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2014.12.08

ノヤン先生の米国遠征 第2回

イベントに参加するため、NYからオーランドへ移動したノヤン先生。
今回はBtoBマーケティングの最前線「SiriusDecisions Summit」の模様をご紹介します。

SiriusDecisions

今回の出張の目的であるSiriusDecisionsとそのイベントSummitのことを説明しようかの。

SiriusDecisionsは未だ日本にオフィスを置いていないのであまり知られていないんじゃが、BtoBマーケティングの分野では最も知見を集めているリサーチ&アドバイザリーファームなんじゃよ。コンサルティングとリサーチ、そして研修プログラムなどをサービスにしている企業じゃな。日本にもオフィスを置いているGartnerやForrester Researchと同じカテゴリーなんじゃ。

2001年にGartnerのリサーチ部門の幹部だったJohn Neesonたちがスピンアウトして創業し、あっという間にBtoBのマーケティング&セールスにフォーカスしたリサーチファームとして急成長したんじゃ。BtoBマーケティング関連のスペシャリストの層の厚さでは他の追随を許さないレベルで、これからもここが理論的な牽引車になるんじゃろうな。

Hyatt

今年のSummitはフロリダ州オーランドのハイアットホテルで開催されたんじゃ。

会場のHyatt Regency Orlandoはそれは巨大なホテルでの、オーランドには空港のターミナルに隣接したものも含めてHyattのホテルが3つも在るんじゃが、これはコンベンションに特化して、多くのホールとセミナールーム、そして商談用の小部屋やレストランを備えたホテルなんじゃ。日本で言えば東京ビッグサイトにホテルニューオータニを併設したようなものかの。
しかも周辺にはディズニーワールド、シーワールド、ユニバーサルスタジオなどのテーマパークやショッピングセンターが林立し、世界中からエグゼクティブを呼んで、家族は観光を楽しみ、その間にお父さんは情報収集と商談、というビジネスコンベンションができる街になっておるんじゃ。まさにMICEじゃの。大型のビジネスカンファレンスがオーランドとラスベガスに集中するのはそういう意味なんじゃよ。

ホテル

このHyatt Regency Orlandoの部屋を予約することもできたんじゃが、実はワシはメジャーホテルが好きではないんじゃよ。いつも手配をしてくれるアシスタントには申し訳ないんじゃがな。
ヒルトンやシェラトン、ハイアットなどのメジャーホテルはロケーションもサービスも申し分ないのじゃが、一方では「どの街でもおんなじ」なんじゃよ。なので出張の時にはなるべく規模の小さなローカルホテルを探してもらうんじゃ。もちろん「外れ」のリスクも無くはないがの、それでもやはりこうしたアットホームでフロントの人とファーストネームで呼び合えるような雰囲気が好きなんじゃよ。今回は当たりじゃったな。

Summit

SiriusDecisionsが毎年開催しているBtoBマーケティング&セールスに関する国際的なカンファレンスがこのSummitなんじゃ。3日間開催されて、スポンサー企業各社のケーススタディセミナーから、キーノート、SiriusDecisionsの専門家によるセッション、アワード、そしてスポンサー企業の展示ブースなど盛りだくさんのカンファレンスなんじゃよ。

米国に本拠を置くビジネス系の出版社であるCrain Communicationsが運営していたBtoB Onlineが売却されてしまい、DMA(米国ダイレクトマーケティング協会)が未だBtoC色が濃いことから考えると、恐らく今のBtoBマーケティング系のビジネスカンファレンスとしては世界最大級と言えるじゃろうな。世界中から2,000人以上が集まっての開催じゃからキーノートやセッションは迫力満点じゃな。
でも、中身はというとこれは世界共通の悩みについてなんじゃ。特に多かったのが「マーケティングとセールスのギャップ」じゃな。今年のメインテーマのひとつでもあったんじゃ。

いずれにしても、フロリダの太陽も暑いんじゃが、それよりもこのカンファレンスが途方も無く熱いんじゃよ!

