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2013.01.31

マーケターのキャリアパスとその問題点

マーケティングをどこで学び、どこで力を発揮するか?日本におけるマーケターのキャリアパスをノヤン先生と考えてみましょう。

新年おめでとうございます。

日本のBtoBマーケティングはまさに夜明けじゃな。各社がいっせいにマーケティングを強化しようと取り組みはじめ、新しいマーケティングサービスもどんどん出てくるじゃろう。BtoBマーケターにとっては素晴らしくエキサイティングな年になりそうじゃの。本当に楽しみじゃよ。
せっかくの新年じゃから今日はプロフェッショナルマーケターのキャリアパスについて話をしようかの。平たく言えば「どこでマーケティングをやるか?」という話じゃな。

マーケティングのプロフェッショナルが仕事をするステージを大きく分けると「ユーザーサイド」と「サービスサプライヤーサイド」があるんじゃよ。
「ユーザーサイド」とは、企業内にいて、自社の製品やサービスのマーケティング担当として仕事をする人のことじゃ。そしてもう一方の「サービスサプライヤーサイド」とは、マーケティングサービスを生業として、マーケティングエージェンシーやコンサルティング会社、広告代理店、リサーチ会社などに所属して、クライアントに対してマーケティングのプロフェッショナルサービスを提供している人のことじゃな。

この「ユーザーサイド」と「サービスサプライヤーサイド」のどちらを選択するかは、スキルが高いとか、どちらが良いとかではなく、「気質」じゃとワシは考えておるんじゃ。

「ユーザーサイド」をマーケティングのステージに選ぶメリットは、ひとつの商材とじっくり付き合うことじゃ。惚れ込んだ製品・サービスを担当し、初期の市場調査や製品開発段階から参画し、ネーミングやロゴの決定、価格や流通チャネルの整備、販売計画、プロモーション、展示会、セミナー、広告、PRなどのマーケティング活動のすべてに関わるのはマーケターとしての醍醐味じゃからの。
そしてその事によって、マーケティングだけでなく、事業の全体像や経営までを俯瞰することができるんじゃ。ドラッカー博士の言葉を引くまでもなく経営戦略の柱はマーケティングじゃからの。

20世紀最強の経営者と言われたGEのジャック・ウェルチは若い頃、GEの中では事業化されたばかりのプラスチック部門を任されたんじゃ。この新しい素材の可能性を探るためにウェルチは、自動車産業の本拠地であるデトロイトに乗り込み、金属や木材で造られた自動車の部品を片っ端からプラスチックで作り、自動車メーカーの設計部門に持ち込んでは意見を聞いての繰り返しをしたんじゃそうな。そうやってハンドルやダッシュボードなどの内装部品をプラスチックに置き換えながら、ついにはこの事業をGEを代表する高収益事業に育てていったんじゃ。
ウェルチは元々化学分野の博士号を持つエンジニアだったんじゃが、この新しい素材のマーケティングをゼロから手掛け、数千億規模の事業に育てたことでGEのトップへの道が拓けたんじゃよ。

では、「サービスサプライヤーサイド」をマーケティングのステージに選ぶメリットはと言えば、同時に数多くのマーケティングプロジェクトに関わることで、短期間に多くの経験を積めることじゃろう。例え同じような製品・サービスであってもターゲットや競合との関係で異なるマーケティング戦略を立案しなければならず、同じマーケティングプランで成功することはあり得ないからの。
それに、ターゲットセグメントやカテゴリーが異なる製品・サービスのマーケティングをたくさん手掛けることで応用力を磨くことができるんじゃ。「ユーザーサイド」にいる人がどうしても自分の社内や担当している製品の市場などにフォーカスしてある意味近視眼的になっている時に、「鳥の目」を持ってその製品・サービスの別の可能性に気がつくことができるのは、そういう理由なんじゃよ。

ワシはどちらの側でマーケティングをするかは「気質」だと考えておるんじゃ。理由は、「製品・サービスやその事業が好き」か「マーケティングが好き」かの違いだと考えておるんじゃ。マーケティングが好きな人はやはりパラレルで多くのマーケティングを手掛けたいものじゃからの。

