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ホーム > インタビュー > スペシャル対談[日本オラクル株式会社] Oracle Eloquaが日本に来て約2年 BtoB企業の「現状」と「これから」(前編)

2014年、世界的MAブームから10年遅れ日本にもMAが登場しました。この2年間、日本のマーケティングはどう変化したのでしょうか。日本オラクルの塚越氏とシンフォニーマーケティング代表の庭山が対談し、BtoBマーケティングの現状に迫ります。

BtoB企業のマーケティングへの取り組みとMA導入の現状
─Oracle Eloquaは、どういうところがキーとなり選ばれるケースが多いですか。

塚越氏:代表的な例で言うと、BtoBなので業務ありきということもあり、シナリオの実現性、スコアリングの機能、セキュリティに対する確認の3つです。あとは拡張性がまれにあります。既存の仕組みに対するインテグレーションおよび、将来的にどういう方向性でマーケティングしていくのかという部分です。

─実現したいマーケティングがすでにまとまっているという企業はありますか。

塚越氏:漠然とした施策はあっても、具体的にマーケティング部門が統率して全社のマーケティングの方向性をこう変えていこうとしているケースは見たことがないですね。

庭山:日本の企業が失敗する原因はそこにあるんですよ。戦闘教義、軍隊で戦うときの作法みたいなもので、強い国の軍隊は勝ちパターンが決まっていて、その勝ちパターンにもっていくのがうまいんです。そのフレームワークに当てはめたらほぼ勝つという戦い方ですね。MAを導入するということは、戦い方を根本から変えるということなんですが、それがなかなか理解されていません。
ご相談いただく中には、「マーケティングと営業は仲が悪いので、まずはマーケティング部門だけでスモールスタートでやりたいんです」と言う方がいるんですが、やめた方がいいとお伝えしています。なぜなら、最も案件化率の高い営業名刺は営業に断らないと使えず、過去の展示会情報は広報が持っていてなかなかもらえない。そして導入事例は、営業や代理店にお客様を紹介してもらわないとインタビューすらできないということになるからです。
創った案件を追ってくれるのも営業や代理店なので、部署をまたいだ取り組みになります。だから、売る商材を絞るとか、社内のデータの一部を使ってスモールスタートはできますが、マーケティングだけで閉じて営業とも広報とも連携せずにスタートするということは失敗につながりかねないのです。一度導入して信用をなくしてからリトライするのは大変なので、中途半端にやることはお勧めしていません。

─実際に導入する企業の中で、部署をまたいだ全社的なマーケティング方針となっているケースはありますか。

塚越氏:最近、増えてきましたね。ありがたいことに動画やホワイトペーパーでの啓蒙活動によって、最初にROIから提示してくださいというお客様も増えてきました。会話ができて、それができるのは、リレーションのあるお客様です。営業とマーケティングの連携、そしてシステムをサポートするITもいないとうまくいかないことに気づくお客様も多いです。

庭山:どうしてうまくいかないんだろうと考えたときに、ある程度の経験や知見があれば、そういえば順序違ったよねと気づくはずです。家を建てる時に最初にコンプレッサーを選ぶ人はいませんよね。まず、どういう家がいいのか考えて、設計者を選んで図面を引いてもらって、見積を取って工務店を選んでという順序でやっているにもかかわらず、なぜかMAになると家を建てるためのコンプレッサーだけが先行している状況です。ただ、日本企業はこのことに気づき始めているので、屍の山を乗り越えて成果につながるマーケティングを実現できると考えています。

マーケティング・セールス・プロダクトのアライメントが生む可能性
─営業とマーケティングの関係性はいかがでしょうか。

庭山:アメリカやヨーロッパのマーケティング先進国って、どんな業種でもマーケティングが強いんですね。CEOを出す部署ですし、マーケティングが分かっていない人間がアメリカでトップになるなんてことは考えられません。一方、日本はマーケティング部門に予算も発言権もないケースがあります。アメリカほど強くなる必要はないですが、もう少し強くならないと、日本企業そのものがマーケティングオリエンテッドになれないですよね。

塚越氏:国内の製造業では、ものづくりの現場と営業サイド、それぞれにプロフェッショナルとしての意識があり、互いに不可侵となっている向きもありますよね。マーケティングが間に入って、そこに横のつながりを作れると強いですよね。

庭山:去年のSiriusDecisions Summitでずっと言われていたことは「アライメント(Alignment:連携)」でした。アメリカではマーケティングとセールスのアライメントは進んでいるので、そこにものづくり(プロダクト)を含めて連携させています。マーケティングのプロセスや、そこから出てきたユーザーの行動から導き出されるニーズはプロダクトにリアルタイムに反映されるべきですし、営業案件の進捗もリアルタイムにプロダクトに反映されるべきで、プロダクトの開発情報もマーケティングに活用されるべきだと考えられています。
日本はそもそもプロダクトも営業もマーケティングもアライメントしていないので、そこを強化していくことで、新たな道が拓けると思います。

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次回は、今年の4月に開催されていたOracle社のイベントと、ABM(アカウントベースドマーケティング)について語り合います。

日本オラクル株式会社
クラウドアプリケーション事業統括
オラクルマーケティングクラウド本部 営業本部長
塚越 秀吉

1995年より企業向けアプリケーション(ERP)の日本市場における展開をSAPジャパン株式会社にて開始、主に製造業向けのグローバルSCMやEビジネス業務改革プロジェクトを担当。
2006年に日本オラクルに入社。エンタープライズアプリケーションの提案及び導入支援を行う。
2013年よりグローバル クライアント アドバイザー部門にて、大規模グローバル事業を展開する企業を専門としたチームを牽引、自らは自動車業界を担当。2016年11月から、マーケティングクラウド統括本部 営業本部長としてマーケターのテクノロジー活用を支援し、経営に直接的なインパクトをもたらすマーケティングの提案、支援を行う。

シンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役
庭山 一郎

中央大学法学部卒。アスクプランニングセンターにて商業施設のマーケティングプランナーとして勤務の後、1990年9月にシンフォニーマーケティング株式会社を設立。データベースマーケティグのコンサルティング、インターネット事業など約300社、1,200以上のマーケティングプロジェクトを手がける。
1997年よりBtoBにフォーカスした日本初のマーケティングアウトソーシング事業を開始。製造業、IT、建設業、サービス業、流通業など各産業の大手企業を中心に国内・海外向けのマーケティングサービスを提供している。海外のマーケティングオートメーションベンダーやBtoBマーケティングエージェンシーとの交流も深く、長年にわたって世界最先端のマーケティングを日本に紹介している。

見たい・聞きたい・知りたい MA(マーケティングオートメーション Marketing Automation)相談室

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