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2013.09.02

日本のBtoBリードジェネレーションでの展示会の位置づけは

あまり知られていない事ですが、展示会に来場する人は3重4重のスクリーニングが掛かった貴重な見込み客なのです。だから、もしその展示会に、自社の製品やサービスのターゲットが来場しているのなら、そこで収集したリストを活用する仕組みを持たない自分たちに問題があると考えて、早急に改善すべきなのです。

シンフォニーマーケティングのビジネス領域は、リードナーチャリングリードクオリフィケーション、つまり見込み客の啓蒙育成と絞り込みなんじゃが、その前工程にはリードジェネレーションと呼ばれる「見込み客データの収集」があるんじゃ。このリードジェネレーションの手段はSEMSNSの登場で多様化しておるんじゃが、その中で最もトラディショナルな手法である展示会がどうも評価が低いんじゃな。
お盆休みも終わってそろそろ後半の展示会シーズンが始まる頃じゃから、今日は日本のBtoBマーケティングでの展示会について書いてみようかの。

お客様とのミーティングで展示会の出展について、こんな否定的な意見が出ることが少なくないんじゃ。

「展示会って出展する意味があるんですか?」
「展示会から売上げが出たって聞いたことがないんですが」
「営業部門が、もう応援の人を出したくないって言ってます」
「下期の予算カットの対象になってますよ」

そんな時にワシはこう質問するんじゃよ。

「その展示会には御社のターゲット企業のコンタクトしたい部門の人は、来場しないのですか?」
「いやそんな事はないと思いますよ、専門性の高い展示会ですから・・・」
「では教えてください、展示会が悪いのですか?それとも展示会で集めた名刺やアンケートを活用できない御社に問題があるのですか?」
「・・・・・」

効果に疑問を持っている展示会に、もしターゲットが来場しないなら1秒も迷う必要は無いじゃろ。出展を取りやめれば良いし、キャンセル料を支払っても出ない方が賢明じゃろうな。でも、そうでないなら、つまりその展示会に、売りたい製品やサービスのターゲットが来場するなら、そこで収集したリストを活用する仕組みを持たない自分たちに問題があると考えて、早急に改善すべきじゃろう。

ワシが展示会に出展するようアドバイスをする理由は、展示会で収集できるデータが、多くの人が考えているよりずっと質の高いものだからなんじゃよ。

日本はBtoBの展示会が充実している国で、特に製造業や卸売業、建設関連などの分野では非常に専門性の高い展示会が毎週のように開催されておるんじゃ。その来場者の質がなぜ高いのかと言えば、例えば包装機械展、粉体工業展、食品工業展、設計・製造ソリューション展、物流展などの専門的な展示会の入場口で5,000円を支払ってチケットを購入する人をほとんど見ないじゃろ?もしチケットが無ければ買わなければならず、BtoC系の展示会では購入する人が長い列を作るものなんじゃ。

つまり、ほとんどの来場者はいずれかの出展者から送られたチケットで入場しているんじゃよ。これが最初のスクリーニングじゃな。出展者にとって招待するに値する企業に所属しているということなんじゃ。
「所属する企業はターゲットでも、部署が違う人では意味が無いではないか」という人もいるじゃろ。でもこれも論理的に考えると的外れなんじゃ。
仮に展示会のテーマに関係の無い人が平日の昼間に開催される展示会に行きたいと思っても、上長が許可しないはずなんじゃ。企業の中で経理部門にいる人が、会社に届いていた溶接展のチケットを見つけて「この展示会に行って良いですか?」と聞けば、「おまえが溶接展に行って何するの?」と言われるじゃろう、そんな事は時間の無駄じゃからな。じゃから本人が行きたいと思ったか、上長が行かせたいと思ったか、またはその両者の意志が一致した場合でなければ展示会場には行けないんじゃよ、これが2番目のスクリーニングじゃな。

さらに、日本の展示会主催者は基本的に同じような業種・業態の企業を近くにレイアウトする傾向にあるから、自社のブースの周辺にいるということは、自社の所属する製品カテゴリーに興味があるという事なんじゃよ、これが3番目のスクリーニングなんじゃ。
つまり展示会で自社ブースの前を通った人は、3重も4重ものスクリーニングを経た良質なリード(見込み客)と言う事が出来るじゃろ。

