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2010.07.22

ドラッカーの名著「創造する経営者」

経営学の父と言われるドラッカーの名著をノヤン先生が解説します。普遍的な考え方を学ぶ最良の一冊です。

こんにちはノヤンじゃよ。
今日は、ドラッカー博士の名著のひとつで、マーケティングを志す人にとっては必読書でもある、「創造する経営者」(Managing for Results)を紹介しようと考えておるんじゃ。

最近、 「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの 『マネジメント』 を読んだら」 という本がベストセラーになっているそうなんじゃ。こういう本が売れることはとっても良いことじゃ、とワシは思うんじゃよ。
経営やマーケティング関連の書籍は売れない、と言われる中で、工夫された良いコンテンツならば売れる、という証明になるからの。そして、どんな形であれ、ドラッカーに興味を持つ人が増えることは良いことなんじゃ。
なにしろ経営学の古典にして、原点なんじゃからの。

簡単にドラッカーの人となりを説明しようかの。
ピーター・F・ドラッカー博士(以下ドラッカー)は、経営学の父とも、経営の神様とも呼ばれる人での、「経営学」を発明した人、と言っても良い人なんじゃ。
マーケターにとっては、P・コトラーや、T・レビット、ブランド論のD・アーカーキャズム論G・ムーアなどに比べると、少し遠い存在かも知れんが、経営(マネージメント)を体系化し、学問分野として確立したのはこの人の功績なんじゃ。

アメリカの大企業の経営者は知力も高く、鼻っ柱も強い実力者ばかりじゃから、コンサルタントや有名大学の教授と言えども、その理論に納得しなければ素直にアドバイスを受けたりはしないものなんじゃ。
ところが、このドラッカーは30歳で初めての著作を上梓して以来、2005年に95歳で亡くなるまでの65年間、常に経営学のトップに君臨し、全米はもとより世界中の経営者から尊敬を集め続けておったんじゃ。
この変化の激しい時代に、65年間も世界の頂点に立ち続けることはあらゆる学問分野の中でも極めて稀なことなんじゃよ。

ドラッカーは1909年にオーストリアのウィーンで生まれたんじゃ。その後ドイツの新聞社に就職したのじゃが、ユダヤ人の家系だったこともあって、ナチスの政策から逃れるためにイギリスに移住し、さらにアメリカに移住したんじゃ。
その間、新聞記者、投資銀行などで働きながら経済学の論文をまとめ、アメリカに移住してから「経済人の終わり」を出版して脚光を浴び、経営学を専門とする学者へと転身していくんじゃよ。

ドラッカーは、その生涯の中で「イノベーション」「テクノロジスト」「チェンジ・リーダー」など数多くの経営用語を世に広めておるんじゃ。
その生涯に膨大な著作を遺しておって、日本でも多くが出版されておるんじゃが、そのいずれもが含蓄に富み、徹底した調査と鋭い洞察力、そして比喩やウィットに富んだ表現力で書かれておるんじゃよ。読んでみれば判るが、ドラッカーの著作はどれも読み物として面白いんじゃ。

コトラーのような百科事典でもないし、ポーターのような難解な学術論文でもない。かといってドン・ペパーズのように面白いけど中身が空、でもないんじゃな。
同じように、骨太の内容でありながら、痛快なまでに面白い表現力を持った学者にマーケティングの大家T・レビットがおったが、レビットはその生涯に数冊の著書しか残していないのに比べ、ドラッカーの著書や論文は途方も無い数なんじゃよ。

その数多い著作の中でも、ワシがとりわけ好きなのが今日紹介する名著 「創造する経営者」 なんじゃ。

これが「Managing for Results」という原題で発表されたのは1964年なんじゃ。46年も昔に書かれたものなのに、その中身は少しも色褪せずに、逆に現代の経営者により多くの示唆を与えていることは脅威としか言いようが無いんじゃな。ドラッカーが50代前半の最も脂の乗った時期に書いた本じゃよ。

