マーケティングキャンパス 基礎から実践までB2Bマーケティングを学ぶサイト

ホーム > コラム > 売り上げを創るBtoBのデータベースマーケティング > 案件率1位!デスクの奥の古い名刺の誰も知らない潜在力

2007.11.26

案件率1位!デスクの奥の古い名刺の誰も知らない潜在力

出典:japan.internet.com / 庭山一郎

「古い名刺は捨てた方がよい」と思っていたら大間違い!営業が隠し持っている古い名刺はとても高価な資産です。

データベースの中の構成は?

クライアント企業の顧客・見込み客データを預かってそれを分析してみると構成要素と案件化の順位が歴然と見えてくる。BtoB企業の顧客・見込み客データを構成しているリストは収集リソース別に分けて以下の5つから構成されていることが多い。

  • 過去の営業の名刺交換

  • 展示会やセミナーで収集した名刺やアンケート

  • リスティング広告やアフィリエイトなどのネット広告で収集したリスト

  • 購入リスト

  • 顧客リスト

これをクライアントの依頼で、顧客を除いた4つの構成リスト別に営業案件化した数を比較したことがある。
結果は以下の通りだった。

  • 1位:過去の営業の名刺交換

  • 2位:展示会やセミナーで収集した名刺やアンケート

  • 3位:リスティング広告やアフィリエイトなどのネット広告で収集したリスト

  • 4位:購入リスト

古い名刺は宝の山

日本には交換した名刺は個人資産であるかのような勘違いがまかり通っている企業もあるので、そもそも「出してもらう」ところがひと苦労なのだが、営業のデスクの引き出しに在った名刺を全部吐き出してもらい、それをデジタル化してデータベースに入力し、マージ(名寄せ)&パージ(不必要データの削除)をし、そこまでしてはじめて利用可能な状態になる。
しかし、こうした苦労の末にデータベース化した名刺データから面白いように営業案件が出てくるのを見るのは本当に気持ちが良い。不満顔だった営業さんも、懐疑的だったマーケティングもみんなハッピーな顔になるから、うれしさも倍加する。

上記の比較データを見るように、実は営業のデスクの引き出しの奥に貯められている、過去に名刺交換をした古い名刺は案件化率では常にナンバー1の素晴らしいリストなのだ。

やはり人間のフィルタリング能力はどんなシステムのアルゴリズムも勝てないと思えるのは、この過去の名刺データを解析している時なのだ。考えてみたら営業は目標を背負って動いているから無駄は出来ない。
だからまったく買ってくれそうも無い企業は訪問しないし、名刺交換もしない。なので案件化せずにデスクにしまわれた名刺は、ただ「その時」には案件が無く、3ヶ月以内に注文書はもらえそうにない、と営業が判断したものなのだ。

営業の本質は猟師さん

営業は動いている獲物にしか興味を示さないことが多い。だから3ヶ月かせいぜい半年以内に発注してくれる見込み客しか追わないし興味を持たない。これは売れる営業により強く見られる傾向だ。

一方マーケティングは農耕型のマインドを持っている人が多い。開墾し、種を蒔き、水や肥料を与え、雑草を取りながら秋の収穫まで辛抱強く育成できる人だ。だから営業のフィルタリングでは興味ナシであっても、育てる「種」としては極上であることが多いのだ。

古い名刺を捨ててはいけない!

その一方で新規にデータベースマーケティングに取り組む企業で多くいただく質問に、「古い名刺は捨てたほうが良いですよね?」というものがある。「聴くまでもありませんが・・・」という感じで言われるので、私はいつも慌てて「絶対に捨てないでください」と言わざるを得ない。

なぜ慌てるかと言えば、非常に価値の高いデータをそうとは知らずに本当に捨ててしまう企業があるからなのだ。古いデータを捨てるのはコミュニケーションコストが今の数十倍も高かった10年前の発想だ。個人情報保護法の条文には過去のデータを捨てろとは一言も書いていない。

実はその資産価値は数億円?

展示会に出展して名刺やアンケートを収集するコストを弊社ではコストパーリード(CPL)という指標でレポート化している。展示会の規模やブースのサイズ、コンパニオンの数などで異なるが、名刺1枚の獲得コストは7,000円〜14,000円で、平均すると10,000円になる。
営業が1年間に6ケースの名刺を消費したとして、5年間で3,000枚、10人いれば30,000枚である。3億円の簿外資産を持ちながら「案件が無い」と探している絵を想像してみて欲しい。しかも上記で分析したように、展示会で集めた名刺より営業が個別に交換した名刺の方が案件化する率は高いのだ。

極上の種を捨てる前に、それと同等の見込み客リストを入手する手間とコストを考えてみてほしい。その種を育て案件に繋げることがマーケティングなのだから・・・。