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2012.03.27

マーケターのもっとも重要な仕事のひとつ「ポジショニング」。その手法のひとつ「ヘビーローテーション」はターゲットセグメントに効率良くメッセージをインテグレーションするのです。ヒット曲の名前だけではありません。

BtoCマーケティングの現場から離れて10年以上経つので、もうほとんどテレビを観ないのじゃが、最近セミナーなどで「ヘビーローテーション」という言葉を使うとあちこちで笑いが起こるんじゃよ。理由を聴いてみると、なんとこれはアイドルグループのヒットソングの曲名なんだそうな・・・驚いたもんじゃの。

この言葉は、「高い頻度で繰り返す」という意味で、元々は広告・マーケティングの世界の言葉なんじゃよ。
今日はこの言葉を通して、BtoBマーケターの非常に重要なミッションであるターゲットセグメントへの「ポジショニング」と、それを確立するための手法のひとつ「ヘビーローテーション」の話をしようかの。

ポジショニングとは言うまでもなくSTPの「P」なんじゃ。「S」と「T」の説明はこの講座で何度かしたじゃろ。セグメンテーション(S)で市場を細分化し、ターゲティング(T)でターゲットセグメント(勝てる土俵)を定義し、そのターゲットセグメントにいる人たちに自分たちの存在を宣言するのがポジショニング(P)なんじゃよ。

市場を細分化し、その中でフォーカスすべき市場、つまりターゲットセグメントを探し出す手法はいろいろ在って、統計数値を使っての分析や、グループインタビューの他にも、E・ロジャーズイノベーター理論や、ボストンコンサルティンググループのPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)、最近よく聴く「ペルソナ」というターゲットの個性を明確に定義するフレームワークなども、この工程で使われる手法のひとつなんじゃよ。勝てる土俵を探すということはマーケターの最大の仕事なんじゃ。もちろん負けると決まっている土俵からはさっさと降りることを経営者に進言することもじゃよ。
そして、フォーカスすべきターゲットセグメント、つまり勝てる土俵が確定したら、その後はポジショニングなんじゃよ。

「ポジショニング」とは、企業またはその製品・サービスは、なぜこの市場の企業や人の役に立てるのか?なぜその市場に居る競合製品・サービスよりもより効率的にこの市場の問題を解決できるのか?という事を説明することによって、ターゲットセグメント内でポジションを確立する行為なんじゃ。

世界的に事業を展開している大企業が、ERPソリューションを導入しようと考えた場合、検討するのはSAPとORACLEだけじゃろう。
つまり「グローバルエンタープライズのERP」というセグメントでは、この2社はそういうポジションを確立しているんじゃよ。「PCのプロセッサー」ならインテル、「大量の供給が必要な液晶」ならサムソン、「グラフィックデザインのアプリケーション」ならアドビ、「プロ用のビデオ編集機材」ならソニー、こうした企業はそれぞれ自社のフォーカスしたターゲットセグメントの中で確固たるポジションを築いておるんじゃ。

こうしたポジションを確立しなければ、その市場の中の人にはそれが何なのか理解できず、セミナーに来ることも、資料請求することも、テレマーケティングの電話に出てくれることもないからの。つまり、ターゲットセグメントに居る企業の担当者が、ある状況になったら自社の製品・サービスが頭に浮かぶようにならないと、ビジネスチャンスはやってこないんじゃ。

旅行先でお腹が痛くなったら先ず頭に浮かぶのはラッパのマークの「正露丸」じゃし、夏が来てベランダで気持ちよくビールを飲んでいる時に蚊がやってきたら思い出すのは金鳥の蚊取り線香なんじゃよ。これが「ポジショニング」なんじゃ。
ただし、一度だけ広告を見たり、イベントに行ったり、セミナーに参加したり、Webを観たりしただけで、その製品・サービスの特徴や利用シーンを記憶してもらうことは難しいんじゃ。何しろ現代のビジネスパーソンが一日に受け取る情報の量は途方も無いからの。基本的には届けた情報の95%は10日間で忘れてしまうと考えた方が良いんじゃよ。

そこで、「ヘビーローテーション」の出番なんじゃ。メッセージを何度も繰り返しながら記憶に刷り込んでいく、つまりメッセージをインテグレートするんじゃな。

ヘビーローテーションという言葉はマスメディアを多く使うBtoCと、ターゲットを細かく定義してダイレクトメディアを使うBtoBではちょっと定義が異なるんじゃ。マスメディアを主戦場とする広告の世界で「ヘビーローテーション」と言えば、基本的に同じコマーシャルを短期間に集中的に流すことで、新製品の発売やモデルチェンジなどで、テレビでどのチャンネルでも同じコマーシャルを日に何度も目にする事があるじゃろう?あの手法を指すんじゃよ。新製品の発売やモデルチェンジなどの時じゃな。

それに対して、BtoBの世界では、マスメディアを使うことはあまり無いので、同じターゲット(リスト)に、という前提が付くんじゃ。
例えば大企業向けに人事給与システムを販売しようとした場合、従業員が10000人の企業でも、このソフトウェアの機能や活用事例を伝えるべき相手は情報システム部門、人事部門、経営企画部門などのいくつかの部門のキーマンで、合わせてせいぜい2〜30人なんじゃよ。他の9970人にとってはこの情報はノイズにしかならないんじゃ。だからターゲットに直接届くダイレクトメディアを使うし、そのターゲットと長期間にわたって繰り返しダイレクトコミュニケーションをするためには洗練されたデータベースを中心に据えたマーケティングを設計する事がどうしても必要なんじゃよ。

また、BtoBのデータベースマーケティングでは、このヘビーローテーションを複数のチャネルを組み合せて行うんじゃ。クロスメディアコミュニケーションと言われる手法で、例えばダイレクトメールとFaxとアウトバンドテレマーケティングを組み合せてキャンペーンを設計し、ターゲットセグメントの中でポジションを確立することを目的とするんじゃな。
つまり、クロスチャネルでヘビーローテーションを掛けることで短期間にポジショニングをしようとしておるんじゃよ。

これが米国のノースウェスタン大学のD・シュルツ博士やノースカロライナ大学のR・ラウターボーン博士などが提唱したIMC(Integrated Marketing Communication)なんじゃ。

つまり、マーケターのもっとも重要な仕事であるポジショニングをするため、ターゲットセグメントに対して効率良くメッセージインテグレーションする手法がヘビーローテーションであり、これを洗練されたデータベースを中心にクロスチャネルで行うことをIMCと呼ぶんじゃよ。アイドルのヒット曲の名前だけでは無い、ということを覚えておいて欲しいもんじゃの。

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