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2012.05.07

アトリビューション分析と日本のBtoBマーケティングの意外な関係

「稟議」が支配する日本のBtoB。その中でアトリビューション分析はどう使われているのか?ボトムアップ型の意思決定でのデータマネージメントや行動分析の難しさをノヤン先生が解説します。

今日は最近よく耳にする「アトリビューション分析」の話をしようかの。

マーケティング部門にいてWebを担当している人なら「アトリビューション分析」という言葉は聞いたことがあるじゃろう。
元々は要因分析を意味する金融の世界の言葉で、不動産や国債、社債、先物商品、株式など複数の複雑な投資を行っている金融機関にとって、どの投資が最も収益に貢献したのかを知る必要があったんじゃ。それでこの「要因分析」が行われていたんじゃな。

Web広告の世界でも基本的な意味は同じじゃ。「コンバージョン」と呼ばれる「購買」「定期購読」「参加申し込み」「会員登録」などに最も因果関係があるアクセスを、メディアや時間をまたいで分析しようとするものなんじゃ。つまり、何かを買ったり、何かに申し込んだりする直前の直接的な検索や広告だけでなく、そのアクセス者はどこから入ってきて、どういう行動していたのかを分析することで、より効果的な流入先や経路を発見しようとする分析手法なんじゃよ。
さらにその結果を反映してWeb広告プランを総合的(ホリスティック)に再構築できる、という野心的なものなんじゃよ。

この「アトリビューション分析」という言葉が米国のWebの世界で使われるようになったのは、2006年頃からなんじゃ。「Attribution Modeling」「Attribution Management」というキーワードがSEM関連のブログやメルマガ、カンファレンスなどで流行り出したんじゃよ。これが日本で「アトリビューション分析」と訳されたんじゃな。
最も普及しているログ解析ツールである「Google Analytics」では、「マルチチャネル」がこのアトリビューションを分析する機能なんじゃよ。「マルチチャネル」とは、つまり検索エンジンだけではなく、メールマガジンやブログやフェイスブックなどのSNS、その他のあらゆるチャネルやメディアを「またいで」アクセスを分析して、経路とコンバージョンへの因果を調べることができるんじゃ。

と、こう書くと、何か凄いように思うじゃろ・・・。
最近あるWeb関連のライターさんに「BtoBマーケティングの世界でも、そろそろアトリビューション分析を導入する企業は出てきていますか?」と質問されてひっくり返りそうになったわい。どうやらBtoCの人から見るとBtoBは原始人のように見えているらしいの。

BtoBマーケティングは最初から「アトリビューションマネージメント」そのものをやっておるんじゃよ。
BtoBの世界で「数千万円の工作機械をWebサーフィンしていて楽天で衝動的に購入しちゃいました」なんてある訳が無いからの。日本のBtoBは気まぐれでも衝動買いでもなく、「稟議」が支配する世界なんじゃ。しかも意思決定のプロセスはトップダウンではなくボトムアップじゃから、比較的BtoCの富裕層に近い行動パターンになる欧米のトップダウン型と比べてデータマネージメントや行動分析ははるかに難しいんじゃよ。

例えばサプライチェーンのシステムを販売している企業が製造業のマネジメント向けのセミナーを開催するとしようかの。この場合、セミナーの告知も複数チャネルを使うし、参加申し込みの受け皿はWeb、E-Mail、Fax、Telなど様々なんじゃが、実は告知も申し込みもその経路はそれ程重要ではないんじゃよ。それより各参加者の所属する企業の属性情報と、過去のコンタクト履歴の方がはるかに大事なんじゃ。

セミナー参加者のある人は顧客企業の担当部門の事業部長で5年前に当時担当していた営業との名刺交換がファーストコンタクト、ある人は見込み客企業の経営企画室長で新規担当の営業が6ヶ月前に訪問して名刺交換した、また顧客企業の部長だった人が競合企業に転職して前回のイベントでブースに来場した、という様々な場合があるんじゃ。それ以外にも展示会のアンケート記入者、パートナーとの共催セミナーへの過去の参加申し込み者、メルマガの購読者、過去の資料請求者などもあり、BtoBのコンタクト履歴の大半はオンラインではなくリアルなんじゃよ。
しかも日本では意思決定が下位階層からのボトムアップが主流じゃから、決裁者では無い複数の人との長期間にわたるリアルも含めたコンタクトによって情報が収集され、ようやく購入に至るんじゃ。余程の少額商材でない限りWebだけの行動解析ではどうにもならんのじゃよ。

またボトムアップ型の特徴として、案件のリードタイムが欧米のトップダウン型と比較すると3〜4倍の時間が掛かるんじゃ。案件化してから受注まで平均6ヶ月から18ヶ月も掛かるので、コンバージョンを受注ではなく「案件」でベンチマークすることが多いのじゃが、その案件化の直前は多くの場合「訪問」なんじゃ。
営業が訪問してヒアリングをしないと、それが受注に至る案件なのか、ただのお勉強モードでの情報収集かは判定できないからの。そして訪問の前はアポイントを取らなければならないのでアシスタントかインサイドセールスからの電話となるから、Webの外でのコンタクトがより重要になる訳なんじゃよ。

シンフォニーマーケティングでは、「案件化」というコンバージョンにもっとも貢献するパスとしてセミナー、資料請求、情報の社内共有などを重視しているのじゃが、そのパスに最も強く結びつく展示会の選定基準、メールのサブジェクト、Web上のPDFダウンロードなどを分析してそれぞれの顧客のマーケティングを進化させておるんじゃ。

BtoBマーケティングの特徴は、Webの外までを含めた、つまり企業の属性情報とその企業に所属する複数、時には数十人もの個人を紐付け、数年にも及ぶ長期間のリアルとオンラインでのマルチコンタクトポイントでの行動を分析して正しくスコアすることを求められるんじゃ。難しいもんじゃろ?
じゃからBtoBマーケティングでは最初からアトリビューション分析を前提とした、ホリスティック(統合的)なマーケティングプランを立てないと、Webだけ、イベントだけ、テレマーケティングだけ、という単独や2〜3のチャネルの組み合わせだけでは成果は出せないものなんじゃよ。ワシがデータマネージメントにとことんこだわっている理由はこれなんじゃ。

日本のBtoBマーケティングは、世界で最も難しく奥が深いと言う意味が判っていただけたかの。

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