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2010.05.26

マーケティングとセールスの有機的な連携とは

日本人の器用さゆえに異なるプロセスをひとりでこなしてきたBtoB営業。6つに分けられるプロセスをひとりで行うのではなく、有機的に「繋ぐ」ことがBtoB営業の課題を解決します。

こんにちは、ノヤンじゃよ。
すっかり夏の陽気じゃが、マーケターのみなさんはいかがお過ごしかの?
お陰様で、このCampusも今では4万人を超えるマーケターの人々に配信できるまでになったんじゃ。一緒に学べる人がこんなに増えて本当に感謝しておるんじゃよ。

さて、今日は新入社員が頑張っている季節なので、基本に立ち返って「BtoBのマーケティングとセールスの関係ってなんじゃろ?」ということを話そうと考えておるんじゃ。マーケティングの理論だけ勉強しても、マーケティングは「売れる仕組みを創ること」という定義からすれば、実際に「売る」現場、つまりセールスとの関係を考えなければ意味が無いからの。

BtoBとひとことで言っても、売っている製品やサービス、その価格帯、ターゲット市場などによって多種多様じゃから、今回は「ソリューション型の製品やサービス」を例に話そうと考えておるんじゃ。
ソリューション型とは何かと言えば、それが売れる理由が「問題解決型」かどうかというものじゃな。
シンフォニーマーケティングのクライアントの大半はこのソリューション型じゃし、この商材が最も高度なマーケティングとセールスとの連携を必要としているんじゃよ。
案件単価で言えば20万円以下の、例えば量販店やECサイトで売っているものではなくて、直販営業や販売代理店の営業が訪問して、ヒアリングし、提案書と見積もりを出して販売するような、商談単位で数百万円から数千万円、場合によっては億の商談になるような製品やサービスのことじゃよ。

こうしたソリューション型の製品・サービスの新規受注のプロセスを分解すると6つのステップに刻むことができるんじゃ。

ステップ-1:案件創出

ソリューションとは問題解決じゃから、基本的に相手の社内にその製品・サービスで解決できる問題が存在しなければ話は始まらないんじゃな。解決すべき問題が存在しない、つまり「ニーズが無い」というやつじゃ。過去には有ったかもしれんし、未来には発生するかもしれんが、今は無いとすれば営業案件にはなりえないんじゃ。
「ならばなぜ火災保険が売れるのか?」という質問をした人がおったの。確かに保険の効果が発揮されるのは未来じゃし、もしかしたら運良く永久に効果を発揮しないかもしれん。しかし、効果を発揮するのは未来でも、「起きる可能性のあるリスクをヘッジできていない」という問題は「今」存在するんじゃよ。だから企業は火災保険を買うわけじゃよ。

では、社内に解決すべき問題が在れば良いかといえば、それだけではないんじゃ。それはBtoBの製品・サービスの場合は売りたい企業を想定して、そのターゲット向けにスペックを最適化することで競争力を磨いておるので、想定ターゲットと違えばやはり案件にはなりにくいんじゃ。

例えば、製造業ならどこでもなんらかの方法で材料や仕掛品などの在庫管理をしておるものじゃな。でも、従業員30名でひとつの工場で操業している会社と、日本と台湾とベトナムの10ヶ所以上に工場を持つグローバル企業では、当然在庫管理のしかたも違うし、使うツールも違うんじゃ。じゃからこの案件創出のプロセスでは、「企業プロファイル」と呼ばれるさまざまなデータでふるいに掛けることも重要な活動なんじゃよ。

つまり、「企業プロファイルがその企業が販売している製品・サービスのターゲットと一致し」、かつ、「社内に『今』問題が存在する企業」だけが営業案件になる可能性があるんじゃ。これをマーケティング用語では 『クオリファイドリード:Qualified lead』 と呼ぶんじゃ。絞り込まれた見込み客、という意味じゃよ。
これを探し出すことは簡単ではないが、もしこれを探さないで営業をするならば、営業は途方も無い無駄足を踏み、遠回りをし、その結果多くの時間と、受注機会を損失することになるんじゃ。

