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2011.02.16

米国BtoBのWeb to Leadの進化の過程は?

Webを使ったリードジェネレーションが米国でどう発展したかと、なかなか日本でうまく行かない理由をノヤン先生が解説します。

さて、今日は【Web to Lead】の話をしようかの。
このところ「リードナーチャリング」や「スコア」の話ばかりをしてきたので、その前工程のリードジェネレーション(見込み客の収集)の話をしてください、という希望が多いのじゃよ。まぁ確かに、「そもそも育てる(ナーチャリングする)リードデータが足りません」という声を良く耳にするからの。
BtoB企業がリードデータを集める手段としては、日本では展示会、営業名刺、共催セミナーなどがオーソドックスなパターンじゃが、これらに替わる手段として期待されているのがWebなんじゃよ。
しかし・・・

ページビューはどうでも良いから、資料請求はなんで増えないんだ?」
「セミナーの集客にもっとWebを貢献させられないのか?」
「お問い合わせの大半は、売り込みじゃないか、見込み客や案件はどうなってるんだ?」

ここ数年、自社のWebの運営について、こんな不満の声があちこちの企業から聞こえてくるんじゃ。
一生懸命頑張っているマーケティング部門やWebマスターの切ない気持ちを考えると、本当に胸が痛むんじゃよ。

BtoBの場合、Webにナビゲートしてから受注までのプロセスが長過ぎるので、その基点となるページビューだけでは評価されないんじゃ。売上げや、売上げに繋がる営業案件、そして訪問件数などにフォーカスしている営業部門や経営陣から見れば、ページビューでは評価のしようがないからの。
では、どうしたら検索エンジン経由でWebに来訪した人から良質の見込み客を獲得できるんじゃろ?
その答えが【Web to Lead】なんじゃよ。

Web to Leadとは、SEOなどでWebに来訪した人からリード(見込み客)を獲得し、それをSFAに登録して営業がフォローすることで、より効率的なマーケティングを行おうとするもので、米国のいくつかの産業では既にこのスタイルが標準になっておるんじゃよ。
展示会への出展や共催セミナー、営業名刺の収集などの泥臭い地道な工程を経ずにリードジェネレーションができるなら、こんなに素敵なことはないかも知れんの。

Webマーケティングの基本をちょっとだけおさらいをしようかの。
SEO(Search Engine Optimization)とは言うまでもなくgoogleやYahoo!などの検索システムのロボットプログラムに自社のWebを最適化することで、検索の上位に表示してもらおうとするものじゃ。Webを利用する目的の多くが「検索」、と言われる時代じゃから、この検索エンジンに最適化することが重要なのは言うまでもないじゃろう。
これに近い役割を担うのがリスティング広告じゃな。これは検索連動型広告と呼ばれ、検索サイトの広告欄に、あるキーワードに連動して広告が掲載されるもので、そのキーワードを選んで購入するんじゃ。人気のキーワードは高いから、いかに安いコストで良いキーワードを購入できるかがWebマスターの腕の見せどころなんじゃよ。

このSEOやリスティング広告の世界で、数年前から重要視されているのが、LPO(Landing Page Optimization)というものなんじゃ。
これは、SEOやリスティング広告で検索サイトからWebに着てくれた人を、失望させないで、少しでも長くWebに滞在してもらうための取り組みなんじゃ。
例えばある企業サイトのWebマスターが一生懸命SEOを工夫し、限られた予算の中でキーワードを購入したとしようかの。
検索サイトからWebに来る人は増えるんじゃが、アクセスログを解析してみると、大半の人は着地したページに5〜7秒程滞在しただけで出て行ってしまうんじゃ。
これはの、検索エンジンで上位に表示された、または広告エリアの上位に表示されたURLをクリックしてWebを訪問した時に、そこに欲しい情報が在るかどうかを5〜7秒で判断して、無さそうなら、「ちぇっ」 とつぶやいてバックキーを押して検索サイトに戻って次をクリックする、という行動の表れなんじゃな。人間は年々せっかちになっているんじゃな。

この問題をなんとかしようと言うのが前述のLPOなんじゃが、ワシにはあんまり良いアイデアだとは思えないんじゃよ。7秒で離脱する人を20秒引き止める、1ページで離脱する人にもう2ページ見せる・・・これに意味があるとは思えないんじゃよ。購入するすべてのキーワードに最適化したWebを作るわけにもいかんじゃろうから、結局のところ、訪問した人が探している質と量の情報を持っていないなら、長く滞在させることでより不信感が募ると思うんじゃよ。ビジネスパーソンにとって最も重要なリソースは「時間」じゃからの。

「多くの人に長い時間Webを見てもらえば、それで良いではないか」

そういう考えもあるじゃろな。でも、それなら広告やPRとなにも変わらなくなってしまうんじゃ。
BtoB企業のマーケティング部門が責任を負っている、見込み客獲得と育成(デマンドジェネレーション)は、不特定多数に対して認知度(アウェアネス)を上げることであってはならないとワシは考えておるんじゃ。これでは定量的な効果測定はできないし、なによりも売上げへの貢献をレポートできないから、景気が悪化すれば必ず真っ先に予算を削減されるんじゃよ。

広告やPRは学問的にはマーケティングのひとつの分野ではあるんじゃが、実務ではかなり遠いとワシは考えておるんじゃ。
どちらが正しいとか、偉いという話ではなく、売上げにダイレクトに貢献することを求められ、常にROIROMIで評価されるマーケティングと、企業ブランドを長期的に構築し、守ることによって企業価値を高める広告・PRは目的が違うんじゃな。
じゃから、売上げを目的にしたマーケティング色の強いWebサイトを広報部門に管理させることにはワシは反対なんじゃよ。目的の違う動きを同じ組織に担当させるのは、最もリスクが高いからの。

