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2011.01.19

「スコア」に見る世界の潮流とリードナーチャリングの関係

BtoBマーケティングの潮流である「リードナーチャリング」(見込み客の育成)はスコアと組み合わせなければ営業に貢献できません。でも、それにはツールだけ導入しても解決しない問題があるのです・・・

新年おめでとうございます
今年は、ワシの棲むシンフォニーの森はとってもおだやかな正月だったんじゃ。日本晴れでの。いやぁ、めでたいの。

ワシは、2011年こそは日本のBtoB企業が本格的にマーケティングに取り組む記念すべき年になると確信しておるんじゃ。
シンフォニーマーケティングが毎月開催しているセミナーの参加者リストや、その熱心な聴講の様子などを見れば、彼らが「本気」なのが良く判るんじゃ。

それにの、昨年末に、あるリードナーチャリングの研究会に参加させてもらったんじゃが、これが凄い熱気での、プレゼンテーションもそれぞれ素晴らしかったんじゃよ。やっと日本もここまで来たか、と本当に心強く感じたんじゃ。思いがけず古い友人や、昔のスタッフにも再会できて嬉しかったんじゃ。
日本のBtoBマーケティングが先進国から大きく遅れているのは残念ながら事実なんじゃが、「追いつき、追い越す」ことは日本人の得意中の得意技じゃから、ここから一気に追いつき、まくりたいもんじゃの。

さて、今回はそんなBtoBマーケティングのここ数年の世界的なトレンドでもあり、今後の主役でもある「スコア」について話そうかの。

リードナーチャリングとは「見込み客の育成」という意味じゃと前回のコラムで説明したんじゃが、育成しっぱなしでは意味が無いんじゃよ。常に育成状態をチェックして、収穫時期を見極め、絞り込まないと、せっかく育てた見込み客を競合他社に収穫されてしまうからの。

この工程をリードクオリフィケーション(Lead Qualification)と呼ぶんじゃ。クオリファイとは「絞り込む」という意味があり、有望見込み客リストを「クオリファイドリード」(絞り込まれた見込み客リスト)と呼ぶのじゃが、その絞り込む時に使うのが「スコア」なんじゃ。
「スコア」とは、英語の「Score」で、名詞では「得点、採点」などの意味があり、他動詞では「採点する」となるんじゃ。じゃから見込み客の採点のことを「リードスコアリング」などとも呼ぶんじゃよ。顧客や見込み客をその有望度でセグメントするために採点する方法じゃと考えれば良いじゃろう。

エディ・バウアーやL.L.ビーンなどの通販カタログで何かを購入した人で、いつの間にカタログが届かなくなった、という経験をしたことはないかの?こうした通販会社は、カタログの制作費と発送費が膨大なコストになるので、常に「RFM」と呼ばれる顧客分析手法でスコアをしており、この総合スコアが一定の点数以下に下がると、すぐにカタログの発送を止めるんじゃよ。これは「引くスコア」じゃの。

一方、航空会社は競合から守るべき優良顧客を選別するために、利用してくれた距離(マイル)でスコアリングしているんじゃ。これは先程のRFM分析の「F」(フリークエンシー)だけを使ったスコアリングなんじゃ。マイルだけをスコアリングしているので「マイレージプログラム」と呼ばれておるんじゃが、マーケティング的に見ればあれは「フリークエンシープログラム」なんじゃ。
守るべき顧客を選別し、経営資源やリソースを投入することが目的じゃから、マイルが貯まればアップグレードもしてくれるし、優待もしてくれるんじゃ。これは「足すスコア」じゃの。

BtoBの世界でも、スコアは呼び方はともかく、昔から行われていることなんじゃ。
営業がテレアポ先を決める時に四季報やWebで企業の規模や売上げ、直前期の利益などをチェックするのもある種の「スコア」じゃし、LPガスの営業マンが訪問前にビルの裏口へ廻って、置いてある競合企業のガスボンベに印刷してある会社名から今の納入業者を探り当て、価格帯で勝てそうな企業から訪問する、という行動もスコアなんじゃ。定量的とは言えんがの。

もっとも頻繁に使われるスコアは、BtoBでよく行われるセミナーじゃろう。参加申し込みをして5点、当日出席して2点、アンケート項目の「興味がある」「詳しい説明が聞きたい」「デモが見たい」などにチェックがしてあれば3点という具合じゃな。こうして各アクションの得点まで決めないとしても、どの企業もある程度はやっているものなんじゃ。

ではなぜ最近になって世界的に「スコア」が注目されているかというと、この見込み客のスコアリング業務が営業から離れ、マーケティング部門のコア業務になったからなんじゃ。
営業部門の人件費が経営コストの大きな部分を占めているのは日本も欧米も同じじゃから、そこを少数精鋭にするためには、セールスの前工程を「仕組み化」するしかないんじゃ。それがよく言う「プル型」なんじゃよ。そのプルの仕組みがまさにリードナーチャリングと、スコアなんじゃ。

