前とセットで記憶している人はおらんじゃろ。ちょっと人柄的に残念な人なのかもしれんの。

ワシが思うに、ジェローム・マッカーシーが4Pを提唱したのは1960年代の初めじゃから、今からもう50年も前なんじゃ。
この間に市場や消費行動も変化し、企業の購入プロセスも大きく変化したんじゃが、激しくなる企業競争の中で最も進化したのは「より顧客の視点で」という考え方なんじゃ。通信販売しかり、宅配便しかり、インターネットしかりなんじゃ。顧客の利便性を徹底的に追求した企業や製品が大きく伸びたんじゃな。これはそのまま「マーケティングの進化」なんじゃよ。

じゃがな、ワシらが生活している現実を見れば、残念じゃが日本はまだまだ4Pの中にいるのがわかるじゃろ。
例えば、数年前に日本にアマゾンが進出する前までは、本は本屋でしか買えなかったし、その本屋に在庫が無ければ注文してから2週間も待たなければならなかったんじゃ。国内ならどこでも1〜2日で物が届くのが当たり前の世の中で、なんで2週間かと言えば、日本独特の書籍の流通事情が優先されていたんじゃな。でも、こんな不便をいつまでも我慢するはずがないんじゃ。今、日本の出版会社でアマゾンに足を向けて寝られる会社は無いじゃろう。

つまり「マーケティングの判断基準をターゲットセグメントに置く」という原点回帰の時代になったということじゃな。

特に社歴のある企業にとって今最も重要な経営課題は、マーケティングの判断基準を自分の企業のターゲットセグメントに転換できるかどうか、だと思うんじゃ。今まで「売る側」の論理だけで考えられてきたさまざまな仕組みを「買う側」の視点で総て作り直さなければ、自分たちの定義したターゲットセグメントから退場を宣告されることになるじゃろう。
そうならん内に、自己変革をして欲しいとワシは願っておるんじゃ。

Copyright © 2010 Noyan All Rights Reserved.・・・・・・・