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2014.04.28

マーケティングソリューションのブームで、これから日本で起こること

2014年は日本のMA元年になりますね。その中で起こるであろう問題と、そのメカニズムをノヤン先生が例を上げて解説します。

昨年(2013年)の秋にこのコラムで、世界のMA(Marketing Automation)のルーツからみたカテゴリーと、そのMAが今後日本にどういう影響をもたらすかを書いたんじゃ。(マーケティングオートメーションの現在と近未来
その後の展開はご存知の通りじゃな。Eloquaは2月に日本でのサービス開始を発表し、Marketoは電通グループと日本法人を設立し、ResponsysがOracleに、SilverpopがIBMに買収されたんじゃ。このカテゴリーの動きは本当に早くてダイナミックじゃな。

こうしたムーブメントを受けて日本でもMAと呼ばれるツールを導入しようと検討している企業は多いじゃろうな。日本企業は自らの最大の弱点はマーケティングだと明確に認識しはじめたから、ここを強化するための手をいろいろ打ってくるはずなんじゃ。しかも、過去10年間で普及が進んだSFAを活用しようとしたらMAと組み合わせるしか無いからの。これはとっても健全で良いことじゃよ。
でも、残念ながら多くの企業は最初の導入では大苦戦するじゃろう。

業務系ソリューションを導入して生産性を上げるには、絶対に必要な要素が3つあるんじゃ、「ノウハウ」と「人材」と「道具」じゃな。業務アプリケーションを「道具」とすれば、その導入が成功するためには「ノウハウ」と「人材」が必要なんじゃ。でも、マーケティングソリューションに関してはそれがまったく無い状態なんじゃよ。
実は多くの場合、企業が業務系ソリューションを導入する時に、「ノウハウ」と「人材」は既に社内に持っておるんじゃよ。だから良い道具を選んで導入すればすぐにも使いこなすことが出来るんじゃな。
いくつか例をあげて説明しようかの。

例えば人事・給与システムがあるじゃろ?社会保険や各種の控除を踏まえて社員一人ひとりの給与計算をしてくれるシステムじゃな。世の中に従業員に給与を支払わない企業は無いし、給与は「毎月決まった日に現金で支払う」と法律で決まっておるから、どの企業も給与計算はやっておるんじゃ。
社労士事務所などにアウトソーシングしている企業もあるじゃろうが、あれは社内にノウハウが無いからではなくて、作業量的に多いから外に出す、あるいは社内リソースを増やしたくないから外に出すのであって、ノウハウが在るから外部を管理できるんじゃよ。

これはCAD(Computer Aided Design)と呼ばれる設計ソリューションも同じじゃな。製造業には設計部門が在り、設計のプロフェッショナルがいて、CADが普及する以前はドラフターと呼ばれる製図版を使って設計図を描いておったんじゃ。CADはその作業をコンピュータ上で行うだけなので、設計のノウハウも、人材も社内に存在しておったんじゃよ。だからあんなに早く全国の製造業に普及したんじゃ。

と、ここまで説明すると、何でSFA(Sales Force Automation)は導入しても活用できていない企業が多いのか?という質問が出そうじゃの。

あれは導入を間違えただけなんじゃ。
例えば営業部長で部門の案件管理をまるでしない人はおらんじゃろ?もしおったらその営業部長は上司に来月の受注や次の四半期の売上げ予想を質問されても答えられず、お払い箱になってしまうじゃろう。そもそも案件や受注の読みを管理しないということは営業会議をしないということじゃから、それもあんまり聞いたことが無いじゃろう?つまりどの企業の中にも営業案件を管理するノウハウも人もおるんじゃよ。それをホワイトボードや紙のノートやエクセルでやっているだけの話なので、SFAを本来の営業案件の管理だけに使えばちゃんと運用できるんじゃ。

でも、多くの企業ではSFAをマーケティングに使おうとしたり、顧客管理や顧客データのマスターにしようとしたり、メールマガジンの配信に使おうとしたり、セミナーの参加申込者管理用のデータベースに使おうとしたりと、本来の用途とは違う使い方をするもんじゃからうまくいかないんじゃよ、まったく困ったもんじゃの。
本来、業務系ソリューションというのは目的特化型じゃから、あまり汎用性は持っていないんじゃ。同じ企業会計でも、税務会計と管理会計では別のソリューションを使うことが多いじゃろ?