人件費が企業の経費の多くを占めている日本企業の現状ではとてもこんな無駄や遠回りはできないんじゃ。
じゃから、さまざまな方法で見込み客データを収集し、競合を含む営業対象外を丁寧に排除し、残った見込み客データを啓蒙・育成し、そして絞り込む、というプロセスはとても重要なんじゃよ。マーケティング用語でリード・ナーチャリング(見込み客育成)とかデマンド・ジェネレーション(案件創出)と呼ばれるのはこのプロセスのことなんじゃ。BtoBでは、ここが最初のステップなんじゃよ。

ステップ-2:ヒアリング

では、クオリファイドリード(有望見込み客)を探し出したとして、次のプロセスは『ヒアリング』なんじゃ。
アポイントを取って、訪問して、お客様の状況を聞く、というプロセスじゃな。こう書くといかにも簡単そうに聞こえるが、実は非常に難しいプロセスなんじゃ。
なぜなら、ここで最初に求められるのは「人格」だからなんじゃよ。

なぜこのプロセスに人格が必要なのか?それは、問題を抱えている企業がそれを認め、状況を話してくれるには信頼関係が必要だからなんじゃ。問題というのは在る意味「弱み・弱点」に通じるものじゃから、信用できない相手に弱みを開示することは無いんじゃよ。
誠実さ、情報管理の意識、社会人としてのビジネスマナー、などを相手が感じとってくれなければこの関門は通れないんじゃ。
また、いくら誠実でも、問題を解決できなければ意味がないので、この人、またはこの会社ならば自社の問題を解決できるかもしれない、と思ってもらえなければならない。つまりこちらのスキルを伝えなければならないんじゃ。問題を解決できそうも無い人には、弱みを打ち明ける価値なんて無いからの。

さらに、このプロセスで求められることは「聞き上手」ということじゃ。良く間違える人がいるんじゃが、決して「話し上手」ではないんじゃよ。
じゃから自社の製品・サービスのセールスポイントをまくしたてるような営業は、ソリューション型と呼ばれる商材には不向きなんじゃよ。

ステップ-3:理解

さて、相手が話し始めた次のプロセスは、ヒアリングした内容を理解することじゃ。
聞くことと理解することは同じと思うかもしれんが、実は全然違うんじゃ。話を聞くだけなら誰にでもできることじゃが、理解するにはその分野の予備知識や経験はどうしても必要になるんじゃ。

製造業の生産プロセスを知らない人間にBOMと呼ばれる部品管理ツールやライン設計の話をする気にはならんじゃろうし、ITの基礎知識の無い人間にルータやミドルウェアの話をしても意味がないじゃろ。
お客様が説明をはじめて、もし営業が話を理解できなければ、相手の態度はみるみる失望へと変わるじゃろう。「こんな相手に時間を取るべきでなかった」と思われたら、もう二度と会ってはもらえないはずじゃ。

だからここでは、理解する力、つまり「洞察力」と呼ばれるスキルが必要なんじゃな。これは難しいスキルじゃよ。
ヒアリングをしていて、相手が営業に対して畏敬の念を抱く時があるんじゃ。それは、まだほんの少ししか説明していないのに、話を聞いている営業が自社の問題の本質を理解した時なんじゃ。相手は、この洞察力から、その営業や会社の深い経験に裏打ちされた問題解決能力に信頼を寄せるんじゃよ。

ヒアリングのプロセスでは、何度説明しても理解できない営業には失望が広がり、逆に数少ない鋭い質問によって問題の本質を理解する営業に対してはヒアリングを通して信頼度が増していくものなんじゃ。
聞くことと理解することは違う、というのはこのことなんじゃよ。

ステップ-4:企画

4番目のプロセスは、ヒアリングして正しく理解した相手の問題を解決する、プランを考えることじゃ。
自社の製品・サービス、そして自社以外のパートナーの製品やサービスを組み合わせて最適で経済合理性のある解決策を考え、それを企画書にまとめなければならないんじゃ。
ここで必要なスキルは「イマジネーション・想像力」なんじゃよ。

