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ホーム > 講座 > ノヤン先生のマーケティング講座 > リードナーチャリングと行動解析の密接な関係

2010.11.18

リードナーチャリングの仕組みを作り、売上げに貢献するには、データマネージメントと、コンテンツマネージメントの高度な融合が不可欠なんじゃ。そしてさらに重要なのは、行動解析なんじゃよ。

嬉しいことに、最近日本でも 「リードナーチャリング」 という言葉をよく目にするようになったんじゃ。
これは途方も無く素晴らしいことじゃとワシは思っているんじゃよ。
なぜなら、リードナーチャリングこそがBtoBマーケティングのコアだからなんじゃよ。

そんな言葉は知らんわい、という人のためにちょっとだけ 「リードナーチャリング:Lead Nurturing」 の説明をしようかの。

「リード」は言うまでもなく「見込み客」のことじゃよ。「ナーチャリング」とは「育成」という意味の言葉なんじゃ。じゃからこの言葉は、「見込み客の育成プロセス」を指すマーケティング用語なんじゃよ。
見込み客を集めることを 「リードジェネレーション:Lead Generation」 というじゃろ。その次、つまり後工程と考えれば良いじゃろう。ちなみに、ここ数年でアメリカを中心に流行っているマーケティング用語で、「デマンドジェネレーション」というのがあるんじゃが、これは

  • 見込み客の獲得 (リードジェネレーション:Lead Generation)

  • 見込み客の育成 (リードナーチャリング:Lead Nurturing)

  • 見込み客の絞込み (リードクオリフィケーション:Lead Qualification)

という3つのマーケティングプロセスをひとくくりにした言葉なんじゃな。
今日のテーマの 「リードナーチャリング」 はその真ん中のプロセスじゃよ。

具体的には、展示会やWeb、セミナーや営業の名刺交換によって収集した見込み客を、啓蒙・育成し、営業が訪問する価値のある有望見込み客に育成するプロセスを指すんじゃ。

日本では、BtoCのいくつかの業界で、昔からこの手法を使っていたんじゃ。カーディーラーや住宅販売業者じゃな。彼らは展示場やショールームに来た人にアンケートを書いてもらうことで個人情報を取得し、その見込み客に対して郵便を使ったステップメールを出すなどして育成しておったんじゃ。読者の人の中にも、段階的に内容の違うDMを受け取った経験のある人がいると思うんじゃ。

こう書くといかにも売り手都合で、まるで顧客を農作物のように考えているように聞こえるかもしれんが、営業が訪問する価値がある、ということは、顧客側にも営業が持っている情報に価値を感じている場合が多いんじゃ。じゃから決して一方的でも、売り手都合でも、プロダクトアウトでも無い考え方なんじゃ。

もっともそう言いきれるのは、ナーチャリングの進捗度合いの測定(スコア)に行動解析を反映させている場合だけじゃがの。

行動解析とは企業に所属する個人の行動を解析することなんじゃ。どの展示会に来たか、どのセミナーに参加申し込みをしたか、Web上のどの資料を請求したか、などの行動を時系列で紐付け、これを解析することによって、その人がどういう情報を求めているかを分析するんじゃな。
BtoBの場合は担当している業務の情報を探している事が多いから、その人が反応した情報から、その人が所属している企業の内部に発芽したニーズを予想することができるんじゃよ。これを業種や売上げ、資本金などの企業の属性データだけでスコアをしてしまうと、営業案件を生み出す確率がぐっと下がってしまうんじゃ。

でも、展示会やセミナー、Web上の資料請求や動画の視聴、そしてメールへの反応、それらの行動を個人に紐付けてスコアリングするのはけっこうな手間が掛かるし、データベースを中心とした仕組みにも投資が必要なんじゃ。

そんな手間とお金を掛けて育成する価値が、展示会の収集アンケートや過去の営業名刺にあるのか?と考える企業も多いじゃろ。

でも、ワシの経験では、ちゃんとしたマーケティングの設計に従って仕組みを作り、ナーチャリング(育成)すれば、社内で眠っていた名刺や過去の展示会アンケートからびっくりするくらいの有望な営業案件が生み出せるものなんじゃ。

日本のBtoBマーケティングの特徴のひとつに、リードナーチャリングに長い時間が掛かる、というものがあるんじゃ。
これには明確な理由があっての、つまり意思決定のプロセスが欧米と違うんじゃ。欧米の企業がトップダウンで意思決定するのに比べて、日本はボトムアップ型じゃから、部下から上司へ、若い人から先輩へと情報や稟議が昇っていき、やがて必要なハンコが並んで決定するという独特のプロセスが必要なんじゃよ。

このことは、日本では欧米よりも多くのリード数、つまり育成する母数が必要だし、ナーチャリングにも長い時間を必要としている、ということを意味しておるんじゃ。どんな会社でも社長は一人じゃが、部長は20人以上もいるし、課長は100人以上、課長補佐まで入れれば300人以上もいる会社も珍しくないんじゃ。その中で誰が意思決定者に最も影響力が有り、意思決定者の意を汲んで情報収集しているかを探る作業が必要なんじゃ。

これは「良い悪い」で議論してもはじまらないんじゃよ。日本はそういう国なんじゃ、という前提でマーケティングを設計しなければこの国では機能しないんじゃよ。

例えば東京ビッグサイトで開催されるBtoBの展示会を考えてもらいたいんじゃ。「設計・製造ソリューション展」「ITPro」などのことじゃよ。あのようなビジネス系の展示会に来場する人は、一般に思われているよりはるかに有望度が高いんじゃ。なぜなら何重にも絞り込みが済んでおる見込み客なんじゃからの。

