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2011.09.26

BtoB企業のマーケティング人選のポイント

日本のBtoB企業のマーケティング部門にはどんなスキルを持った人材が必要なのか?それは「設計スキル」と「コミュニケーションスキル」・・・。ノヤン先生がそれぞれを詳しく解説します。

前回はマーケティング部門がうまく売上に貢献していない、という企業のために組織とその業務分掌を書いたのじゃが、今日はそのマーケティングを担当する人材に求められるスキルについて書いてみようかの。
具体的には以下の2点についてじゃな。

  1. マーケティングの設計スキル

  2. コミュニケーションスキル

1.マーケティングの設計スキル

実はの、マーケティングの設計スキルと言っても、企業のどのポジションでワークするかで大きく異なるんじゃ。
例えばメーカーで製品開発から関わる場合、あるいは開発された製品の価格設定や販売組織の構築、その人選などから関わる場合であれば、かなり上流のマーケティングスキルが必要になってくるじゃろう。

市場調査の設計や分析のスキルも必要じゃし、そのために多変量解析や、データマイニングのような高度な解析ツールを使う場面があるかも知れん。
さらに経営戦略と密接にリンクしたマーケティングプランを設計する上で以下の理論やモデルをかなりのレベルで理解し、使いこなせる必要があるんじゃ。

つまり製造や経営の上流でマーケティングに関わろうと思えば、かなりの専門知識が必要になるんじゃよ。
欧米のマーケティング先進国の企業にいるCMO(チーフマーケティングオフィサー)の仕事がまさにここじゃし、だからこそ、このポジションから多くの経営トップが輩出されている訳なんじゃ。
20世紀最高の経営者のひとりと言われるGEのジャック・ウェルチも、大学では化学の博士号を取得してGEに入社していながら、当時の弱小の新事業部だったプラスチック事業部に配属されたことをきっかけに、この新しい事業のマーケティングを徹底的に研究し、実践を重ねることでスキルとして身に着けて大経営者になっていったんじゃよ。

しかし、こうした上流ではなく、もっと販売の現場に近いポジションでマーケティングを担当する場合であれば、上記のようなマーケティングの理論的な知識はあまり必要ではないじゃろ。
なにしろ売らなければならない製品・サービスはもう決まっておるし、価格も、販売チャネルも既に決まっているケースが大半じゃからの。
この場合、必要なスキルは、ターゲット市場の見込み客の収集から案件化、売上までの設計と、既存顧客のメンテナンスからのクロスセリングまでの設計を、以下の順序できちんと数字でデザインするスキルなんじゃ。

  1. 製品・サービスごとに、いつまでに、どの位の数と質の見込み客データを、いくらの予算で収集するか

  2. 収集した見込み客データをどう名寄せし、競合・営業対象外の排除を行うか

  3. どのチャネルを組み合わせて、どんなコンテンツで、いくらのコストを掛けてコミュニケーションし、啓蒙・育成(リードナーチャリング)するか

  4. その結果をどう分析し、スコアして有望な営業リストを供給するか

  5. そのリストの案件化や受注をどうベンチマークして可視化するか

もちろん、少なくともSTPやマーケティングミックスは理解しておらんと務まらんし、展示会の選定と運営、個人情報関連の法令とそれを守った管理方法、メールや電話などのコミュニケーションチャネルの特徴やリスクに関する理解、Web構築・運営、セミナー集客、メルマガなどに関する基礎的な知識と、実行するスキルが必要なんじゃ。もちろん、この中でいくつかの業務アプリケーションを使うことになるじゃろう。メール配信システム、CMS、セミナー管理システム、CTI、そしてSFACRMじゃな。こうしたシステムを使いこなせることも重要なスキルなんじゃよ。

でも、重要なのは「作業」ではなくて「設計」なんじゃ。
この実務のマーケティング設計スキルは建築計画の設計に良く似ておるんじゃ。専門職の人たちが仕事をするには、誰かが設計図を描かなければビルは建たないからの。
WebはWebデザイナーが作ることができる、ページビューを増やしたければ広告代理店がリスティングのプランをしてくれる、展示会は制作会社が仕切ってくれる、アポイントはテレアポ会社がコールしてくれるのじゃろうが、「いつまでに、誰に、何を、どうやって、いくつ売るのか?」というマーケティング戦略の基本設計が無ければ、多くの活動は相乗効果を生まないままバラバラに動くことになり、売上には貢献できないんじゃ。
しかも基本設計無しにマーケティング活動を行う方が、担当者の疲弊はずっと激しいものなんじゃ。判断基準となるコンセプトが存在しないから、いちいち詳細まで指示しないと誰も動けんからの。

