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2011.08.29

多くの企業は「マーケティング活動が売上に貢献しない」のではなく、「売上を創るためのマーケティング部門を持っていなかった」という事実をノヤン先生が解き明かします。

最近、日本のBtoB(法人営業)企業の中に、マーケティングに本気で取り組む企業が急速に増えてきたように感じられるんじゃ。日本企業の最大の弱点は「マーケティング」じゃから、これはとっても良いことなんじゃよ。でも、本気でマーケティングをやろうと思っても、どんな組織を創って良いか判らない、どんな人を集めれば成功するかも判らない、という企業も少なくないじゃろう。
そういう意味では、シンフォニーマーケティングのようにBtoB企業のマーケティング部門の組織創りからコンサルに入れるサービスサプライヤーがもっとたくさん必要なんじゃろうな。
というわけで、今回と次回の2回に分けて、このBtoBマーケティングの組織と必要な人材について書いてみようかの。

「売上に貢献するマーケティング部門の作り方を教えてください」

これはの、ワシがある上場企業の役員から実際に質問された言葉なんじゃ。実はこういう質問をもらうのはこれが初めてではないんじゃよ。恐らく、多くの経営者、事業部長などが持っている疑問なのかも知れんの。
このケースでは、以下の2つの原因が考えられるんじゃ。

  1. マーケティングの定義の混乱

  2. マーケティング活動がバラバラで成果が出ない

「マーケティングの定義の混乱」とは、マーケティングを、「市場調査」や「広告」、「広報・PR」だと狭義に定義している場合じゃな。無論、これらの活動は企業活動の中で非常に重要な仕事なんじゃよ。リサーチは新製品の開発や、改修・改善(リニューアル)に必要な市場データを集め、分析・解析をする業務で、ここが弱ければ競合に勝ち抜く製品やサービスを市場に投入し続けることは難しいじゃろうからな。

また、広告や広報(PR)は、市場から支持され、社員やその家族から支持され、株式市場から支持される企業ブランドを創り、守っていく上で、非常に大切な役割を果たしておるんじゃ。これもマーケティングの重要な要素なんじゃよ。
ただ、これらの活動は「売上」からは若干遠いんじゃ。企業ブランドを育むには即効性を求めてはいけない、とワシは思うんじゃ。日経新聞に広告を出せば、翌日からブランド力が跳ね上がる訳ではないからの。しかも、効果測定が難しい、という特徴も持っておるんじゃよ。だからワシは、これらの活動から直接の収益を期待すべきではないし、売上への貢献という物差しで評価すべきではないと考えておるんじゃ。

こうした「定義の混乱」がみられるケースでは、社内での「マーケティング」という言葉を再定義して、組織や予算に反映させる必要があるじゃろう。
先ずリサーチはR&D(研究開発)に人員も予算も統合すべきじゃろうな。CS調査のようなR&Dに関係の薄いものだけを広告や広報(PR)に残せばすっきりするじゃろう。
次に広告や広報(PR)などの、企業ブランドを育成し、守っていくことをミッションとした「マーケティングコミュニケーション(マーコム)」と、営業案件を作って営業部隊や販売代理店に供給することをミッションにした「マーケティング(デマンドジェネレーション)」に分けて再定義し、人員と予算を割り振れば、これもすっきりするじゃろう。
そして、マーコムは売上では効果測定しない、マーケティングは売上やその前工程である案件の創出で費用対効果をベンチマークする、ということが大切なんじゃ。
数年前から米国企業で社内のマーケティング部門をデマンドジェネレーション(Demand Generation)と呼ばれる部門へ再統合する動きがあるのもこうした理由からなんじゃ。デマンドジェネレーションには「営業案件の創出」という意味があるからの。

もうひとつの原因、「マーケティング活動がバラバラで成果が出ない」という場合は、もっと深刻なんじゃ。
こうした企業では、売上を作るために、展示会、セミナー、Web、SFA、営業コンサル、テレマーケティングとバラバラに取り組み、投資した挙句に成果が出なくて困っているんじゃよ。
展示会は各製品事業部がそれぞれの予算と判断で出展し、雑誌広告やWeb、リスティング広告は広報部門が担当し、SFAは情報システム部門が導入を担当し、営業コンサルを雇ってのトレーニングやテレマーケティング会社を使ってのアポ取りは営業部門が、という風にバラバラに活動しているケースが多いのじゃよ。
これでは、投入した予算や社員のリソースに見合った成果が上がることは絶対にないし、誰かが一生懸命やればやるほど他部門との確執が生まれて、社内がギスギスしてくるものなんじゃよ。

この解決策は、マーケティング活動を統括する部署を作ることじゃ。それも、広告・PRとは別の営業案件を作ることだけを目的とした専門のチームを作ることなんじゃよ。

つまりの、この「マーケティングの定義の混乱」「マーケティング活動がバラバラで成果が出ない」という2つの課題の解決方法は同じなんじゃ。
多くの企業は「マーケティングが売上に貢献しない」のではなくて、「売上を創るためのマーケティング部門を持っていなかった」ということなんじゃよ。

では、どうやって「マーケティング活動を統括(デマンドジェネレーション)する部署」を作るのか、という問題に移ろうかの。
最も難しいのはもちろん人選なんじゃ。
どんな人物なら「売上を創るためのマーケティング部門」を創れるか、ということじゃよ。
実はこの部門のマネージャーやメンバーは、作業の能力がそれ程必要な訳ではないんじゃよ。例えばWebを活用したマーケティングをやる時にHTMLを書ける必要はないじゃろ?「タグってなんですか?」というレベルはさすがに困るので、基本の知識や勉強は必要じゃがな。
顧客データの管理責任者がExcelのVLOOKUP関数に詳しい必要もないじゃろ?そもそも高度な名寄せを安全にやろうと思えば、この関数を駆使しても無理じゃからの。
つまり、マーケティング部門のマネージャーは、社内外のスタッフに明確に指示を出し、チェックし、管理できれば良いのじゃよ。
日本企業は伝統的に何から何まで社内でやろうとする傾向があるんじゃが、社内にノウハウを持っていないものを社内だけで構築しようとすれば、かなりの遠回りと無駄な投資を覚悟するしかないじゃろう。
今の日本企業にそんな時間的余裕はないはずなんじゃが・・・。

マーケティング部門に必要なスキルに話を戻すと、作業スキルよりも必要なのは、製品やサービスごとの「マーケティングを設計するスキル」と「コミュニケーションスキル」なんじゃ。この2つの要素を持っている人材を確保することができれば、バラバラだった社内のマーケティング活動が一体になり、相乗効果を生み、素晴らしい営業案件を安定して営業に供給できる「売れる仕組み」として再構築できるんじゃよ。
そうなれば、経営者はもう二度と「ウチのマーケティング部門は・・・」とぼやくこともないじゃろう。
さらに、このマーケティングの設計が不十分なままSFAやCRMを導入すると、営業部門に途方もない負担を掛けて、却って訪問件数を減らし、売上を落とすことになるんじゃよ。
設計があってのツールじゃからの。じゃからこそ、マーケティングの設計ができる人材は非常に重要なんじゃ。

では、次回はこの「マーケティングの設計スキル」と「コミュニケーションスキル」について書いていこうかの。

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