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2020.08.18

相棒と書いた6冊目の本で伝えたかったこと

2020年8月に出版された6冊目の本「BtoBマーケティング偏差値UP」を書くに至ったきっかけを、著者の相棒で共同執筆者でありながら、鳥類であるが故に著作人格権を持てないノヤン先生が解説します。

BtoBマーケティング偏差値UP

BtoBマーケティング偏差値UP

わしと相棒はこの8月に6冊目となる本を出版したんじゃ

「BtoBマーケティング偏差値UP」

というタイトルの本じゃ。もちろんクレジットは相棒だけじゃよ、残念ながらこの国ではミミズクに著作 “人格” 権は認められておらんからの。まぁそれはさておき、今回はなぜ今この本を書こうと思ったのか、書かずにいられなかったのかを書いてみようと思うんじゃ。

日本の中堅以上のBtoB企業の多くは、程度の差こそあれマーケティングに取り組みはじめているんじゃよ。特にこの10年はそれが顕著で、2008年に世界を襲ったサブプライムモーゲージクライシス(リーマンショック)で経済が大打撃をうけ、その余波で産業構造や系列と呼ばれた互助会システムが崩壊したことが大きなきっかけだったんじゃ。
その後、2014年には欧米で普及していたマーケティングオートメーション(MA)が日本でもリリースされ、これに刺激されて日本のベンチャー企業も国産MAを開発してリリースし、ちょっとしたBtoBマーケティングブームが起きたんじゃ。これはとても良いことじゃな。MAを導入し、Webをリニューアルし、メルマガを配信し、カスタマージャーニーをマッピングしてスコアにトライしたりしたんじゃよ。しかし多くの企業ではそこで固まってしまったんじゃ。

その理由は、多くの企業で起きている3つの課題だったんじゃよ。

  • 部分最適ではへとへとに疲弊するだけで成果なんか出る訳がない

  • 社内で孤立しながら奮闘するマーケターをこれ以上増やしてはダメ

  • コト売りの本質は時間軸の話

わしらは、今の日本のBtoB企業にマーケティングが根付くには、この3つの課題をどうしても乗り越えなければならないと考えてそのメカニズムを分析していたんじゃ。そして判ったことは、実はこの3つの課題の根っ子は同じものだったんじゃよ。

部分最適ではへとへとに疲弊するだけで成果なんか出る訳がない

日本のBtoB企業が取り組んでいるマーケティング活動を羅列すると

それぞれ専門性があり、簡単ではなく、予算もリソースも掛かるのじゃが、共通することは「部分最適」で互いに連繋していなければ成果は出せない、ということなんじゃ。リサーチで顧客市場の課題を発見し、競合に先駆けて良い製品を開発してリリースしたとしても、マーケティングをしなければその製品の情報は顧客や市場に届かないんじゃ。それどころか自社の営業にすら浸透しないので、結局「良い製品なのにさっぱり売れない」ということになるじゃろう。

日本人は真面目じゃからそれぞれの担当者は本当に頑張っているんじゃが、全体を俯瞰的に見たマーケティングのデザインになっておらんのじゃ。そもそも誰も全体最適を見ていないので連繋ができておらず、その結果、個々の活動を頑張るほどバランスを崩して社内で不協和音が出るものなんじゃ。部分最適で頑張ると、部門間の溝が大きくなる傾向が強いんじゃよ。
MAを導入したマーケティング部門がカスタマージャーニーをデザインし、MAのシナリオ設計機能を使ったキャンペーンを実施すると、ステップメールを組み込んでしまうことが多く、これがスパムを大量に発生させる原因になっておるんじゃ。結果的に自社の営業から「顧客からクレームが入っているからすぐ止めてくれ」と言われてしまうんじゃな。

社内で孤立しながら奮闘するマーケターをこれ以上増やしてはダメ

日本のBtoB企業がマーケティングに取り組んで数年を経過するとぶつかる課題、それは「マーケティング部門の孤立」なんじゃよ。

後工程であるはずの営業部門からは胡散臭い、仕事を増やす迷惑な存在と言われ、広報からはブランドを傷つけるコンテンツを量産する危なっかしい存在と思われ、法務からは法律の勉強もしないで個人情報を大量に保有する危険組織と指摘され、ものづくりからは何をしている部署か理解されず、経営陣からはまるで頼りにされない集団と認識されてしまうんじゃ。これでは売上げに貢献するどころか、組織の存続することすら危ういじゃろう。
特に多くのBtoB日本企業は、営業部門の社内政治力が圧倒的に強いので、そこに相手にされないとほぼ何もできないことになるんじゃよ。

こうした孤立から脱するには、営業部門の売上げに貢献するしか無いのじゃが、それを可視化出来ている企業は少なく、それが理由で予算確保に苦戦しているマーケティング部門が多いんじゃよ。

コト売りの本質は時間軸の話

日本のBtoB企業の中期経営計画に多く書いてある言葉が「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と「コト売りへの転換」だそうじゃな。どちらも言葉遊びではなく戦略としては正しいのじゃが、それを実現する戦術つまり「How(どうやって)」が無いから、現場は困り果てているんじゃ。
戦術を持たない戦略のことを昔から「絵に描いた餅」と言うんじゃよ。

この「コト売りへの転換」は、営業マインドでも販売スキルでもなく、「時間軸」の話だと言うことが理解されていないんじゃ。課題の本質が理解できていなければ解決できるはずもないんじゃよ。

*

実はこの3つの課題の根っこは同じものなんじゃ。

「全社のマーケティングナレッジが低い」、つまり「マーケティング偏差値が低い」ことが原因なんじゃよ。
日本のBtoB企業は、多くの要因が重なったことでマーケティングの機能や専門知識を持たずに成長を続けた50年の歴史を持っているので、社内にマーケティングのDNAが存在しない企業が多いんじゃ。経営幹部も総務系や財務系、技術系、営業系などの専門部署から上がってきた人が多く、先進国には珍しいほどマネジメント層にMBAホルダーが少ないという特徴があるんじゃよ。

そうなるとマーケティングの知識は読んだ数冊の本だけということになり、理論を体系的には理解しておらず、マーケティングの実務経験も無い人がマネジメントや経営層に並んでいる、というのが日本企業の現状なんじゃよ。

全社のマーケティングナレッジが高くないと、マーケティング部門の活動や売上げが可視化されず、その結果、顧客維持や競合排除にどう繋がるか判らないんじゃ。判らないことをやっている人は胡散臭く見え、胡散臭い人とは関わりたくないので全体最適にならず、故に複数の部門が高度に連繋しないと実現できない「コト売りへの転換」は旗振れど踊らず、になっているんじゃよ。

そしてこれらの課題は、マーケティング部門だけでは解決できないものなんじゃよ。経営者のリーダーシップや他部門の理解、そしてマーケティングの共通言語化などが必要なんじゃ。

それがはっきり見えた時に、これはこのメカニズムと改善方法を本に書かなくてはと思ったんじゃ。
30年間日本のBtoBマーケティングをサポートしつづけ、社内で孤立して日に日に元気を失う人達を嫌と言うほど見てきたからの。

これからマーケティングに取り組む企業はますます増えてくるはずじゃが、マーケティング部門を孤立させることなく全体最適でデマンドジェネレーションからABM、そしてコト売りへの転換までをしっかり実現して欲しいと願いを込めて書いた本なんじゃよ。

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