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2021.12.10
2021年、コロナ禍で立ち止まったかのように見えた世界経済は再び大きく動き出しています。この冬休みは、新たな年に向けて一呼吸おくのと同時に、軽快なスタートが切れる準備期間にしたいものです。
今回は、経営戦略、人材開発に関連した書籍をご紹介します。企業の経営課題として挙げられることも多いこの二つ。読書を通じて知見を広げ、ビジネスヒントを探ってみましょう。
著者:ゲイリー・ハメル、 C.K. プラハラード
出版:日本経済新聞出版
ノヤン先生の解説
経営戦略論にはいくつかの大きな流れがあるんじゃ。そのひとつがマイケル・ポーターの「ファイブフォースモデル」やボストンコンサルティングの「プロダクトポートフォリオマネジメント」などに代表される「ポジショニング・ビュー」で、主に外部環境をベースに経営戦略を考える思考法じゃ。それに対して、ゲイリー・ハメルやC.K. プラハラード、ジェイ・B・バーニーは、企業の経営戦略は外部環境ではなく、企業に内在する得意(コア・コンピタンス)にあると主張し始めたんじゃ。それが「リソースベースドビュー(RBV)」じゃの。
どちらが正しいかは長い間の論争でも決着は付いていないのじゃが、ワシはその双方を学ぶべきだと考えているんじゃ。多くのフレームワークを学び、自分の知識とした上で、どれをどのくらい入れるかで自分の戦略が構築できるからの。
この本はそのRBV学派の代表的な1冊じゃ。冬休みにじっくり読むに相応しいとワシは思うの。
著者:田口 力
出版:KADOKAWA
ノヤン先生の解説
近年は調子が悪く、ついに事業分割が発表されたゼネラル・エレクトリック(GE)じゃが、発明王エジソンが創業し、中興の祖と言われるジャック・ウェルチに率いられた20世紀最後には時価総額で世界最高を誇った企業じゃ。その強みのひとつは社員の教育・研修制度にあったんじゃの。その総本山がこのクロトンビルで、GEのリーダー育成に特化した組織じゃ。「世界最高のリーダー育成機関」「人材開発の聖地」と呼ばれ、世界のどんなビジネススクールより優れた講師とプログラムを持つと言われたんじゃ。
この本は日本人として唯一リーダーシップ研修講師を任され、研修参加者から極めて高い評価を得た著者が、クロトンビルを内部から解説した本じゃ。世界最高の企業はどのプライオリティで社員教育に投資しているのかを知るだけでも、経営やマネジメント、研修に関わる人にとっては目からうろこが落ちるじゃろうなぁ。
著者:庭山一郎
出版:日経BP
ノヤン先生の解説
日本ではマーケティングに取り組む会社が増えているんじゃが、売り上げに結び付く成果がなかなか出ずに経営陣から信頼が得られなかったり、営業部門とうまくいかず、マーケティング部門が社内で孤立してしまうケースが多々あるんじゃ。この状況を何とかしないといかん、と思いワシとワシの相棒が書いた本じゃよ。
成果が出ない原因は、企業でやっていることが部分最適だからなんじゃ。例えば、展示会に出たり、ウェブサイトをリニューアルしたり、メールマガジンの配信をしたり、MAの運用をやったりと、それぞれで頑張っていても、それは部分的にやっていることで全体最適になっていないんじゃな。
全体最適にするためのカギは「マーケティング偏差値」にある、とワシは思っているんじゃ。BtoB企業ではマーケティング部門だけがマーケティングの知識を持っていてもダメなんじゃよ。経営陣、事業部長、営業部長、営業部門のメンバー、広報、法務など、各部門がきちんとマーケティングの基礎知識と共通認識を持ってマーケティング偏差値を上げていかないと、マーケティングをいくらやっても空回りしてしまい、成果には結びつかないんじゃな。会社のマーケティングを全体最適にして売り上げ貢献につなげるために、ぜひこの本を役立ててほしいの。