では、米国のマーケターはどうやってマーケティングのキャリアを積んでいるのかの?
実は、マーケティングの本場である米国では学ぶ環境がまったく違うんじゃよ。何しろビジネスのど真ん中がマーケティングであり、経営者を最も多く輩出しているのはマーケティング部門というくらいじゃから、それを学ぶ環境もとても整備されておるんじゃよ。
そもそも大学や大学院、専門学校で教えるマーケティングの質と量が全然違うんじゃ。マーケティングを教える人も一度は民間企業で実際に製品やサービスのマーケティングで実績を上げた人が多く、授業の中身も座学よりケースでの実戦を優先させる事が多いんじゃよ。じゃからサンプル製品のマーケティングプランを設計し、場合によってはテストマーケティングの実施まで行うんじゃ。
また大学によっては学内で最優秀になったマーケティングプランをその製品のメーカーの役員会でプレゼンする機会を設けているところもあって、場合によってはそれが実際のマーケティングプランに採用されるなど、まさに実戦的なマーケティングを学べるんじゃな。
さらにキャリアパスで観ても、数多くのマーケティングサービス会社があり、それぞれ個性的で、得意分野もはっきりしているので、自分の好きな分野のマーケティングをいくつかの会社を転職しながら身に付けることができるんじゃよ。素晴らしいじゃろ?
そして米国の場合は中途採用が基本じゃから、転職がなんのハンディにもならないんじゃ。ワシの友人にNYでダイレクトマーケティング専門のヘッドハンティング会社を経営している人がおるんじゃが、ダイレクトマーケティングでは範囲が広過ぎるのでそろそろもっと専門分野を絞ろうと考えていると話しておったわい。

これが日本だとちょっと状況が異なるんじゃ。
大学や大学院では座学が中心でなかなか実戦的なマーケティングを学べないし、マーケティングを教える教師も民間企業で実際に製品・サービスのマーケティングに関わった経験を持つ人は少ないんじゃよ。それどころか今、日本企業でマーケティングを担当している人の大半は大学でマーケティングを専攻し体系的に学んだ経験があるわけでもなく、就職してからマーケティングを実務として覚えた人たちなんじゃ。
社会人になってからマーケティングと出会い、理論と実戦をパラレルで綾織に学んでいくのはそう簡単ではないんじゃよ。

じゃから日本での今のキャリアパスとして考えられるのは、自分が将来身を置きたい専門分野を得意とする「サービスサプライヤーサイド」に就職してマーケティングの経験を積み、ある程度の自信をつけてから「ユーザーサイド」に転職するのが理想的なんじゃ。なんといっても短期間に多くの経験が積めるのが「サービスサプライヤーサイド」の良いところじゃからな。
ただ現実はなかなかそう上手くは行かんのじゃよ。日本ではまだまだ中途採用の壁は厚く、オールドエコノミーの大手企業になればなるほど中途での入社は厳しいんじゃ。しかも「サービスサプライヤーサイド」であるプロフェッショナルマーケティング会社は規模が小さい事が多く、小さな会社から大きな会社への転職は日本では難度が高い就職活動になるんじゃ。じゃから、プロフェッショナルサービス会社で経験を積んでから、ユーザーサイドに転職する、というある意味最もオーソドックスなキャリアパスがとっても難しい国が日本なんじゃよ。

ワシのいるシンフォニーマーケティングからも、このユーザーサイドへの転職というのは毎年数名いるんじゃよ。パラレルで複数のクライアントの複数の製品・サービスを担当するのではなく、ひとつの製品・サービスのマーケティングをじっくりやりたいという気質の人は確かにそうした方が幸せなんじゃな。
それにも増して最近増えたのは「ユーザーサイド」から弊社に転職してくる人の数なんじゃよ。ユーザーサイドにいると朝から晩までマーケティング漬けという訳にはいかんもんじゃし、どうしてもマーケティング以外の、例えば社内調整であったり、マネジメントであったりという仕事が増えてくるんじゃ。それにユーザーサイドでマーケティングに関わる人にとって担当している製品やサービスに心底惚れ込めなかったり、プライドが持てないと、ただ辛いだけの仕事になるからの。

また、ワシのように「とにかくマーケティングだけをやっていたい!」という根っからのマーケティング好きは「サービスサプライヤーサイド」が向いているんじゃな。どんなに素晴らしい製品やサービスでも、それだけでは飽きてしまうんじゃよ。
プロフェッショナルマーケティングサービスに身を置いているワシの仕事をちらっとのぞいてみると、

ノヤン先生の仕事

という具合なんじゃ。
当たり前じゃが、このように同時に複数の、しかも異なる分野や異なるビジネスモデルのマーケティングを担当する事で本当に多くの学びと刺激があるんじゃよ。例えば以前、総合病院のマーケティングプロジェクトに参加した時に、百貨店やGMS(ゼネラルマーチャンダイジングストア:大型スーパー)のマーケティングの経験がとても役にたったんじゃ。この2つはまったく別の業種で、それぞれ専門業者も多く存在するんじゃが、両方を経験した人はほとんどいないんじゃよ。でもマーケティングの設計面で見ればとても似ているんじゃ。

いずれにしても日本のBtoB企業は、マーケティングの必要性と、そのノウハウが社内にない、ということに気付きはじめたんじゃ。それはマーケティングを学ぶものにとっては活躍のステージが一気に増えたことを意味するし、今まで学んだことが急激に価値を持つことを意味するんじゃ。
頑張り甲斐があるの!

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