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2007.06.04

BtoBマーケティングの視点から考える、話題のWeb2.0とは!?Part2

text:Hiroko Hatanaka

今話題のRSSフィード、ブログ、ポッドキャスティング、Wikiにソーシャルネットワーク、Web2.0にまつわるツールは使いこなせていますか? そして、BtoBマーケティングで活用する場合の成功術とは!?

前回はWeb 2.0の概要と、マーケティングを行う企業向けにそれを活用する為のガイドラインと提言をご紹介しました。

今回は具体的なツールおよびその仕組みについて説明します。また、各ツールを使う時の注意点や、陥りやすい問題点についても説明致します。

ブログ

ブログは既に5000万種類を超えているとも言われています。これだけ大量のブログを全て読める時間のある人がいるでしょうか。一定の読者を持つブログは全体のごく一部にすぎず、実際は大半のブログが更新すらされていません。

ここでは、BtoBマーケティングのツールとしてのブログの有効的な使い方を紹介します。自社でブログを活用する場合は、以下の方法で活用すると良いでしょう。

  • PR:ブログはソートリーダーシップ(実践的先駆者としてのリーダーシップ)を確立します。米調査会社のKnowledgeStormとUniversal McCannは、53%のバイヤーが購入時の意思決定においてブログの影響を受けていると報告をしています。

  • サーチエンジンによるマーケティング:ブログ投稿は自分のウェブサイトを更新し、結果としてサーチエンジンでの結果リストの順位を上げるのに役立ちます。

  • リードジェネレーション(見込み客情報の収集):ブログの読者や回答者は、企業の新たな見込み顧客の役割を担っています。

  • 市場調査:ブログはコストをかけずに顧客のニーズや関心を的確に捉えることができます。

そしてブログのコミュニティ内における広告ですが、現在、多くのブログはバナー広告を受け入れ、企業によってはGoogleのアドワーズ広告のリストを活用しています。しかし、それらはまだ発展途上の段階であると言えるでしょう。

一方、注意すべき事項もあります。ブロガーは、ブログに書く興味のある事柄に対する知的欲求は高いのですが、他者から情報を操られる事は大嫌いです。したがってブロガーと接する際は、尊重し支援・協力する姿勢が大切です。広告会社のPeppercom社のテッド・バークハン氏は「まず自身の専門分野のブログを読み、商売っ気を出さずにコメント投稿をし、反応を確認して感触を掴んでから自分のブログで試すべきだ。」と助言しています。

ポッドキャスティング

オーディオの一部をダウンロードして配信するポッドキャストは、マーケティングを行う企業間において、電子メールや電話同様、重要なツールとして急速に浸透しました。現在BtoBで広く普及しているポッドキャスティングは、製品情報の配信やソートリーダーシップを確立するために利用され、企業は長期的な営業サイクルで顧客や見込み客の情報を移植するために利用しています。このような有望な手法が数多く登場すれば、将来楽しみです。

しかし、その問題についての議論や聞き取り調査はまだ不十分です。
先日、トロントを拠点とするマーケティングサービス会社のEloquaから、見本市やイベントマーケティングがテーマである、ポッドキャストで配信されるインタビューの取材を受ける機会がありました。マーケティング技術開発部門のディレクターのスティーブ・ガーシュイク氏は、Eloqua社のポッドキャスト戦略は、企業をソートリーダーまたは「効果的なマーケティングとは何か、常に模索しているマーケティングの専門集団」として位置付けることが目的だと語っています。そして同氏は、自身のポッドキャストとブログ番組とが奏功し、Eloqua社が75万ドルの取引を成立させたばかりだと、満足そうに話をしてくれました。

ただ注意点として、ポッドキャストはあくまでも『受動的なメディア』であり、ユーザーがオーディオ素材をダウンロードしようとサイトを訪れる、その意欲に依存している点が上げられます。ポッドキャストのメリットは、ごく低予算で作成できる点であるので、まずはポッドキャスト自体を普及させるための予算を計上する必要があるでしょう。

Wiki

サイトに貢献したい人なら誰でも登録し書き込みや編集が可能なオンライン百科事典のウィキペディア(Wikipedia)が、昨今のwikiメディアの草分け的存在です。現在のところ、wikiの活用の場はそれほど多くなく、一部の企業が、自社を宣伝する偽のエントリーを掲載し非難された事もありましたが、今では監視役として参加している大量のリーダー達から即座に発見され訂正されるだけでなく、同時に非難のコメントが殺到するでしょう。下手な宣伝文など、誰も読みたくありませんからね。