さて、そうなると、Webに来てくれた人に、ユーザー登録をしてもらうための工夫が必要になるんじゃ。
それが【Web to Lead】なんじゃよ。

もちろんBtoBじゃから個人名とメールアドレスだけではなく、企業名や所属部署、役職などできるだけ多くの属性情報が欲しいところじゃが、あまり欲張って入力項目を増やすと登録者が激減するので、このバランス感覚には細心の注意が必要なんじゃ。

しかし、現実の日本ではこのユーザー登録というのが非常に高いハードルになっているんじゃよ。

「Webのアクセス数は上がったのですが、ユーザー登録が増えなくて・・・」

という悩みはWebマスターの共通のものなんじゃ。ある企業のログを解析してみたら、ユーザー登録画面を開いた人で、必須項目を埋めて登録を完了した人は1%、つまり100人に1人だった、という笑えない話もあるんじゃよ。
そしてこれが、

「時々は良い見込み客も登録してくれるけど、数が少な過ぎて話しにならない・・・」

という悲しいWebへの評価になっておるんじゃ。

では、先進国の米国がどんな形でWeb to Leadを確立してきたかを見てみようかの。
実はの、7〜8年前までは米国のBtoB企業のマーケティング担当者は、今の日本と同じように

「ページビューなんてどうでも良いから営業案件を作ってくれ」
「Webの運営コストをROIでレポートしなさい」

などと言われて困っていたんじゃ。
当時、Yahoo!に次いでgoogleがリスティング広告を始めて、Webの運用にどんどんお金が掛かるようになったからの。

このままではクビになってしまうと考えた彼らは、いろいろなトライ&エラーを始めるんじゃな。
先ず目をつけたのがホワイトペーパーなんじゃ。日本人がとんと興味を示さないこの「白書」を、欧米人はやたらと読みたがるものなんじゃよ。そこでWebに良質のホワイトペーパーを置いておいて、ダウンロードの時にユーザー登録をさせる手法を考え出したんじゃ。これはうまくいったんじゃよ。今でもこの手法はWeb to Leadの主な導線のひとつとして使われているんじゃ。

次に彼らが目をつけたのは、これまた日本人がまったく興味を示さない「チャット」なんじゃ。検索サイトからWebに来訪してコンテンツを見ていると

「何か質問はありますか?専門のスタッフがチャットでリアルタイムにお答えします」

といった吹き出しが出てくるんじゃ。
クリックするとユーザー登録画面が開いて、登録を終えるとチャットが開始されるという訳じゃな。今ではこのチャットで交わされた言葉を、テキストマイニングに掛けて、有望度や本気度をスコアするまでに進化しているんじゃよ。
しかし、これも日本では厳しいかもしれんの。そもそも漢字変換という入力ハンデを持っている上に、シャイな日本人が、会った事もない人とビジネスシーンでチャットをするのは、なかなか考えにくいんじゃよ。特定のIT技術者や研究者なら別じゃがの。

その次に彼らが目をつけたのは「動画」なんじゃ。
Web上にショートセミナーや製品デモなどの動画コンテンツを用意して、これを閲覧する時にユーザー登録をさせる、という手法なんじゃ。これも大成功したんじゃよ。
特に製造業をターゲットにしたCAD、CAE、解析ツール、検査機器などの分野では大いに使われたんじゃ。また動画は関連のサイトからリンクを貼って、そこから観に来られるようにしたり、ダイジェストをYouTubeにアップして、そこから集客したりと、今でも発展を続けておるんじゃな。
もともとWeb to Leadに動画を使うというアイデアはあったんじゃが、データ転送や圧縮の技術、回線状況が今のレベルになり、さらにYouTubeの登場などでPCでの動画閲覧が普及したことで古いアイデアが現実に使えるようになったんじゃ。
日本で、この動画が使いにくい理由のひとつは、大手企業で導入が進んでいるPC監視システムによって、動画や音声コンテンツへのアクセスを厳しく監視していることなんじゃ。

そしてここ数年の旬は、SNSとの連動なんじゃ。米国では先を争ってFacebookTwitterLinkedInなどのSNSと連動したWeb to Leadの手法を模索しているんじゃな。

つまり、先進国とはいえ、米国の彼らも必死でトライ&エラーを繰り返しながら、定量的に効果測定でき、売上げに貢献できるマーケティングの仕組みとしてのWeb to Leadをひとつひとつ確立していったんじゃよ。

残念ながら、この「ホワイトペーパー」「チャット」「動画」などは、日本では未だユーザー登録のためのキラーコンテンツにはなっていないんじゃ。恐らく日本のBtoBでは何か別の独自の手法を確立しないとダメじゃろう、とワシは考えておるんじゃよ。

いつも話していることなんじゃが、BtoBのマーケティングは部分最適では売上げに貢献できないんじゃ。イベント、Web、セミナーなどの個々の活動がいかにうまく行ったとしても、後工程に繋げなければ意味が無いんじゃ。
じゃからWeb to Leadも、獲得したリードの質と量で評価されなければならないんじゃよ。米国では、他の手段を使った場合と比較して安いコストで良質のリードが獲得できる、と検証された分野で浸透しているんじゃよ。

でも、情報収集の中心がWebになっている現実は変わらないし、これからさらにWebを中心に考える必要が出てくるじゃろうな。
だからこそ、日本独自のリードジェネレーションの確立も、我々マーケターの重要な研究テーマなんじゃよ。

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