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2017.01.26

BtoBマーケティングの中での販売代理店の立ち位置の変化と未来

販売代理店は、今転換期を迎えています。4Pとも呼ばれるマーケティングミックスの「Place」は流通チャネルであり、販売代理店はマーケティングの重要な位置にいます。この販売代理店のこれからの立ち位置について、車やマーケティングソリューションを例にノヤン先生が解説します。

新年おめでとうじゃな。2017年は日本のBtoBマーケティングにとって輝かしい年になるじゃろうし。楽しみで仕方がないわい。

さて、今日はBtoBマーケティングの中での「販売代理店の立ち位置の変化」というテーマを、マーケティングソリューションの例も上げながら書いてみようかの。
なにしろ企業分類で「卸売業」にカテゴリーされる企業は、機械商社、医薬品商社、食品商社などと呼ばれて日本のBtoBでは最も数の多い業種のひとつじゃし、これが多いということは、メーカーは売り上げの多くを代理店に依存しているということなんじゃ。4Pとも呼ばれるマーケティングミックスの「Place」がこの流通チャネルじゃから、この代理店というのがいかにマーケティングの重要な位置にいるかわかるじゃろう?

ワシはセミナーの講師をする場合、参加者に商社系の人が多い時には、「もうメーカーの販売代理店という立ち位置で生き残るのは難しい時代になりました。これからは“ユーザーの購買代理店”に立ち位置を変えるべきですよ」と話すんじゃよ。
物理的な距離や、代金の回収、コミュニケーション手段などいくつかの要因を背景に発達した販売代理店という制度は今まで、どちらかと言えばメーカーの方を向いていたんじゃよ。ある地域や、その中のある業種に対して、そのメーカーの製品を代理販売する文字通りの販売代理店モデルだったんじゃ。
これが今、大きな転換期を迎えているんじゃよ。流通網の発達や情報ネットワークの整備、そしてインターネットの普及によってメーカーとユーザーの距離が一気に近くなり、その中間にいる商社に求められる要素が変化したんじゃ。商社も場合によってはメーカーとさえ競争しなければならないので、生き残りをかけて進化しているんじゃよ。そしてその方向は「顧客志向」なんじゃ。

BtoCの自動車を例にするとわかりやすいと思うんじゃが、日本の自動車業界は完全にメーカーがコントロールする販売代理店制度が確立されておるんじゃよ。トヨタのショールームで日産の車は買えないし、ホンダの営業所でマツダの車を試乗は出来ないじゃろ?つまりメーカーごとの、あるいはメーカーが決めたトヨペット、カローラなどのチャネルの販売代理店が新車購入の「正規」のルートなんじゃ。日本では異なるメーカーの車種を揃えているのは中古車ディーラーであり、新車は基本的にメーカーの販売代理店でしか買えないんじゃよ。

これをユーザーの購買代理にしたらどうなるかの?
例えば、アウトドアが好きな人向けの専門カーディーラーが出来るじゃろ。ここに来ればすべてのメーカーのSUV(Sport Utility Vehicle)タイプが見られて、試乗できて、気に入ったら購入することができる。他にもキャンプ用に、スキー用に、大型の犬を飼っている家庭用にと、各自動車メーカーのアウトドア向けの車種が揃い、さらにオートキャンプ用の様々なキャンプ用品や犬用のゲージ、スキーやスノボ、マウンテンバイクを固定するキャリアや、自動車の中を快適なベッドルームにするエアベッドなどを選んで購入できる。そんなライフスタイルをテーマにしたカーディーラーがもし在ったら素敵じゃろ?
コンバーチブルタイプだけを集めたディーラーや、小さいサイズの車種を各社から集めたミニカーショップなんかが出来たら面白いとは思わんかの?しかも一カ所で比較できるからとっても便利じゃろ?

これは保険の世界ではもう始まっている変化なんじゃ。生命保険も損害保険も、いくつかのマルチベンダーが出てきて、コンサルティングを行いながら顧客に合ったベストプラクティスを提案し販売する形態が急成長しているんじゃよ。
でも、これを自動車販売で実現しようと思えば中古車でやるしかないんじゃよ。メーカーが許さないからの。つまり正規ディーラーに仕入れの優先権が有り、誰でも仕入れられる訳ではないからなんじゃ。