しかしじゃ、MAと呼ばれるマーケティングソリューションに関してはもう少し気の重い話なんじゃよ。
一部の外資系企業を除く日本のどの企業も、社内の顧客・見込み客データを統合したことも、マーケティング用に整備したことも無ければ、それを啓蒙・育成したことも、そこから有望見込み客を絞り込むためのスコアと呼ばれる評価をしたことも、それを営業や販売代理店に渡してフォローしてもらったことも、渡した相手からフィードバックをもらってマーケティングをチューニングした経験も無いんじゃよ。もちろん社内には経験者もおらんし、今まで付き合ってきた広告代理店、PR会社、イベントの施工業者などもこのマーケティングのノウハウや経験者は持っていないんじゃ。つまり社内にも社外にも無いんじゃな。

でも、MAと呼ばれるこの種のツールはどんどん入ってくるし、日本企業はブームに乗っかるのは大好きじゃから、SFAがブームに乗って導入企業が一気に増えたようにこのツールもきっと売れるじゃろう。
だからワシは心配なんじゃよ。

では、米国では15年前に出てきたこのマーケティングソリューションの導入がうまく行ったのかと言えば、「Yes」なんじゃよ。

1999年のEloquaの創業時には、多くの米国企業は既に運用に必要なノウハウと人材を持っていたんじゃよ。
米国では企業のセールスはレップ(Rep)と呼ばれるフルコミッションの雇用形態が多く、また地域ごとの販売代理店のセールスの給与体系もインセンティブ比率がとても高い人が多いんじゃな。こういう雇用形態だと、セールスはすぐに受注になってインセンティブの申請が出来る案件しか追わないので、案件を創るマーケティングと、そこから受注するセールスという役割分担が自然に出来るんじゃ。
米国企業のマーケティング担当者は、この直販や代理店のセールスが追ってくれる状態まで案件を育成して安定供給する必要があったんじゃよ。そして、それを彼らはマーケティング系のツールをそれぞれ工夫して組み合わせることでやっていたんじゃよ。データベース、メール配信システム、ユーザー登録のCGI、PDF、キャンペーンマネジメントシステム、ストリーミングサーバ、チャットシステムなどを自分の好みやスキルに合わせて組み合わせてマーケティングをしておったんじゃよ。

やがて、これらのシステムベンダーの中で、マーケティング担当者が欲しいシステムを統合してマルチコンタクトポイントのワンパッケージにする者が現れたんじゃ、マーケティングオートメーションの誕生じゃな。
2012年にOracleが買収したEloquaは1990年代にはチャットシステムのベンダーだったし、2013年以降に相次いで買収されたResponsys、ExactTarget、Silverpopなどはメール配信、2010年にIBMが買収したUnicaはキャンペーンマネジメントシステム、2010年にAdobeが買収したDaySoftwareやデンマークのSitecoreは元々CMSなんじゃ。

つまり、米国でマーケティングオートメーションと呼ばれるBtoBマーケティング用のツールが出てきた時、多くの企業はそれを使うノウハウと人材を既に持っておったんじゃよ。ここが現在の日本との最も大きな違いなんじゃ。

では、日本企業はどうすべきか、じゃな。
ワシはマーケティングの人材や組織の育成に関する優先順位を上げるべきじゃと思っておるんじゃ。
日本企業もようやくマーケティング関連の部門を持つようになったし、それがこの3月〜4月の組織改変でも加速化したんじゃ。素晴らしいの。でも中身を注意深く見るとまだまだお寒い限りじゃよ。まず人を見ると、どう見ても各部門のやっかい者を集めたんじゃろう?という企業も在れば、明確な業務分掌も評価基準も無いケースも多く、国内に4つの事業本部しか無いのに、3つのSFAと2つのMAがバラバラに動いているケースまであるんじゃよ。

マーケティングからセールスまでの売れる仕組みを全体設計し、可視化し、チェックポイントを決め、PDCAをしっかり回して高速で進化できる組織が大至急必要なんじゃ。それも社内を動かせる優秀な人材を集めての。学ぶべき変数の多さや、その学習曲線を考えれば一刻の猶予も無いと思った方が良いじゃろう。
幸い日本にもBtoBのマーケティングサービスを提供する企業が一気に増えたので、その中から自社に合った良いパートナーを選んで走り出すべきじゃろうな。
さぁ!マーケティングに本腰を入れる時代じゃよ!

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