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2017.06.22
4月から5月にかけて各国で数多くのマーケティングイベントが行われ、弊社代表の庭山とノヤン先生が参加してきました。一人と一羽が見て、聞いて、感じたマーケティング先進国の“今”をレポートします。第一回は、サンフランシスコで開催されたMarketoのイベント「Marketo Marketing Nation Summit」の様子をお届けします。
成田空港にチェックインして、出国手続きを終えてラウンジで休んでいたらバッグがごそごそ、そしてこの子が出てきました。また付いてくるつもりです。完全に米国の新大統領を舐めてます(笑)まぁ、ミミズクがテロも無いでしょうが、さて、入国できるでしょうか?という訳で今年もノヤン先生との一人と一羽の旅が始まります。
ノヤン先生:こわいのぉ・・・後ろに見えるのはあのユナイテッドじゃな。人間でさえ引きずり出す航空会社じゃから、ミミズクなんて何をされるかわからんの。でも、ワシと相棒はデルタじゃから少しはましじゃろな。大丈夫、ちゃんとバッグに隠れて、入国の時はヌイグルミになりきるわい。飛行機が揺れないと良いんじゃがの。
ノヤン先生:いつもと違う森じゃが、樹齢1000年のレッドウッドの森はまるで大聖堂の中にいるようじゃな。シンフォニーの森がこんな感じになるにはあと300年は掛かるじゃろうが、相棒はいったい何歳まで生きるつもりなんじゃろ?
カリフォルニア州の風景は、北部と南部でがらりと変わりますが、それには植生も大きく関係しています。ロサンゼルス、サンタバーバラなどの南部を代表する樹種はパームツリーで、海岸沿いに並ぶ大きなパームツリーはそれだけで情緒満点です。一方、サンフランシスコやサクラメントなどの北部では、目に付く樹種は杉の仲間であるレッドウッドになります。樹高では世界で最も高くなる種類で、まっすぐ伸びた姿はいかにもノーザンカリフォルニアという感じです。
このMuir Woodsはそのレッドウッドの原生林で、樹齢が1000年を超える巨大な木が大聖堂の伽藍のように並んでいます。一度来たかった森にようやく来ることが出来ました。
なのでノヤン先生の帰りたくないという気持ちは痛いほど判るのですが、なにしろここに来た目的は、明日から開催されるMarketoのイベントに参加することですからね。
ノヤン先生:なんでこんな素敵な森を数時間で離れなくちゃならんのじゃい。ワシはしばらくここに棲みつくからの、あんな人の多いダウンタウンなんかまっぴらじゃい!
ということで海辺の小さな美しい街ソーサリートからフェリーに乗ってサンフランシスコに戻ります。
ソーサリートはマリン郡にある小さな港町で、サンフランシスコとはゴールデンゲートブリッジを挟んだ位置にあります。車でもフェリーでも30〜40分の距離にあるため、サンフランシスコで働くエグゼクティブの高級ベッドタウンになっています。ハーバーには日本では超大型艇に分類される豪華なヨットやボートが並び、丘陵の斜面には豪華な住宅があって、その間に素敵なショップが並ぶ通りがあります。なんとも素敵な風景です。
サンフランシスコでは現在セールスフォースタワーの建設の真っ最中です。言うまでもなく今をときめくセールスフォースドットコムの自社ビルで、完成すればサンフランシスコの代表的なランドマークになるでしょう。
サンフランシスコのモスコーニュで、Marketoのイベントが開催しました。今年は経営陣が一新したせいか6000人の参加者だそうです。勢いを感じますね。早朝のレジストレーション会場の風景です。
ノヤン先生:偉大な会社になったんじゃな。創業メンバーが役割を終えて、若返って、本当にパワフルな会社になったと実感できる初日だったんじゃ。
Marketoのイベント Marketing Nationが始まります。サンフランシスコは風の強い薄曇り。でも巨大なモスコーニュセンターの中なので関係無いですけどね。楽しみです!
ノヤン先生:いやぁ!待ち切れんの!