Demand Waterfall

SiriusDecisionsは2005年に「Demand Waterfall」というモデルを提唱し、この中でMQL(Marketing Qualified Lead)、SQL(Sales Qualified Lead)、SAL(Sales Accepted Lead)などの概念を整理し、再定義し、モデルの中に組み込んたんじゃ。今では世界中で普通に使われているBtoBマーケティングのモデルや用語の発信源のひとつでもあるんじゃよ。

もっとも、この「Demand Waterfall」はちょっと複雑にし過ぎておると思うがの。そして、この複雑さを反映して、MAのシナリオ設計のフレームがどんどん複雑になっておるんじゃ。
MAの設計者は現場よりもこの滝を見ておることが良くわかるじゃろ?理論武装というのはどこから反論されても答えられるものにしたくなるものなんじゃ。そんな状況は想定してません、と言ってしまえば楽なのにの。2005年の発表時も複雑過ぎるなぁと思っていたものが、どんどん複雑になって、今回の主催者セッションでも、そんなフローは無いでしょう・・・というレベルにまでなっておったんじゃ。そこがちょっと気になったわい。

ケーススタディ

初日の8時からスタートするケーススタディは、30人も入れば満席という小さなセミナールームで45分刻みで行われるんじゃ。もちろんマルチトラックじゃからどこのケースを聴きたいかが難しいところじゃな。
新進気鋭のマーケティングエージェンシーの発表や、業界を牽引してきたトップエージェンシー、マーケティングオートメーションベンダーの導入事例発表など、終日楽しませてもらったわい。少人数でのセッションなので質問も活発で、「このキャンペーンではシナリオ設計に何通りのワイヤーフレームを用意したのか?」という非常に具体的な質問も出て、発表者はすぐさま、そのシナリオ設計とコンバージョン率を解答する、という非常にレベルの高いものなんじゃ。

ゼネラルセッション

ゼネラルセッションの会場は1,200人収容のボールルームで行われたんじゃ。満席のプロフェショナルを前にしてステージで30歳前後の女性が「いかにコンテクストを改善してMQLの質を向上させ、営業とのギャップを埋めたか」という事例を熱く語っておっての、このテーマも、この参加人数も、熱気も真剣さも、ちょっと圧倒される感じじゃな。

しかもここはオーランドなので日本で言えば宮崎とか沖縄にこれだけの人を集めたことになるんじゃ。参加費も安くはないし、3日間のホテル代と交通費を考えれば一人50万円〜100万円を企業が負担して送り込んでいることになるんじゃ。米国の企業の中でのマーケティング&セールスのプライオリティの高さを感じるし、それをさらに強化するために、どれだけの予算と時間を使っているかを考えると、やはり日本は大丈夫かな?と考えてしまうんじゃよ。

パーティー

初日と2日目の夜は、スポンサー企業主催のパーティーがあちこちで開かれるんじゃ。ワシもいくつかのパーティーに招待されたんじゃが、今回はOracle Marketing CloudとDemanGen共催のパーティーに参加したんじゃ。ホテルの別館の屋上で開催されたパーティーは、開放的でみんな熱心に話しこむ楽しいものなんじゃ。ただし、こういう時のアメリカ人のパワーは尋常ではないのでペース配分は気をつけた方が良いんじゃよ。この日も最後はアイスバーという冷凍庫の中のバーで2時過ぎまで騒いでおったらしいので、ワシは早々にホテルに戻って大正解だったわい。でも凄いのは2時過ぎまで飲んで騒いでいた連中が翌日の7時の朝食会場にちゃんといるんじゃよ。

