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2019.01.16

BtoB企業のマーケティング部門の適正規模の話

自分の会社はどんな規模のマーケティング部門を持つべきなのか?人員は、予算は、権限は?と考えている企業が多いと思います。なかなか答えが見つからないこの疑問にノヤン先生がお答えします。

「私の会社に適正な規模のマーケティングチームは何人くらいでしょうか?」

最近こんな質問をいただく事が多いんじゃよ。初めてのチャレンジは何でも手探りになるもんじゃが、後から振り返って見ると何であそこでつまづいたのか?と思うようなところで引っかかるものなんじゃ。
ワシのこの質問への答えは、

「期待する成果によって異なるじゃろ」

というものじゃな。自動車を例に話そうかの。エンジンで駆動する自動車は基本的に、「道路交通法を守って道路を走り、安全に人や荷物を運ぶこと」が目的なんじゃな。かなり限定されておるじゃろ?水の上を走ることも、空を飛ぶことも、時速250キロで走行することも想定しなくて良いんじゃよ。その限定された用途でさえ軽自動車の660ccから大型トラックの30000ccを超えるものまで様々な規模のエンジンが存在するんじゃよ。言うまでもなくこの違いは用途、つまり「期待する成果」なんじゃ。軽い荷物を近距離で運ぶなら農家によく置いてある軽トラックが最も便利じゃろうし、40フィートの大型コンテナを港から遠くの物流センターまで運ぶならやはり30000ccの排気量が必要なんじゃ。
では、マーケティングの規模は何を基準に決めるのか、を説明しようかの。要素は3つ有るんじゃ。

1. 業務範囲

広報・PR、リサーチ、ユーザー会の事務局、プライベートイベントの事務局、カタログやパンフレットの作成、自社Webや採用サイトのWebマスター機能、コンテンツ制作や事例ヒアリング、メールマガジンのライティング、データ分析、インサイドセールスなど、およそBtoBのマーケティングの業務に入る可能性がある業務をあげるときりが無いんじゃよ。

もし上場クラスの企業でこれらを全部業務分掌に入れた組織を作るなら最初から100人規模になるじゃろうし、売り上げが1兆円を超える企業ならこれでも足りんじゃろ。だから何をどこまでやらせるかを決めない限り適正な規模の話は出来ないんじゃよ。

2. 期待する成果との整合性

売上げ3000億円の企業を例に話そうかの。マーケティング部門を作る以前は、マーケティング活動と言えば展示会や広報など売上げから遠いところで行われていたはずなんじゃ。だから今の3000億円の売上げを作った商談の中にはマーケティング由来のものは無いはずじゃな。ゼロじゃ。これを例えば3年後に売上げを3600億円にするという経営計画を立てたとして、その中のいくらをマーケティング由来の商談から作りますか、というのが「期待する成果」になるんじゃよ。既存の顧客から営業が掘り起こす新規案件や、顧客からの紹介案件など営業部門の頑張りで400億円は積めると仮定すれば、残りの200億円の売上げをマーケティング由来に期待することになるじゃろう。

200億円の売上げを逆引きで計算すると、A案件からの受注決定率が50%として400億円分のA案件が必要になる。マーケティング(デマンドセンター)から供給した商談(MQL:Marketing Qualified Lead)からのA案件化率を25%とすればこの会社のデマンドセンターは3年後には年間1600億円分の商談を作らなければならんのじゃ。さて、3年後に年間1600億円分の商談を営業や販売代理店に供給する仕組みを作るために相応しい人材の質と量、権限そして予算は、と考えてもらえば、この会社が少なくとも「どんな規模のマーケティングチームを持つべきか」はおのずと判るじゃろう。
期待する成果を基準に判断するとはそういうことなんじゃ。「マーケティングが機能していない、うまく行っていない」と嘆く経営者に、どのくらいの社内リソースと予算を割いているのかを質問すると、「その人数や予算で成果を期待するのはいくら何でも可哀想じゃろ」という結論になることが多いのじゃよ。

3. 内製化率

人数や予算などの規模にもっとも関係があるのが、この内製化率じゃな。しかも初期においては成功確率ともっとも強い相関を持ってもいるんじゃよ。もし広告を広告代理店を使わずにやるとなると自社の社員がメディアプランや、制作や、原稿チェックをすべてやることになるじゃろう。PRも同じじゃな、PRの最も大きな仕事は言うまでもなくメディアリレーションじゃから、新聞や雑誌、電波メディアの記者たちと毎日会って食事して飲んで、をやらせなければならんじゃろ。それを社員にやらせたとしても、そういうコネクションは人に付くものじゃから、その人が退職したらゼロからやり直しなんじゃ。あんまり効率が良いとは思えんじゃろ?さらに言えばBtoB独特のデマンドジェネレーションじゃが、ここだけでも、見込み客データの収集、その統合管理、コミュニケーション、分析・絞り込み、そしてインサイドセールスによるニーズの確認という要素があって、それぞれとっても専門性が高いんじゃ。もし本気でやろうとするならここだけでも相当な人数が要るじゃろう。ただこれはあくまですべての業務を内製化したらの話じゃ。世の中には広告代理店もPRエージェンシーも、マーケティングエージェンシーもあるからの。

そもそも100%内製化は不可能なんじゃよ。展示会に出展するときのブースの造作まで自前でやるなら大工さんを雇うことになるからの。ワシのセミナーでもマーケティングを内製化したい、という企業の担当者がよく参加してくれるのじゃが、ワシは、最初はプロと一緒に立ち上げて、やりながら内製化すべきところと、アウトソーシングすべきところを切り分け、2〜3年でハイブリッド型の内製化を実現するのが現実的じゃとアドバイスするんじゃよ。MAなどの道具だけ買ってナレッジも無いのに内製化で始めた会社でまともなマーケティングが出来ているところはほとんど無いからの。

*

最初からそんなに人を割けないし、予算も付けられない、先ず成果を出してからそれを評価して人と予算を増やす、というとても“まとも”な事を言うマネジメントと良く会うんじゃよ。そんな時ワシはこう話すんじゃ。

「どんな事でも本気でやらなければ成果なんて出るわけ無いじゃろ?」

本気というのは気持ちを言っているのでは無いんじゃよ。業務範囲や期待する成果に対して適切な人と予算を投入しないなら最初から失敗は目に見えているんじゃ。だから適切な人も予算も割けない事情がもし有るなら、最初からやらない方が良いという事なんじゃよ。失敗したという結果だけ残しても意味が無いじゃろ?それにマーケティングは単なるキャンペーンでは無く、経営戦略の柱であり、戦略的な最重要インフラなんじゃ。じゃからそれに相応しい取り組みをしないなら本気とは言えんじゃろ?

事実として断言できるのは、これからはマーケティングのレベルがその企業の存亡を制する、ということじゃ。それに異論のある人はおらんじゃろ。だからワシは2019年は1社でも多くの本気の企業が増えることを心から願っておるんじゃよ。

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