ここで紹介している「新訳」の前書きはこう始まっているんじゃ。

「本書は、今日、事業戦略と呼ばれているものについての世界で最初の本である。」

まさにその通りで、この本は以下の三部構成で事業の本質や、経営資源の本質を定義し、解説しておるんじゃ。

  • 第一部 : 事業の何たるかを理解する

  • 第二部 : 機会に焦点を合せる

  • 第三部 : 事業の業績をあげる

この第一部の中でドラッカーは以下のように断言しておるんじゃ。

「事業の目的は顧客の創造である。」

ドラッカーの書籍を読むと、マーケティングを経営の目的と言ったり、ちょっと見下したり、といろいろな見かたが出てくるんじゃ。それでドラッカーを浅く読んで、ドラッカーはマーケティングがあまり好きでは無い、などと言う人がいるんじゃが、そうではないんじゃよ。
よく読めば判ることじゃが、顧客に焦点を当てたマーケティングを「経営の本質」と位置づけ、逆に製品や価格を決めるときのリサーチや、販売予測、広告、在庫を一掃するためのキャンペーンなどの、顧客満足に立脚しない活動を一段低く評価しているんじゃよ。
これも「事業の目的は顧客の創造である。」という定義と合致しているんじゃな。

さらに、事業の定義を「知識」としているところがドラッカーの真骨頂じゃな。こう書いて有るんじゃ。

「顧客が事業であるのと同じように、知識が事業である。」
「事業とは、市場において知識という資源を経済価値に転換するプロセスである。」

まさにその通りじゃな。

また、この本には他のドラッカーの著書にもまして名言が多いんじゃ。

「成果をあげるには、資源を、問題ではなく、機会に投じなければならない。」

「顧客や市場について、企業が知っていると考えていることは、正しいことよりも間違っていることの方が多い。」

「企業が売っていると考えているものを、顧客が買っていることは稀である。」

「通常、競争相手とみなしている製品やサービスが、本当の競争相手であることは稀である。」

「まず必要なことは、見えるようにすることである。」

まったく耳の痛い名言の数々がそこここに散りばめられている本なんじゃよ。
そしてこれらの名言を解説するための事例が本当に詳細に調査・研究されたものなんじゃ。ここが学者としてのドラッカーの凄さじゃの。ドラッカーは当時世界最大の製造業であったGMの研究で有名なんじゃが、その研究対象の広範さは言語を絶するんじゃ。

企業では、IBM、GE、シーメンス、ベル、ジレット、シアーズ・ローバック、タイム、リットンなどの大企業が、ある場面でどう判断し、その結果はどうであったのか、を明らかにして、解説を加えておるんじゃ。
また、成功した大手企業ばかりでなく、経営判断を誤って大手企業の傘下に入らざるをえなくなった企業も丁寧に取材して、なぜそうなったか、どこで間違ったかを明らかにしているんじゃよ。

ドラッカーはまた経営の大きな課題であるコミュニケーションに関しても、多くの著作で解き明かしておるんじゃ。企業のマネージャーだけでなく、歴代のアメリカ大統領などがそれぞれの得意を活かして指示やコミュニケーションを行った例を分析しておるんじゃよ。
国家のトップマネージメントは大統領じゃからの。

この「創造する経営者」の中では、経営資源の活用に関しては、19世紀を代表するユダヤ財閥であるロスチャイルド家が、創業者の次の第2世代の兄弟たちをその個性に合わせてどう配置したか、という解説を通して、知識集約型のビジネスでは人が最大の経営資源であり、これを特性に合わせて最適配分することが大きな成果をもたらすことを解説しておるんじゃ。
興味深いのは、この中でロスチャイルド家が活用しなかった人的資源についても触れている点じゃな。要求する水準に達していない資源は活用しないことが最も正しい場合を教えてくれるんじゃ。成功の裏には最大活用した経営資源もあれば、戦略的に活用しなかった経営資源もあるということなんじゃよ。

まさに古今の歴史を渉猟し、研究し尽くしているから書ける内容なんじゃな。

今年の夏休みにはドラッカーを何冊か読破してみてはいかがかの。マーケターは知力を磨くことを常に意識しなければダメじゃよ。
その時には是非、この「創造する経営者」を加えて欲しいもんじゃの。

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