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セオドア・レビット(Theodore Levitt)

マーケティング学者 / アメリカ合衆国

略歴
アメリカマーケティング界のグルのひとり

ハーバード大学大学院の教授でアメリカのマーケティングのグルと呼ばれる一人。

ノヤンのつぶやき

ノヤン「企業の最も重要な資産は顧客情報である」と喝破したのがこのレビット博士なんじゃよ。アメリカマーケティング界のグルの一人じゃが、やや営業を見下した考え方がワシとは違うんじゃな。

T・レビット博士を悼む

今年の4月に、連載しているinterneto.comで【ドリルを買う人が欲しいのは「穴」である】というコラムを書いた。その冒頭で「マーケティングの世界で古くから使われている格言」として紹介したのが、「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である」という言葉だ。

正しく引用すると、「昨年、4分の1インチ・ドリルが100万個売れたが、これは人びとが4分の1インチ・ドリルを欲したからでなく、4分の1インチの穴を欲したから」というもので、1968年にT・レビット博士が発表した「マーケティング発想法」という本が出展だ。

勘違いされていることが多いのだが、実はこの言葉自体はレビット博士の言葉ではない。文中でも紹介しているがレオ・マックギブナという人の言葉であり、このマックギブナという人はこの言葉以外ではまったく知られていない人なのだ。しかしレビット博士の「マーケティング発想法」がベストセラーとなって世界中の言葉に翻訳されたことによって、以後40年以上も語り継がれるマーケティングの重要な格言のひとつになった。

そのレビット博士が今年の6月28日にマサチューセッツ州の自宅で亡くなった。

恥ずかしながら告白すれば訃報に触れてはじめてまだ生きていたことを知った。マーケティング界の大御所ともいえる人になんて無礼な・・・と思われる方も多いと思うが、言い訳をさせていただければ、私の中では1960年代、70年代に大活躍した人なのだ。

経営におけるマーケティングの重要性を説いて衝撃を与えた論文「マーケティング近視眼」は1960年の発表だし、「マーケティング発想法」や「レビットのマーケティング思考法」「マーケティング革新」などの代表著作はいずれも1962年から1972年に発表されている。その後は目立った著作や論文は出していない。

「企業の最も重要な資産は顧客情報である」と喝破した人で、これによって顧客管理の重要性、顧客との関係をデータベース化しようという考え方が広まり、今のCRMへの流れが加速した。データベースマーケティングにとっては本当に偉大な足跡を残した人の一人であり、謹んで哀悼の意を表したい。

2006年7月28日
マーケティングキャンパス 編集事務局&ノヤン