こう説明すると、「その中にはかなりの競合や競合の代理店が含まれているのではないか?」という人がいるじゃろ。正解じゃな。展示会で競合や営業対象外のリストを排除する方法は無いんじゃ。「あんたはさっきまで隣のブースで立ってた人でしょ、しっし!」なんて言えないからの。でも、それは後で排除すれば良いんじゃよ。これがマーケティング用語で言う「マージ&パージ」、つまり収集した個人情報を正確に名寄せして、そこから営業対象外を排除する、この仕組みを作っておけば何でもない事なんじゃ。

そもそもワシは、日本市場においては少なくとも中堅以上の企業をターゲットにしている企業は、展示会に出ない選択肢は無いと考えておるんじゃ。それは見込み客データの入手方法としての代替手段が無いからなんじゃよ。
インターネットで獲得できるというのは間違ってはいないんじゃ。SEO/SEMや良質のコンテンツを揃えたオウンドメディアで獲得は出来るじゃろうが、問題は「数」なんじゃよ。ページビューはWebの閲覧ページ数じゃから、案件を生む見込み客の登録分母はユニークユーザーなんじゃ。そのユニークユーザーの中で仮に2%がユーザー(メルマガ)登録や資料請求ページに進んだとして、そこにある入力フォームの必須項目を全て記入して登録を完了する人は多くてほんの1〜5%なんじゃよ。登録に至る導線上での減衰率を考えると、少なくとも数においてWebは展示会の代替手段には成り得ないんじゃ。

そして日本のBtoBでは、攻めようとしている企業の多くの部署の多くの人の情報が必要なんじゃよ。その理由は意思決定のメカニズムが欧米と正反対だからなんじゃ。
部門の責任者がトップダウンで意思決定する欧米と違って、日本はボトムアップで意思決定し、その過程は根回しや稟議書が支配する世界なんじゃ。だから、BOMと呼ばれる部品管理システムを売ろうとした場合、設計部門、生産技術部門、情報システム部門、経営企画部門、そしてカタログなどを制作しているマーケティング部門などが関わってくるし、人事給与システムを売ろうとすれば人事部門、経理部門、経営企画部門、情報システム部門、解析装置なら研究開発部門、設計部門、検査部門などに所属する複数の関係者に情報を送らないと機会損失が起こるんじゃ。
しかもその中で誰がイニシアチブを持っているかは、その時の社内の事情なので外部からはうかがい知れない事なんじゃ。だから欧米と違って複数のコンタクトポイントがアクティブでないとマーケティングにならないんじゃよ。

例えば既に取引があって、担当営業チームがあるような企業の集まる展示会にも積極的に出展するようにワシは言うんじゃ。もちろん怪訝な顔をされるんじゃ。
「もう専従の担当チームが10人もいて毎日訪問し、お客様の顔も状態も見えています。その企業の名刺を集めるのですか?」

そんな時ワシはこう質問するんじゃよ。

「御社の10人の担当が毎日顧客を訪問してコミュニケーションしているのは判りました。ところでその顧客企業の中で、御社の製品や技術の情報を知ってほしいエンジニアは何人くらいいるのですか?」
「製造業ですからね、エンジニアは多いですよ、5,000人くらいでしょうか・・・」
「10人の営業チームでどの程度カバーできてますか?」
「そう言われれば毎回同じ部署の同じ人に会っているケースが多いですね、そもそも5,000人のエンジニアの中で名刺情報を持っているのは2〜300人ですしね・・・」

BtoBは部門をまたいだ多くのコンタクトポイントを持たないと情報が届かず、結果的に競合に喰い込まれても気がつかないという事が起こるんじゃ。これもワシが展示会に出展することを推奨する大きな理由じゃな。

そして、こうした企業努力で自前で作った見込み客データベースは門外不出の貴重な経営資源になるんじゃよ。もし他社がその価値に気付いて同等のものを揃えようと思っても、欧米のように個人情報を買えないこの国では、非常に長い時間とコストが掛かるという事を意味するんじゃ。

少しは展示会に対する考え方が変わったかの?

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