先進国のアメリカでは、10年程前からキャンペーンやWebの行動解析などからスコアをするための「マーケティングオートメーション」と呼ばれるツールがどんどん登場しておるんじゃよ。楽しいの。
でも何事もそうじゃが、良い成果はツールを買い揃えただけで出せるものではないんじゃ。道具は道具に過ぎないからの。

例えば、素敵な家で暮らしたい、と考えた人にとって重要なのは自分たちの夢やライフスタイルを理解して、それに専門知識を付加して図面に描いてくれる建築デザイナーであり、その図面の夢を現実の家に仕上げてくれる腕の良い大工さんなんじゃよ。建築デザイナーの使うCADや、大工さんの使うカンナやドリルのことなど誰も考えないじゃろう。
そもそもプロフェッショナルの使うツールとは本来そういうものなんじゃ。そういう意味では、今の日本はちょっとツールの話に偏り過ぎているような気がするの。

どんなツールもマーケティングの基本設計やチューニング次第ではまったく役に立たない、という例を話そうかの。
もう5〜6年前のことじゃが、アメリカの友人から、会社で最新のマーケティングオートメーションのシステムを導入したので見に来いと言われたんじゃよ。新しい機能に興味があったので見せてもらうことにしたんじゃ。
その会社は、ある小さな部門で数ヶ月間試験的に導入し、その社内レビューの日に同席させてもらったんじゃよ。

導入を主導したマーケティング部門、事業部長、営業部門など20人程が会議室に集まり、プロジェクターで映し出されたハイスコアリスト、つまり有望見込み客のリストを見ていた時じゃ、営業部門に入社して数ヶ月の若いスタッフが

「あ、これ僕のおばあちゃんだ」と言ったんじゃ。

最新のマーケティングオートメーションツールが最有望とスコアした人は、この新人スタッフのテキサス州のシスコという小さな町に住んでいたおばあちゃんだったんじゃ。

後で聞いた話なんじゃが、このおばあちゃんは、可愛い孫が入社した会社に興味があって、次に会う時に話が合うようにと、会社のWebを訪問して、いろいろな情報を閲覧したそうなんじゃ。もちろん書いてあることが難しくて良く判らんのじゃが、なにしろおばあちゃんにはたっぷり時間が有るから、ちょいちょいWebを訪問しては会社案内や製品情報を見たそうなんじゃ。
その内にWebにホワイトペーパーが在るのを見つけて、これをダウンロードするんじゃな。紙の方が見やすいからの。ダウンロードする時にユーザー登録画面が出てくるのでそれにサクサクっと入力したんじゃ。しかも、会社名の欄はどうすれば良いか判らなくて自分が住んでいる町の名前「Cisco」と入力したんじゃ。本当にそういう名前の町なんじゃそうな。

その当時、シスコシステムズはダン&ブラッドストリート(D&B)という日本で言えば東京商工リサーチのような信用調査会社の企業評価では最高の評価だったから、この評価に連携しているシステム上での所属企業スコアでは最高点になったわけじゃな。

おばあちゃんは暇に任せてホワイトペーパーを次々にダウンロードし、さらに動画を見つけて、もしや孫が映っていないかと一通り観るんじゃな。さらに面白い動画は何度も観る・・・。孫の仕事の内容が少しずつ理解できるから面白いんじゃ。
その一方で、裏側で動いているマーケティングオートメーションでは、こうしたおばあちゃんの行動がすべてスコアに反映されるから、最高得点になったという訳なんじゃな。

この会社のマーケティングチームはその後、社内でレビューをする度に「今度は誰のおじいちゃんだい?」と、からかわれたんじゃ。

ワシが名寄せや営業対象外排除(マージ&パージ)にこだわるのはこういう意味があるんじゃよ。
こうしたメンテナンスが出来ていないデータを使ってマーケティングを行うと競合や競合の代理店、自社の関連会社などが上位の有望見込み客になってしまい、営業に馬鹿にされるのがおちなんじゃ。

日本企業のマーケティング部門はやるべき仕事が途方も無く多いんじゃ。展示会、セミナー、パンフレット制作に、Web、メルマガ、そしてデータ管理にテレマーケティングの手配、やってもやっても終わりがないようじゃ。
しかしBtoB企業のマーケターは、こうした業務をそれぞれ個別にではなく、連携させた結果として、年間を通して営業にフォワードした有望見込み客リストの質と量で評価されなければならないとワシは考えておるんじゃ。じゃからこそ、「スコア」のノウハウがとっても重要なんじゃよ。

リード(見込み客)は、名寄せと営業対象外の排除(マージ&パージ)をして、ナーチャリング(育成)して、スコアリング(採点)して、クオリファイ(絞り込む)するもの、と考えなくてはならんのじゃ。
つまり、これらの活動をツールやイベント、メディア、外部サービス企業などを組み合わせて設計・実施することができて、はじめてマーケターなんじゃよ。

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