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ホーム > 講座 > ノヤン先生のマーケティング講座 > コトラー博士の最も偉大な3つの功績

2012.07.02

知ってるようでちゃんとは知らないし、実はあんまりしっかり読んでない・・・でも知らないと恥ずかしい。そんなコトラー博士をノヤン先生が判りやすく解説します。

今日はコトラー博士の事を話そうかの

マーケティングに関わる人なら、フィリップ・コトラーの名前くらいは誰でも知っておるじゃろう?恐らく現存するマーケティング学者の中で最も影響力のある人の名前を上げるとすれば10人中9人までが彼の名前をあげるじゃろうし、そもそもコトラーがいなければマーケティングがここまで体系化されたかは、大いに疑問なんじゃよ。
その一方で、マーケティングに関わる人にとっては、名前は知ってるけど、どんな人かはちゃんとは知らない。著書もあんまりしっかり読んでない。でも知らないとかなり恥ずかしい、だから何となくいつも気になっている、という人物なんじゃな。
そこで今日は、コトラーの事を著作や、代表的なフレームワーク、マーケティングへの貢献などを説明しようと思うんじゃ。

フィリップ・コトラー(Philip Kotler)1931年米国生まれ。
シカゴ大学で修士号を、MIT(マサチューセッツ工科大学)で博士号を取得。
ノースウェスタン大学大学院(ケロッグスクール)教授。

米国の中西部を代表する大都市シカゴの郊外、海のように広がるミシガン湖の湖畔にノースウェスタン大学の広大なキャンパスが在るんじゃ。中西部のハーバードなどと言われるとても優秀な大学なんじゃが、この大学の看板はなんと言ってもケロッグ大学院(ケロッグスクール)じゃろう。恐らくマーケティングでは世界の最高峰と言ってもいいじゃろうな。
ちなみにケロッグとはあのコーンフレークのケロッグ社の創業家の名前で、創業者の息子であるジョン・ケロッグ氏の遺産の寄付を受けて創設されたのがこの大学院なんじゃ。そしてこのケロッグスクールがマーケティングで世界最高峰と言われている理由のひとつがコトラー博士の存在なんじゃよ。
その言葉は多くのマーケターにとって指針でもあり、啓示でもあるんじゃ。いくつか紹介しようかの。

「企業の最も重要な業務は、新たな顧客を創造し、既存の顧客を維持する事である」
「企業の資産は、顧客の存在を抜きにしたらほとんど価値が無い」
「嘆かわしい事に、バランスよくマーケティングを学んだ者でさえ、企業に入ると予算の大半を広告に使っている」

コトラーの著作は原著では40冊を越えると言われておるが、代表作はなんといっても「マーケティングマネージメント」で、1967年の出版以来手を入れながら版を重ね、もう第12版になっておるんじゃ。800ページ近い重厚な著作で、古今のマーケティングを体系化して解説したこの本は世界の経営大学院のマーケティングのテキストに採用されておるんじゃよ。
じゃがな、実はこの本を最初に購入してはいかんのじゃ。

ワシはもう何人もの人から「コトラーのマーケティングマネージメントを買ったのですが、何ページか読むと眠くなってしまって・・・」という相談を受けるんじゃが、この本はいわばマーケティングの百科事典じゃから、最初から読めば眠くなるも無理は無いんじゃよ。コトラーの事を「マーケティングの教科書の神様」と揶揄する人がいるのも、このマーケティングマネージメントがあまりにも多くの大学や大学院で教科書として採用されておるからなんじゃ。それに大成功した学者じゃから、やっかみも多くての、アンチコトラーという学者も少なくないんじゃ。ハーバード大学のマイケル・ポーター博士と同じじゃな。
また、コトラーの事を「学者というより編纂家」という人もおるんじゃが、これはデビッド・アーカーブランド論、マイケル・ポーターのファイブフォース理論エベレット・ロジャーズイノベータ理論セオドア・レビットマーケティングマイオピアなど人名と紐ついた理論や著名な論文が無いではないか、という人もおるんじゃな。これもかなりの誤解と過小評価だとワシは思うんじゃ。