どんな製品やサービスをどう組み合わせたらその問題を解決できるのか、もっと他に良い方法は無いのか、もし以前に試みて失敗した方法だとしても、今回も失敗するとは限らない。でも、前回の失敗の原因を知らなければリスクが高すぎるじゃろう。
実はお客様の説明も疑ってみる必要があるんじゃ。それはお客様が嘘をついている訳ではなく、ものごとは『立体的で多面体』じゃから、立ち位置を変えればまったく違う面が見えてきて当たり前なんじゃよ。さらに時間軸を加えて4次元で見てみれば、不可能と思われている問題の解決が見えてくることだってあるんじゃよ。

「クリエイティビティ」、「アイデア」、「意外性」など、多くの要素が必要なこのプロセスは、ヒアリングした人が一人で悩むのではなく、専門分野や経験の異なる何人かでワイワイやるのが良い方法なんじゃよ。目の前の問題と自分の経験や知識が化学反応を起こして新しいアイデアが出る訳じゃからな。
企画屋にとっては一番ワクワクする楽しい会議じゃな。

ステップ-5:プレゼンテーション

お客様の問題を解決できる良い企画書が書けたとして、次の5番目のプロセスはプレゼンテーションじゃ。
こちらが、いかに相手の問題の本質を理解し、その問題を解決する企画を考えても、顧客がそれを採用してくれなければ、その企画は陽の目を見ることはないんじゃ。
相手が、これならば自社の問題を解決できるかもしれない、と可能性を感じ、さらに解決に要するコストが経済合理性に適っているか、などを魅力的に表現しなければならないんじゃ。
さらに社内の稟議を突破するには『なぜ今なのか?』という問いに対する答えも用意しなければならないんじゃ。つまり、今その問題を解決しなければ、これだけの機会損失を発生させる、これだけの利益を失う、ということを表現しなければならないんじゃ。

ここは、今までのどのプロセスとも違う「表現」というスキルが必要なんじゃ。
また、本気で導入を考えているお客様であれば、担当者が出てきて具体的で詳細な質問をしてくるものじゃから、一人ではなく複数で対応した方が良いんじゃよ。よく広告代理店のプレゼンテーションで7〜10人がぞろぞろと並んで座っている場面があるじゃろ。ほとんどの人は最後まで何も話さないので、「あれは枯れ木も山の賑わいってやつですか?」などと質問されることがあるんじゃが、決してそうではなくて、どんな質問にも答えられるように各分野の専門家を揃えている場合がほとんどなんじゃよ。

ステップ-6:クロージング

こうして5つのプロセスを無事通過したら、最後のプロセスはクロージングじゃな。
お金やその支払い条件などをまとめるスキルじゃよ。
BtoBの場合、アカウント制と言って、顧客に担当営業が付く組織にしているケースも多いので、その場合の営業は、お金の話の担当者と呼ばれることもあるんじゃ。ここは多くは事務作業じゃから、今までとは違って、経理屋さんのようなタイプが強いんじゃな。

*

こう話すと、「俺はその6つのステップを全部ひとりでやってるよ」 という人がおるかもしれん。実は日本のBtoB(法人営業)は長い間この総てのプロセスを、レベルはともかく営業個人がやってきたんじゃ。
そこが日本人の器用さでもあり、また今多くの企業がぶつかっている限界でもあり、結果としてBtoBのマーケティングが欧米から大きく遅れた原因でもあるんじゃな。
特性の異なる6つプロセスを全部高いレベルで実現できるスーパーセールスがいなければ販売できない事業なら拡大なんて不可能じゃし、そんな人間を養成する時間とコストを考えれば、ここは複数の人間やチームがリレーして実現していくべきなんじゃよ。

マーケティング、インサイドセールス、セールスアシスタント、そしてセールスなどの人や組織を有機的に組み合わせ、連携させて、本当に売上げに貢献する最適な仕組みを創った企業だけが勝ち残ることができる、とワシは考えておるんじゃ。

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