そういった事もあり、wikiの執筆サービスを提供している企業もあります。
たとえばMyWikiBizは、委託元のあらゆる企業に関するウィキペディアのエントリーを代行執筆または加筆します。ただし、この企業がエントリーで最初に登場するぐらい「注目に値する」場合に限られますが。創設者で企業のヒストリーライターのグレゴリー・コー氏は「ウィキペディアは市場における企業の認知度を強化・明確にすることができ、また、関連情報との相互参照リンクをウィキペディア間または企業の社内ウェブサイト間に提供することができる優れたツールです。

しかしリンクを選ぶ際は、優れた情報源となる有益なコンテンツだけを参照する様、慎重に選択する必要があります。そうでないと、最悪、ウィキペディアから永久に追放されてしまうでしょう。」と、指摘しています。またコー氏は、一般参加型のより柔軟性が高いウェブサイトのコンテンツを作成しようとする企業にとって、wikiタイプのマークアップ言語は、HTMLに代わる一定の価値をもたらす可能性を秘めているとも述べています。

RSSフィード

最新のコンテンツを作成すると同時に購読者に配信するRSSは、生産性の高い直接的なマーケティングメディアの代表格です。購読者のサインアップという投資だけで、新しいチャネルをかなりの低コストで自動的に構築でき、相手との連絡手段が確保され、最新の状態を維持することができます。また、企業のスパムフィルターによって多数の電子メールがブロックされる世界の情報を入手するにはRSSが有効であるとも言われています。

しかし他のWeb 2.0メディアに比べると、RSSの受容曲線は緩やかなようです。KnowledgeStorm Universal McCann社の調査では、技術系バイヤー(当初からの利用者と見なされる人々)のうちRSSリーダーを購読または利用しているとの回答者は31%で、ブログを読むバイヤーの80%に対して、かなり低い数値です。RSSはまだ始まったばかりの手法ですが、最新情報の伝達や熱心な顧客や見込み客に情報を提供する手段としては、将来有望な存在でしょう。

ソーシャルネットワーク

LinkedInやEcademyなど、ビジネスマン向けのものが次々と登場しています。しかしその実効性は、まだ結論が出ていません。現在は以下のように実験的に利用されています。

  • ビジネスの開拓:一番の即効性は、おそらく個別販売に現れるでしょう。たとえばLinkedIn社では、特定の企業や業務分野とのコネクションを持つ個人と接触するために、これを利用する様、個々のビジネスマンに奨励しています。実際にJigsawやSpokeなどの企業では、ソーシャルネットワークと共同リスト開発とを組み合わせることにより、営業担当者が売り上げ促進とターゲット客に関する情報収集の両方を実現できるようにしています。

  • ウィルス性マーケティング:ソーシャルネットワークによって、単なる口コミから次のレベルのマーケティングへと脱却を図ることができます。既存の顧客から自社の製品やサービスを宣伝してもらうことで、高い信頼性と最低コストで新規顧客を獲得することが可能となるのです。

  • 市場調査:Communispace社では、HPやCDWなどの企業の顧客で構成されるオンライン上のコミュニティを立ち上げ、ソーシャルネットワーキングと従来の消費者パネル調査の技法を組み合わせることで、企業が顧客の真の関心を的確に捉え、顧客から製品やサービス、つまりは事業全体に関する反応を実感できるようにしています。

  • コラボレーション:専用に開発されたテクノロジーは、情報共有とコラボレーションの手段として、ビジネスに応用できるようになりつつあります。YfonGlobal社の場合、現場にいる軍事産業の請負業者がセキュアネットワークを介して暗号化ファイルを雇用主と共有できる技術を提供しています。

Web2.0時代、マーケティング活動においてこれらのツールを活用し、刻々と成長を続けるインターネットの世界の困難と楽しさを実感して下さい。でも、顧客を受け入れて信頼性を確立し、顧客の支援を受けながら自社のビジネスを形成して成長させるという事は、決して忘れずに。

Hiroko Hatanaka プロフィール
NY在住。NYの大学でダイレクト・マーケティングを学び、エイボンや英国資本の高級トイレタリーなどのマーケティングを手掛ける。現在はニューヨークの広告&PR代理店であるIWグループに所属。