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ホーム > 講座 > ノヤン先生のマーケティング講座 > コンサルがまともでもMA導入が失敗している理由

2019.11.11

日本のMA元年であった2014年以来、外資系、国産を合わせると、一度はMAを導入した経験を持つ企業は4000社を超えると言われています。しかし、そのほとんどは未だ売上げに貢献するに至っていません。では、MA導入に際してどんなコンサルタントを選択すれば成功の確率は高くなるのか?ノヤン先生がコンサル選定のコツを解説します。

2014年は、日本のBtoBマーケティングにとっては記憶すべき年だったんじゃ。日本でMAの販売が始まった年じゃからの。

米国では世界最初のMAであるEloquaが2000年に販売を開始し、その成功に刺激されてMarketoHubSpotなどが2005年〜2010年までの間に次々と製品リリースしたのじゃが、日本には未だ市場が無いと判断されて欧州やシンガポールを優先して日本ではなかなかリリースされなかったんじゃが、その後2014年にオラクルが買収したEloquaを日本でリリースし、Marketoが日本法人を設立し、IBMが買収したSilverpopを、Adobeが買収したNeolaneをリリースしたんじゃ。
さらにHubSpotは日本の代理店が日本語ローカライズを後回しにして果敢に販売を始め、こうした動きに刺激されて国産のイベントフォームベンダーやメール配信ベンダーなどが、自社製品をMAに進化させてリリースしたことにより、一気に10を超えるMAブランドが国内市場に乱立する状況になったんじゃ。

2019年の今日では、Pardotを買収したSalesforce.com社が、SFAでの圧倒的なシェアをテコにして契約数を伸ばし、瞬く間にトップシェアを誇るMAの1つになったんじゃ。たった5年で凄い変化じゃの。

そして、外資系や国産の各MAベンダーの販売契約数を合計するとすでに5000社にも達し、IT業界得意の水増しやキャンセルを差し引いたとしても、4000社が一度は導入したと見るべきじゃろう。

これは日本のBtoB企業が世界に追いつくためには良いことじゃが、問題はその成功率なんじゃよ。

成功の定義を、手組みのレガシーシステムのように「カットオーバー」とすれば99%は成功なんじゃろう。なにしろほとんどのMAはクラウドじゃから「動かない」という事はほぼ無いからの。

しかし、成功の定義を「良質の商談を営業に安定供給して、売上げに貢献する」とした場合はどうじゃろ?

つまりこの定義に照らせば

  • メール配信に使っている

  • CMSやフォームとして使っている

  • マーケティングを行っているが未だスコアなどの機能は使っていない

  • スコアまでは行っているが未だ営業に渡せていない

  • 何度か回してみたが、コンテンツがネタ切れして継続していない

などは全部アウト、つまり導入失敗か、失敗への坂道を転げ落ちている途中なんじゃよ。

そして悲しいことに、こうした導入失敗企業の多くは、MA導入に際してコンサルタントを採用してお金を払ってサービスを受けているという事なんじゃ。では、なんでプロのコンサルタントを入れても失敗するのかの?それは選んだコンサルタントが悪かった、と思うじゃろ?
ところが調べてみると、多くのケースでは、コンサルタントは依頼された仕事をちゃんと実施しておるんじゃよ。不思議じゃろ?

実はMA導入に関わるコンサルタントにもいくつかのタイプがあって、それを理解して使い分けることが大事なんじゃ。

製造業を例に説明しようかの。例えばある企業が、新製品の量産のために新工場を建設するとして、その工場の設計を考えるのはエンジニアリング会社の役目なんじゃ。総合建設業の設計部門でも、一般の建築設計事務所でもなく、エンジニアリング会社なんじゃよ。工場というのは専門性が高く、建屋と呼ばれる工場の建物よりも、その中で稼働する製造ラインのレイアウトや、電源やエアなどの動力源、また水を大量に使う工場であればその水の確保と排水、そして排水時の浄化槽やその検査装置などを考えて設計する必要があるんじゃ。ものづくりの技術的な専門知識だけで無く、多くの法規制や出荷先の国や地域の工業規格が絡むんじゃから、普通の建築設計士では手に負えないのがわかるじゃろ?