BtoBでも同じじゃな、メーカーのコントロールが強い分野もあれば、流通の方が強いケースも在るからの。

ただBtoCプロダクトとの大きな違いは、BtoBはユーザーもその専門分野のプロフェッショナルじゃから、販売する側に顧客の問題を理解し、解決するための、経験に裏打ちされたナレッジが必要だという点なんじゃ。これはひとつの商材を販売していてはなかなか身につかないものなんじゃよ。
じゃからワシはBtoBの商社系の人たちに、これからは立ち位置を「メーカーの販売代理店」から「顧客の購買代理店」に転換しなければ生き残ることは難しいじゃろう、と語りかけるんじゃよ。
そして、顧客の購買代理店になろうと思えば、ある領域の数多くのメーカーの商材を扱い、それらを組み合わせて顧客の問題を解決できる最適解(ベストプラクティス)を提供しなければ生き残ることは難しいじゃろう。

これはメーカーから見れば不愉快に見えるかも知れないんじゃ。競合メーカーの製品も扱うわけじゃから可愛気のないパートナーに見えるじゃろうし、現実にメーカーからの紹介案件は期待出来なくなるじゃろう。メーカーにすれば競合の商材を扱っている商社より、自社の専業代理店の方が大事じゃからの。
でも、その企業が必要な存在かどうかを決めるのはメーカーではなく、「市場」すなわち「顧客」なんじゃよ。ビジネスは常に顧客から信頼されている者が強いものなんじゃ。
ひとつの企業の製品だけしか扱っていないのに「顧客のベストプラクティスを提案しています」と言うのはどう考えても無理があるじゃろうし、複数の商材を扱っていながらメーカーからの紹介案件を期待するのも矛盾なんじゃな。
そして顧客は、その商社が顧客とメーカーのどちらを向いているかを冷静に見ているものなんじゃよ。本当に自社にとって最適の提案をしてくれているのか、それともメーカーからの推奨商材を押しつけているのかは顧客にはわかるものなんじゃ。

BtoBマーケティングのソリューションを提供しているという点ではワシの会社もマルチベンダーの典型じゃな。
実は、シンフォニーマーケティングがOracle、Marketo、IBM、Adobeの4社のMA(マーケティングオートメーション)を扱う日本では珍しいMAのマルチベンダーになったのは、戦略的ではなく偶然なんじゃよ。

世界最初のMAであるEloquaとはOracleが買収するずっと前の、まだ彼らがカナダのベンチャーだった頃から付き合いがあって、日本の外資系企業のEloquaユーザーのオペレーションをサポートしておったし、Marketoも日本法人が出来るずっと前から付き合いがあって、やはり国内や外資系企業のオペレーションをサポートしておったんじゃ。Adobe Campaignもまだ買収前のNeolaneという名前のフランス企業だった頃からの付き合いで、IBMが買収したSilverpopも、彼らがまだアトランタのメール配信サービスだった頃からの付き合いなんじゃ。
なので、彼らが日本市場への展開を考えた時には真っ先に声を掛けてもらえたし、その時に「専門パートナー(Exclusive partner)は無理だけど、日本での展開を手伝うよ」と彼らに説明する事ができたんじゃよ。

シンフォニーマーケティングはその名の通りマーケティング屋であり、顧客企業のデマンドセンターの構築と運用を生業としているんじゃが、そのデマンドセンターのプラットフォームに使うMAは、その企業がやろうとしているマーケティングによって最適なものを選ぶ必要があるんじゃ。ツールもそれぞれ個性があるし、持っている機能や、それが実際に使えるかどうかもそれぞれ違うからの。すべての企業のすべての状況に合ったツールなんてあるわけが無いんじゃよ。
そういう意味では、偶然とは言え結果としてマルチベンダーになったことで、顧客とのミーティングを通してマーケティングの基本設計を行い、その設計を要件定義としてツールを選定し、導入、インプリメンテーション、データマネジメント、コンテンツマネジメント、アナリティクス、インサイドセールスチームの編成やコールツールの選定、そしてSFAとの連携などを一緒に行いながらベストプラクティスを提供することが出来るんじゃよ。
アメリカや欧州を見ても、ワシらのようなマルチベンダーもいれば、ひとつのソリューションだけに特化した専門ベンダーもいるんじゃ。もちろんあるメーカーの製品しか扱わない専門ベンダーはメーカーととても密接な関係じゃし、常に最新の情報や環境で専門性を高めておって、顧客にとってはそこがメリットになるし、マルチベンダーは顧客がツールをスイッチする時の相談にも乗れるというメリットもあるので、どちらを選ぶかはその時の顧客の判断じゃろう。

そういう意味では、サービスを提供する側ははっきりと自社の立ち位置を宣言する必要があるじゃろう。自分の会社はどういう価値を顧客に提供できるかを説明すべきなんじゃ。

そしてワシが一環して提唱していることは、メーカーの販売代理店からユーザーの購買代理店に軸足をシフトして、顧客の課題を顧客と一緒に解決する、という姿勢なんじゃよ。

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