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2022.02.10

SFAとCRM ─誕生から活用まで─

代表的な業務システムであるSFA/CRMはいつどういう背景で誕生し、企業の何を変え、どう活用されてきたのでしょうか。いつ、どこで、誰が、どんな想いを込めて作ったのかを知ることは、そのシステムを理解する上でとても重要なことです。ノヤン先生と一緒にその歴史、使用目的、導入効果、活用のポイントを見ていきましょう。

SFA/CRMと書いてあるんじゃが、実はSFACRMは元々まったく別のカテゴリーの業務アプリケーションだったんじゃ。SFAはBtoBの受注予測のぶれを最小化することを目的に営業案件のパイプラインマネジメントツールとして生まれてきたんじゃの。代表的なブランドはトーマス・M・シーベルが創業したSiebel(シーベル)で、現在圧倒的な世界シェアを持っているSalesforce.com(セールスフォースドットコム)のCEOのマーク・ベニオフもSiebelの創業メンバーの一人に名を連ねているんじゃ。

一方のCRMは主にBtoCの世界でライフタイムバリュー(LTV)を最大化することを目的に顧客の購買履歴管理ツールとして生まれてきたんじゃ。ライフタイムバリューは「シェアの概念の革命」と呼ばれ、それまでの製品カテゴリーとエリアと期間を限定し、その中での「市場占有率」という概念から、一人の人間が生まれてから亡くなるまでの顧客生涯価値(LTV)を獲得しようとする概念への大転換じゃな。このLTVを獲得しようと考えれば顧客データベースは絶対に必要じゃの。顧客データベースの重要性が脚光を浴びた理由はそこにあるんじゃよ。
代表的なブランドはデータベースの研究者であったDr. ピーフォン・チェンが創業したBroadVision(ブロードビジョン)や、カレン・リチャードソン率いるEpiphany(イピファニー)、デビッド・ダフィールドが創業したPeopleSoft(ピープルソフト)などじゃの。ちなみにMAとして日本でも広く普及しているMarketo(マルケト)の創業者のフィル・フェルナンデスと共同創業者でCMOをつとめたジョン・ミラーはこのEpiphanyの幹部社員だったんじゃ。

SFAとCRMの初期の共通点はどちらもデータベース企業の出身者が作ったという点じゃな。当時世界を席巻したリレーショナルデータベース(RDB)を作ったり販売していた人の中から、そのデータベースを使った業務アプリケーションを作る人が出てきたのは当然の流れじゃの。会計、人事給与、在庫管理、サプライチェーンマネジメントなどの初期のシステムの多くはデータベース企業出身者や研究者が作ったものじゃし、SFAもCRMもこうしたムーブメントに乗ったものじゃ。BroadVisionの創業者Dr. ピーフォン・チェンはサイベースの、Siebelの創業者トム・シーベルはオラクルの出身じゃな。

こうした流れの中でSFAもCRMも、それぞれたくさんのブランドが生まれ、世界的に成功した製品も多く出たんじゃが、2000年代初頭に米国を襲った「ネットバブルの崩壊」で多くの企業が大打撃を受けたんじゃ。その後それぞれが提供市場を拡大するために、お互いの機能をモジュール化して取り込んだことで境界が無くなり今のSFA/CRMという呼び方が一般化して現在に至っているんじゃな。

SFAに関して言えば、今わし達が目にしているSalesforce.comを中心にした製品群は第3世代と言えるもので、第1世代が1980年代に登場したONYX(オニキス)、Clarify(クラリファイ)などに代表される製品群じゃ。これらは米国市場で限定的に成功したんじゃが、世界的な普及には至らなかったの。1990年代初頭から出てきたSiebel(シーベル)、Vantive(ヴァンティブ)、カナダのPivotal(ピボタル)などが第2世代になるんじゃが、世界的に普及したのはこの世代の製品群じゃ。実は普及した理由のひとつは思わぬ方向から吹いてきた大きな追い風だったんじゃ。
この頃米国では全米IR協会が牽引する形で企業の業績ディスクローズ、つまりIR(Investor Relations)が強化されたんじゃ。投資家保護の観点から上場企業の四半期毎の業績予想の振れ幅を狭く設定する動きが加速して、グローバルでビジネスを展開している企業が四半期毎の売上げや受注の予想と実績のぶれを最小に抑えようとすれば営業案件をパイプライン管理するより他に方法はないんじゃ。そのためのツールとして第2世代のSFAが採用されたんじゃ。
その結果、導入企業に大きな変化が起こったんじゃよ。

原価と経費の削減

先ず原価と販売管理費が低減したんじゃな。営業案件をパイプラインでプロセスマネジメントすることにより、需要が正確に読めるようになったことで製造ラインやパーツ、物流などの調達が最適化され、原材料、流通在庫の調節などでロスが最小化され原価率が低減したんじゃ。これに伴い各プロセスの人員の数も最適化できたことで、販売管理費も引き下げる事ができたんじゃな。

売上げアップ

営業案件を可視化し社内でシェアする事で、営業会議におけるマネジメントからの指示や技術サポートのタイミングが的確になったんじゃ。さらに営業のリソース配分やスキルマネジメントも進化したことで、案件からの受注決定率を引き上げることに成功したんじゃな。

原価と販売管理費が下がり売上げが上がるということは、利益が増大することを意味するんじゃ。第2世代の普及期に多くの導入企業が「わずか6ヶ月に導入費用を回収できた」「3年で回収するつもりだったSFAの投資を3ヶ月で回収できた」と言う企業が続出したのはこうしたメカニズムだったんじゃな。

さらに当時の世界経済を牽引していたIBMがグローバルの商談管理ツールとしてSiebelを導入したことで、エンタープライズ企業のSFA導入に火が付き、一気に世界中のBtoB企業に普及したんじゃ。このSiebelの日本法人の設立に日本IBMから参画し、営業部門を率いていたのが、現在日本を代表するインサイドセールス企業のブリッジインターナショナルの創業者でCEOの吉田融正氏じゃな。
この第2世代がOracleなどに買収されて勢いを失った後、この市場を席巻したのがクラウドベースで提供される現在の第3世代で、その代表選手がSalesforce.comじゃの。

わしが日本企業の経営者に「SFAは業務日報のデジタル化ソリューションではない。営業パーソンを管理するのではなく、商談を管理するもの」と説明する理由はこうした歴史を踏まえてのことなんじゃ。
わしは、営業は管理しないほうが良い生き物だと考えているんじゃよ。特に売れる営業は自由を好み厳格に管理されることを好まないし、この気質は日本も欧米も同じじゃからの。営業日報をデジタル化して営業の管理を強化するのではなく、商談を管理して適切にリソースマネジメントをする事に注力するんじゃ。そうすることでSFAは会社を強くしてくれる業務アプリケーションになるんじゃよ。

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