こうした展示会の受付で高い入場料を払っている人をほとんど見ないじゃろ?大半の来場者は出展企業から招待券を受け取って入場しておるんじゃ。つまり出展企業からみて来て欲しい企業の人というのが最初のスクリーニングなんじゃ。次に、多くの展示会は平日に開催されるから、来場者は上司の許可がなければ来られないはずなんじゃ。

「この展示会に行きたいのですが?」
「君が行ってどうするんだね?それよりこの仕事をとっとと終わらせてくれ」

ということで、つまり第2のスクリーニングは、企業にとって情報収集する価値のある人が来ているということなんじゃ。

そして、第3のスクリーニングは、展示会場での場所なんじゃ。日本の展示会は同じような業種・業態を近くにレイアウトする傾向が強いから、自社のブースの周辺にいる人から、競合、つまり出展企業社の関係者を引けば、かなり良い見込み客データを集めることが出来るんじゃよ。
こうして3重のスクリーニングを経て集められた見込み客はビジネスの貴重な種じゃから、PCの中や、デスクの引き出しの中で放っておかないで、きちんと整理整頓して、競合排除をしてから、大事に育成(ナーチャリング)すべきなんじゃよ。

もちろん簡単な工程ではないんじゃ。日本企業が今まで最も苦手としていたプロセスなんじゃからの。

「一生懸命通い続けて4年目にはじめて見積もり依頼をいただいた」なんていう美談を聞いたことがないかの?
実は、この工程は今までは営業マンが個人的に「足」と「汗」と「勘」と「粘り」でやっていたんじゃ。用事が無くてもマメに訪問する、年賀状や暑中見舞いを書く、ゴルフや夜の接待を通じて人間関係を構築する、という手法じゃな。これもリードナーチャリングだ、と無理に言えば言えるかもしれんのじゃが、これからは難しい時代になったとワシは考えておるんじゃよ。

今は、そもそも用事が無ければアポイントが取れないし、どの企業もセキュリティを強化しておるからアポイントが無ければ訪問することも出来ないんじゃ。それに、どの企業でも、実質的な購入の意思決定者はどんどん若く、役職も低いレベルに権限委譲を進めておる。
そうした若い人は銀座で飲んだり、ゴルフに行ったりはしないし、自分の時間を大事にするから、営業からの電話や飛び込み訪問を嫌う傾向が強いんじゃよ。

では、どんな仕組みを構築すればこのリードナーチャリングが出来るのかの。

先ず間違えてはいかんのは、この工程ではSFAは使えない、ということなんじゃ。つまり、少なくともBtoBではリードナーチャリングにSFAは使えないと考えた方が良いんじゃよ。
そもそもSFAは営業案件を、受注・失注まで可視化しながら「プロセスマネージメント」する専門的なツールなんじゃ。
名寄せや、大量のメール配信や、メール配信後のリストメンテナンスや、Webの行動解析からのスコアなどが苦手なのは、営業案件のプロセスマネージメントには必要無い機能だからなんじゃよ。

SFAは営業部門や販売代理店が持っている営業案件の進捗管理や、営業チームの行動管理には素晴らしい威力を発揮するんじゃ。でも、専門性の高いツールは汎用性は低いものなんじゃよ。
SFAの役割は営業案件を可視化して成約率(案件の決定率)を上げるところじゃ。成約率の分母は案件数、分子は成約件数じゃな。
当然じゃが、成約件数、つまり分子は、分母である案件数を超える事はありえないんじゃ。そしてSFAは案件を生み出す機能(リードナーチャリング)は持って無いから、SFAを導入しても営業案件数が増えることはないんじゃ。
じゃからSFAとは別に、リードナーチャリングの仕組みを持たなければ、結果的に売上げを増やすことはできないんじゃ。

ワシは、この工程、つまりリードナーチャリングをちゃんとやろうと思えば、データマネージメントとコンテンツマネージメントの高度な融合しかないと考えておるんじゃ。

今、日本の企業内でもっとも意思決定に強い力を持っているのは30歳代の技術系の社員じゃと言われておるんじゃ。その彼らは、営業からのアポ取り電話や、飛び込みセールスは嫌う傾向にあるんじゃ。彼らは欲しい情報を欲しい時に手に入れたいと考えておって、押し付けられるのは嫌なんじゃよ。

だからWebなんじゃ。彼らは必要な情報の大半をインターネットで採っておるから、Web上に良いコンテンツを置いておかなければ話は始まらないんじゃ。
しかし、Webに良い情報を置いて、ページビューを増やすだけでは意味がないんじゃ。誰がいつ、どの情報をどのくらい深い階層まで見たか、どの情報をダウンロードしたか、が判らないのでは、行動解析にはならないからの。

つまり良いコンテンツと、そのコンテンツに興味を持って観た人を紐付ける仕組みが、どうしても必要なんじゃよ。この リードナーチャリングの最終段階でノベルティを使うことはリストの質を落とす自殺行為なんじゃ。営業なら誰でも、図書券が欲しくて資料をダウンロードした人のリストなんて追いかけたくないじゃろう。

ワシが、マーケティングとは「科学」と「感性」の両面を併せ持つ、この世で最も素敵で面白い仕事のひとつじゃ、と考えておるのは、この創造性あふれるコンテンツマネージメントと、精緻な紐付けが要求されるデータマネージメントの融合のことなんじゃ。

この仕組みを作ることができれば、受注確率の高い営業案件を生み出し続ける「育成箱」になるんじゃよ。
実はの、シンフォニーマーケティングのお客様が時々、「育成箱」とワシらのリードナーチャリングサービスを呼ぶことがあるんじゃ。社内でそう呼んでおるんじゃろうな。そんな時お客さまは、あわてて「DBFocus」とサービス名に言い直してくれるんじゃが、ワシらにとっては言うまでもなく最高の誉め言葉なんじゃよ。

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