イベントに先だって行われたパートナーサミットでは、パートナーを巻き込んだエコシステムの話しが多く、今後、マーケティングプラットホームへと舵を切っていく事を感じさせる内容でした。これはフィル・フェルナンデスからCEOを引き継いだスティーブ・ルーカスのスピーチの様子です。パワーポイントを使わないで力強く、ユーモアを交えての語りには本当に説得力があります。「Marketoは凄い人を迎えたなぁ」コーヒーブレークの時に多くの人がそう語り合っていたのが印象的でした。
ノヤン先生:ワシも聞いておったんじゃが、素晴らしいスピーチじゃったわい。「OutStanding !」とミミズク語で叫んだんじゃ。誰も判らんかったがの(笑)
新CEOのスティーブ・ルーカスのとても印象的で魅力溢れるキーノートでした。彼らが掲げる【Engagement Economy】という概念を、スティーブ・ジョブズがAppleで創造した、メディア、コンテンツホルダー、ソフトウェアデベロッパーなどを巻き込んだエコシステムになぞられて説明し、これをビジネスの世界で創造すると宣言したのです。10年前、15年前に夢として語られた未来予測型のマーケティングも、今のテクノロジーなら可能になる、マーケティングはこれからもっともっと進化すると熱く語りました。
ノヤン先生:早口なんじゃが聞きやすいところもスティーブ・ジョブスに似ているんじゃな。ビジネスの世界で革命を起こすかもしれんのぉ。
MarketoはこのイベントでVista Equity Partnersによる買収と経営陣の交代を経てなお、同社の成長がむしろ加速していることを強く印象づけたように思います。デビット・ルイス(DemandGen)、ジェフ・ペドウィッツ(The Pedwitz Group)、アビシック・ガー(Verticurl)、マット・ハインツ(Heinz Marketing)など米国のB2Bマーケティング界の大物の姿も目立ち、会場で話してみると、やはり「新CEOのスティーブ・ルーカスを見に来たんだ」と言う人が多かったのが印象的でした。
以下はキーノート後に聞かれたコメントです。
「彼は良いね」
「素晴らしいキーノートだったよね」
「Marketoは素晴らしいCEOを獲得したよね」
「他の経営陣にも良い人材を揃えたね」
「勢いを感じるね、LinkedInとの連携も期待できるね」
このMarketoのカンファレンスで素晴らしい事がありました。名刺サービスのSansanの石野氏がMarketer of the Yearを受賞されたのです。グローバルカンファレンスでこの受賞は本当に素晴らしいことです。
日本のBtoBマーケティングが世界に追いつくにはツールやサービスサプライヤーだけでなく、ユーザーサイドのレベルアップも必須です。米国や英国のようにマーケターが優遇され、社会人で実務経験を積んでから再度大学院に入学することが普通ではない日本では、そこが最重要で最も難度が高い問題です。
だからこそこの受賞は嬉しい!素晴らしい!
※インタビューはITMediaマーケティングでご覧になれます。
ノヤン先生:途方も無いことじゃの、本当に嬉しいわい!
CEOのキーノートの後は4人のCMO(Chief Marketing Officer)によるパネルでした。仕切るのは左端に座るWundermanのCMO Jamie Gutfreund。彼女はビジネス誌の選出する影響力のある女性に何度も選出されているマーケティング界の強い女性の代表のような人で、4人中で男性は1人。マーケティング先進国の女性優位を物語る風景でした。面白いセッションでした。
ノヤン先生:まぁそういう意味ではシンフォニーマーケティングも女性の強さでは負けておらんの。4人の取締役の3人は女性じゃからの。相棒の立場がわかるじゃろ?(笑)
BtoBマーケティングは、テクノロジーのイノベーションが止まらない新しい分野なので、毎年参加しても新しい会社やサービスを多く見つけることが出来ます。「昨年出来たばかりの会社で社員も未だ30人なんだ」。こういう会社が後にナスダックに上場し、日本に法人を作ったりします。最初のMarketoとの出会いもこんなブースで熱心に語る当時のCMO Jon Millerとのブースでの会話からでした。
ノヤン先生:だからワシはエキジビションホールをうろうろするのが大好きなんじゃよ。いろんな会社や人と出会えるからの。
Marketoのイベントが開催されているモスコーニュセンター前の歩道にこんなプラカードを持った人がいったり来たりしていました。これ、Marketoの前CMOのJon Millerが作った新しい会社、Engagioの案内なのです。
「Engagioはどこだ?こっちだよ!」と示されたのは、モスコーニュセンター向かい側のレストランで、ここを借り切って、Marketoのイベントの来場客を誘導していたのです。いわゆるコバンザメ戦術であり、いかにも米国らしい風景です。
まだSalesforce.comが小さな会社だったころ、Oracleのイベント会場となっていたこのモスコーニュセンターの周囲にSalesforce.comのプラカードを持った一団が行進していたのを思い出しました。
Marketoの共同創業者で2年前までCMOを務めていたJon Millerです。今はABMに特化したソリューションを開発するEngagioという会社を創業してCEOになっています。
昨年出版した私のABMの本にも熱いメッセージを寄せてくれました。「マーケティングに関われないなら死んだ方がましだ」と意気投合した仲間です(笑)
ノヤン先生:Engagioのキャラクターはクジラなんじゃよ。まぁミミズクとはいえ、本を出版したくらいじゃからワシも負けてはおらんがの(笑)
次回は、「Oracle Modern Customer Experience 2017」の出張レポートをお届けします。