言うまでもない事じゃが、コトラーの功績は極めて大きく、やはり稀有の存在なんじゃよ。そしてその中でも最も偉大な功績は以下の3つではないかと考えておるんじゃ。

  1. マーケティングを体系化して編纂したこと

  2. STPというフレームワークを提唱したこと

  3. ソーシャルマーケティングの分野を確立したこと

それぞれ観ていこうかの

1.マーケティングを体系化して編纂したこと

これは何と言っても代表的な著作「マーケティングマネージメント」で40年以上にわたって行ってきた功績じゃな。この中でマーケティングの言葉の定義や、顧客中心の考え方、古今の理論やフレームワーク、顧客分析、ブランド、コミュニケーションチャネル、マーケティングに関わる組織などあらゆる事が体系化されて網羅されておるんじゃよ。
出版された本を重版する時、普通は脚注を加えたり、多少の加筆修正をする程度なんじゃが、コトラーはこの本を改訂するたびにほぼ全ページにわたって大幅に見直し、時には章立てや目次まで見直してしまうんじゃよ。そして、時代と共に現れる新しいテクノロジーやマーケティングの手法、フレームワークなどをきちんと体系化しておるんじゃ。じゃから1967年に初版を出版したこの本にもインターネットやEコマース、CRMSFA、そしてオンラインコミュニケーションの役割などに関する記述や活用例が在るんじゃ。凄いもんじゃろ。

2.STPというフレームワークを提唱したこと

コトラー自身も著書の中で書いておることじゃが、マーケティングの歴史の中でコトラーの果たした最も重要な貢献はこのSTPをマーケティングの最も基本的なフレームワークとして位置づけたことじゃろうな。
マーケットをセグメンテーション(S)し、その中から勝てる土俵、つまりターゲットセグメントを探し(T)、そのターゲットセグメントの中の人や企業に対して宣言、つまりポジショニング(P)する、というフレームワークは、マーケターの最も重要な仕事なんじゃ。なぜならこのSTPで定義したターゲットセグメントが総てのマーケティング活動の指針になるし、メッセージの雛形はポジショニングでなければならないんじゃ。このマーケティングキャンパスのコラムでも何度も書いておるが、マーケターの仕事はSTPに始まってSTPに終わると言っても過言ではないとワシは考えておるんじゃよ。

3.ソーシャルマーケティングの分野を確立したこと

これは「非営利組織のマーケティング」と訳されておるが、NPOや環境団体だけでなく、病院や保養施設などの医療機関、博物館や美術館などの文化施設、大学や専門学校などの教育機関、オーケストラやバレーなどの芸術団体などのマーケティングに大きく広がっておるんじゃよ。コトラーがこれを提唱する前は、こうした非営利組織にマーケティングは不向きだと考えられておったから、資金や会員、スポンサーを集めるのにいつも苦労をしておったんじゃよ。今では米国の多くの大学や美術館、オーケストラなどが普通にマーケティングの組織を持っておるんじゃよ。
そして、このソーシャルマーケティングから、企業が果たしている社会的責任を扱う「CSRマーケティング」や、世の中を良くする事とセールスプロモーションを組み合わせた「コーズマーケティング」などが派生しているんじゃよ。

コトラー博士は80歳を越えた今でも現役のマーケティング学者として、日々マーケティングの研究に明け暮れておるんじゃ。頭が下がる思いじゃよ。最後にワシがいつも胸に刻んでいる言葉を引用しようかの。マーケティングをやっていると、広報・PRはもちろんのこと、営業部門やパートナー企業、サポート部門などとの意見調整や協力が難しいと感じることが多いんじゃ。そんな時にいつも思い出すのはコトラー博士のこの言葉なんじゃ。

「マーケティングは他の部門に影響を与えて、顧客満足を実現するよう協力しなければならない」

営業がリードを追いかけてくれない、上司がマーケティングに理解が無い、広報が予算を分けてくれない・・・、そんな現場の気持ちも判らんでもないんじゃが、このコトラー博士の言葉を思い出して、頑張るしかないんじゃよ!

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