Birds of a feather Breakfast

この「Birds of a feather」というのは「同類」という意味があるんじゃが、実際に出てみるとその意味が良くわかったわい。
まず体育館のような巨大な朝食会場に8〜9人が座れる大きな丸テーブルがたくさん用意してあるんじゃ。そこには主催者のSirusuDecisionsの人が1〜2名で先に座っておるんじゃな。
ブッフェ式の朝食をトレーに採ってテーブルに着くと、「私はジェニーよ、あなたは?」という感じで話しかけてくるんじゃ。どんどん座ってくるからあっという間にテーブルの席は埋まるんじゃが、その時にはみんな自己紹介は済んでおるということなんじゃよ、そしてそこからはまさに「同類の朝食」で、BtoB企業のマーケティング担当者か、マーケティングソリューションのベンダーか、それを使ったサービスサプライヤーじゃから話が合わないはずがないんじゃな。
今の仕事の話から、マーケティングツールを変えようとしてヒントを求める人から、転職を考えている人から、マーケティングから事業本部のマネジメントへ昇格したけど、やっぱりマーケティングの現場に戻りたいので悩んでいる人から、もう話題が尽きなくて、アメリカ人の話し好きとマーケターの話し好きがクロスで掛かっているから本当に賑やかな楽しい朝食なんじゃ。久しぶりに愉快な経験じゃったの。

インフルエンス

こうしたカンファレンスは世界中どこでもひと昔前なら、撮影や録音禁止が多かったんじゃ。アメリカは昔からおおらかじゃったがの。でも今は、どんどん撮影してそれをTwitterFacebookで拡散(インフルエンス)することを推奨しておるんじゃ。
会場の入り口に巨大なボードがあって、そこでインフルエンスされたコメントをどんどん流しておるんじゃが、事務局では開催期間中のツイートやコメント、そのフォローや「いいね!」をカウントしていて、最終日には上位3人を「ベストインフルエンサー」として表彰したんじゃよ。もうブロガーなどのインフルエンサーは最も強力なメディアとして認知されておるんじゃな。

Dan McDade

このカンファレンスで嬉しかったもうひとつのことは、「The Truth about Leads」の著者で、Point ClearのCEOでもあるDan McDadeさんとも会えたことじゃな。名前は昔から知っていたんじゃが、NYで会ったRuth博士に紹介してもらって会場で会うことができたんじゃ。縁とはありがたいもんじゃの。とっても気さくな人で、バッグに持っていた著書にサインをしてくれたんじゃ。帰りの機内でさっそく読ませてもらったわい。感謝じゃの。

まとめ

BtoBのマーケティング&セールスだけでこれだけのイベントが開催できるということが、この国のBtoBマーケティングのポジションを雄弁に語っているようじゃの。

それにしてもこういう時の米国人のエネルギーは無限じゃの。公式日程が朝7時から夜中の2時までスケジュールが入ってるって、なんなんじゃろ?やっぱり肉を食べてる人種は違うのかの。

また、業界に歴史が在るので当たり前なんじゃが、米国のWebも含めたマーケティング界を引っ張っているのは40歳から60歳の世代なんじゃ。考えてみれば、DMやカタログでノウハウを構築したダイレクトマーケティングのナレッジと1990年代に勃興してきたインターネットのナレッジをクロスで持っているのはこの年代なんじゃな。もちろん若い人も多いし、その中間層も多いのじゃが、日本のWeb系のカンファレンスのように圧倒的に20代〜30代が多い風景とは明らかに違う気がするんじゃな。

考えるに、日本はダイレクトマーケティングの系譜と、オンラインマーケティングの系譜が断絶しておるから、そこが理論的にも実務的にも足腰が弱く見える原因かも知れんの。

そういうところも含めて、早く日本でもこうしたカンファレンスが開催できるようにならんと駄目じゃな。今の日本で、例えば宮崎のシーガイヤで3日間で参加費30万円のBtoBマーケティングカンファレンスを開催したとしていったい何人が集まるんじゃろうか?このギャップを埋めないといかんと痛感した旅だったんじゃ。

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