こう書くと、ウチは製品点数が多くて、とても製品ごとのマーケティング担当者なんて置けない、という企業もあるじゃろう。当然じゃが、1,000種類の製品を持つ企業が1,000人のマーケティング担当者を持つ必要はないんじゃよ。
こうした数多くの製品群をマーケットインの発想で戦略的にカテゴライズし、共通項を見つけながらナーチャリングして営業案件を創っていくかがマーケターの腕の見せ所なんじゃよ。

2.コミュニケーションスキル

ここで言うコミュニケーションとは主に営業・販売部門とのコミュニケーションの事なんじゃ。営業や販売代理店に良質のリードを供給することがミッションとなるマーケティング(デマンドジェネレーション)で重要なのは営業との良好なコミュニケーションを維持し、渡したリストをちゃんとフォローしてもらい、その結果をフィードバックしてもらうことなんじゃ。
案外これが苦手でマーケティングと営業がうまくいっていない事が多いのじゃよ。実はマーケティング部門と営業部門の仲が悪い例は米国より日本の方が多いんじゃ。

でも、Webコンテンツに事例を作るとしても、顧客を担当しているのは営業じゃし、代理店販売であってもその代理店を統括しているのはやはり営業部門じゃから、この営業部門とのコミュニケーション抜きには考えられない業務なんじゃよ。
ここがマーケティングと広告・広報部門との大きな違いなんじゃ。
広告や広報を担当する部門は本社のスタッフ部門じゃから、現場の営業との接点は多くないし、必須でもないはずなんじゃ。それよりも、広告代理店やメディアの記者や編集者とのコミュニケーションの方が重要じゃし、社内で言えば、経営企画室や広報担当の役員、あるいはCEOとのコミュニケーションが重要なんじゃな。
でも、営業案件を創出するマーケティング部門が大切にすべきは営業や販売代理店などのフロント部門とのコミュニケーションなんじゃ。営業部門は独自のカルチャーを持つプライドの高い人たちの集まりじゃから、自分たちの立場や考えを理解しない人たちが勝手に絞り込んだ有望見込み客リストなんて真面目にフォローしようとはしないものなんじゃよ。

そこがわかっている経営者は、マーケティング部門を新設する時に営業部門からコンバートするんじゃな。この気持ちは理解できるし、正しい選択の場合も多いんじゃ。しかし、営業出身なら誰でも良いというものでは無いんじゃよ。営業の人たちはある種の職人気質を持っておるから、マーケティング部門に転属させるのであれば、少なくとも平均以上に売れた営業に限るべきじゃとワシは思うんじゃ。
過去に売っていた営業が作ったリストであれば真面目にフォローしてみようか、と考えてくれるもんじゃが、そうでない場合は、「全然売れなかったあいつの作ったリストなら追っても無駄だ」と思われてしまうことが多いんじゃよ。「そのリストをフォローして売れるならアイツが売れていたはずではないか?」というのはある種の正論じゃからの。

またよく言われているように、マーケティングを担当するなら英語ができないとダメ、というのは間違いじゃよ。無論、外資系企業でマーケティングマネージャーを担当するなら本社とのテレカンファレンスやWeb会議が多いじゃろうから、英語で報告やディスカッションができなければ話にならんし、海外市場を担当するなら英語は必須じゃろうが、日本企業で日本市場でのマーケティングを担当するなら、英語の出番はほとんど無いじゃろう。
それよりもマーケティングの知識が必須なんじゃ。英語ができたり、海外の大学を出ていればマーケティングの基礎知識は持っている、とは限らんからの。

「売上に貢献するマーケティング部門」を創るための人選は、この「マーケティングの設計スキル」と「コミュニケーションスキル」をしっかり身につけた人材を社内から選ぶことなんじゃよ。
もちろん、いないなら社外から引っ張ってくるしかないし、社内の人材が育つまでのリリーフとして経験者をテンポラリーで採用するのもひとつの方法じゃな。
マーケティングを設計できる人材は日本にはまだまだ非常に少ないから、しっかり育てた企業は、それだけ競合優位性を確保したことになるんじゃ。

日本のBtoB企業は戦後の長い期間、マーケティングのノウハウを蓄積することをしてこなかったんじゃ。必要が無かったのじゃからこれは仕方がないとしても、これから生き残るためには、そして世界で勝負をするためには、マーケティングのノウハウをきちんと社内で蓄積する必要があるんじゃよ。
この「マーケティングキャンパス」もそのために創ったんじゃ。
しっかり学んでいきたいもんじゃの。

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