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2006.04.10

青年よマーケターを目指せ!

出典:PowerBiz / 庭山一郎

マーケティングとは、素晴らしい商品やサービスの情報を、それを必要としている人々へ、いかに効率的に届けるかというコミュニケーション戦略だと考えている。人と人とのコミュニケーションの最適化を最先端のテクノロジーを動員して実現するこの仕事が必要とされない訳がない。

この世で最も素敵な仕事のひとつである「マーケティング」に携わって早いものでもう20年近くになる。好きな事を職業にすることの是非は様々だと思うが、私の場合は正解だったと思う。

好きなことだから没頭できる。

まだ新人の頃、毎日夢中で仕事に取り組み、徹夜で翌日に提出する企画書を書き上げて窓から見た朝焼けに染まる空の色、夜明け前のオフィス、たった一人で噛みしめたなんとも言えない充実感は、今でもはっきり覚えている。

好きなことをやっているからストレスが無い。
会社に勤めていた時も自分で会社を興してからも、自分の仕事に疑問を持つことや、こんなことをして果たして誰かの役に立つのか、と考えたことも無かったし、今後も無いだろう。
マーケティングとは、素晴らしい商品やサービスの情報を、それを必要としている人々へ、いかに効率的に届けるかというコミュニケーション戦略だと考えている。
人と人とのコミュニケーションの最適化を最先端のテクノロジーを動員して実現するこの仕事が必要とされない訳がない。

そして何より、好きなことをしているから無理がない。
大抵の場合、人が好きになるものは自分に向いているものだと思う。
音感の優れた人はいつか楽器と巡り合うだろう、色彩感覚の優れた人は絵画やデザインと、運動神経の優れた人はスポーツに巡り合うに違いない。
だから、好きなことをしている分には苦手なことにチャレンジしている時のような「無理」や「無駄」がない。

私の場合「マーケティング」がまさにそれだった。
代々商売をしてきた商人の遺伝子が影響したのかもしれない。
「なぜ売れるのか?」
「なぜ売れないのか?」
商品が売れるメカニズム、商売が繁盛する構造を解析し探求したい、という強烈な欲求が子供の頃から常に私の中に在った気がする。

ありがたいことに、私がマーケティングを志した頃に比べて、この国でのマーケティングの位置づけは大きく進歩した。今では企業にマーケティングという名の部署があるのは当たり前だし、マーケティングと書かれた名刺を持っている人も多い。
本屋に行けばマーケティング関連の書籍の多さに驚かされる。
素晴らしいことだと思う。

ただ心配が無いわけでもない。
私は今、BtoB(法人営業)というフィールドでデータベースマーケティングの実務に携わっている。
心配というのは、プロダクトマーケティングの現場で格闘している人たちが相談相手を持っているだろうか、自分のスキルを向上できる方法を持っているだろうか、ということである。
本屋に並んでいる書籍も、良く見るとあまり実務の役に立つものはないような気がする。
書いている人の大半が実務のマーケターではないからだ。

多くの日本企業がマーケティングを軽視してきたことは歴然とした事実だ。
必要が無かったことがその主な原因だが、その無かった必要性が急激に高まった時に社内にも社外にも頼るべきブレーンが存在しない、というのが実情ではないだろうか。クライアントと話していても、
「どんな本を読んだら良いですか?」
「マーケティングを勉強できるサイトが在ったら教えてください!」
という声を良く耳にする。

データベースマーケティングという分野は、元来マーケティングのフィールドであった統計学や行動心理学から、コンピュータ、特にデータベーステクノロジーやインターネットテクノロジーなどが複雑に入り組んで構成されている。

「ブランド構築」でもマスメディアの「メディアプラン」でもない、営業に最も近い現場であり、その活動の評価者はコンシューマ(消費者)ではなく社内の営業チームや代理店の営業チームである。

つまり、プロダクトマーケティングというポジションは、長くその商品やサービスを販売してきたプロフェッショナルに対して、具体的な業務改善の設計図を示さなくてはならない。

新しいコンセプトに基づいたマーケティングプランを立案し、それを実現するための最適なツールやメディアを組み合わせて実行し、チェックし、修正する。その繰り返しである。

会社を背負って売上を立ててきた歴戦の兵に対して新しい手法を実行してもらう立場のマーケターが、プランの裏づけとなる知識や理論を身に着けていないとしたら、営業チームから軽視され、ただ展示会やセミナーの設営に追われるだけの販売促進屋さんになってしまうだろう。

このコラムは、そうしたマーケティングの最前線にいる方々に少しでも私の経験から得た知識を伝えるとともに、これからの自分の人生を考えている若い人にマーケティングの素晴らしさを伝えることを目的にしたい。