工場が稼働すれば、原材料やパーツが世界中から毎日届くようになる。その検品や収納、そこから適正な順番でピッキングされたパーツがラインを流れ、いくつかのワークや工程を経て検査ラインに至り、完成品ラインで梱包され、倉庫に収納され、そこから出荷されるんじゃ。そして、搬入・搬出のトラックの回転半径までを含めた導線の設計も重要になるんじゃ。さらにエンジニアリング会社のエンジニアは、ラインにボトルネックが無いかを “秒単位” で詳細に確認しなければならないんじゃ。ラインスピードは、処理が最も遅いところに合わせることになるからの。設計スペック通りの生産性を実現することは、途方も無く難しいのは想像できるじゃろ?

工場の建設では、こうしたものづくりに精通したエンジニアが顧客と一緒に工場の用地選定や道路からの導線設計、ライン設計、ラインの中で使う工作機械や検査機器やコンプレッサーなどの機材の選定を担当するんじゃ。もちろんそれぞれの機材の導入に当たっては、メーカーから推薦されたその機材専門のエンジニアが設置や動作確認、操作のトレーニングなどをしてくれるんじゃ。
これら全てが完了して、ようやく工場が稼働するんじゃよ。

つまり、工場全体の設計を担当し、その工場の生産性を最高に引き上げる事を考えるエンジニアと、発注された機材を納品し、据え付け、動作確認と操作説明をするエンジニアがいるんじゃ。どちらも大事な存在ではあるんじゃが、立ち位置がまったく違うじゃろ?

企業の売上げに貢献するマーケティングを工場だとするなら、MAはその中の機材のひとつに過ぎないんじゃよ。その工場のラインに並ぶ機材を実際の製造業のそれと対比すると

  • パーツや原材料の検品に該当する名刺管理ツール

  • 倉庫に該当するバックアップストレージ

  • ラインや工作機械に該当するMA

  • 組み立てロボットに該当するCMSや動画プラットホーム

  • 検査機器に該当するBI

  • 出荷先への物流に該当するSFA

  • 出荷伝票管理に該当する販売管理システム

などがあるんじゃ。MAはその中のひとつなんじゃよ。

残念ながら日本の多くの企業はこの構造をきちんと理解していないので、工場のライン設計前にMA(工作機械)を選定し、MAベンダーは注文通りに納品し、ベンダーから紹介されたコンサルタントはそれを設定し、メールのテスト配信やIPウォーミングまでを行い、さらにユーザーの担当者にMAの基本的な操作を教えて帰って行く。誰も何も間違っておらんじゃろ?

そしてMA導入後のユーザーが困っている事はと言えば、

「データマネジメントのポリシーはどう決めるの?」
「データをキレイな状態に維持するのはどうしたら良いの?」
「良質なコンテンツを量産する方法はあるの?」
「そもそもどんなコンテンツを作ったらいいの?」
「動画を活用するにはどうしたら良いの?」
「ハイスコアで営業が喜んでくれる案件を見つけるにはどうしたら良いの?」
インサイドセールスって必要なの?」
「そもそもどんなマーケティングをやったら売上げに貢献できるの?」
「マーケティング部門は、何人のどんなスキルの要員を確保すれば良いの?」
「マーケティング部門って、組織のどこに置くの?」
「営業がマーケティングをやるのじゃダメ?」

とまぁきりが無いのじゃが、これらの答えをMAベンダーのカスタマーサクセスや、紹介されたインプリ(初期設定)を得意としたコンサルタントに求めるのは的外れだと言うことが製造業の例を見れば判るじゃろう?

先ずは何を誰がどう作るのか、というマーケティングの基本設計を一緒に策定できるコンサルを選ぶべきなんじゃ。道具の専門家の出番はその後なんじゃよ。工場で言えば用地の選定、敷地レイアウト、そしてライン設計、機材の選定と調達、人員の確保とトレーニング、そして建屋の設計と建築という順序で仕事を進める人じゃな。マーケティング組織であるデマンドセンターも、規模は違えどほぼ同じ工程を踏むべきなんじゃ。

この基本設計をきちんとすれば、それが要件定義になって自社のマーケティングに最適なMAを選定できるし、ベンダーに対しても、設定や他のシステムとの連繋などを具体的に指示することが出来るじゃろう。間違った導入プロセスで「MAは役に立たない」と言っている人もいるんじゃが、道具は使う人の腕と使い方が大事なんじゃよ。

ものづくり大国と世界から尊敬される日本なのじゃから、マーケティングの工場もしっかり創れるようになるじゃろ。わしはその手応えを現場で日々しっかり感じておるんじゃ。

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