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2008.09.26

年間のマーケティング戦略の立案のポイント

出典:BPnetイベント(スキルアップコラム) / 庭山一郎

年間のマーケティング戦略の立案は、BtoBのマーケティングラインに沿って立てることが重要です。今回は、シンフォニー流の7つのプロセスとベンチマークすべきポイントをご紹介します。

衝動買いが存在しないBtoB

BtoBの年間のマーケティングプランは、それ程複雑なものではない。なぜならば、基本的にBtoBの世界には「衝動買い」は存在しないからだ。法人が何かの製品なりサービスなりを購入する場合、必ず社内の予算申請、稟議、という購入プロセスを経なければならず、その結果、社内にニーズのないもの、つまりそれを購入することが社内の何かの問題を解決するものでなければ購入はできないからだ。

多種多様なライフスタイルの人々のエモーショナルな部分だけに働きかけ、「買いたい」という衝動を刺激するBtoCとはここが異なる。BtoCで極めて重要な「イメージキャラクター」や「テレビドラマとのタイアップ」「イメージソング」などがBtoBの世界にほとんど存在しないのはこのためだ。

どんなに好感度を上げようが、必要のない企業には売れないし、それを必要としている企業であっても、関係ない部門であればメッセージを伝える意味はまったくない。会計システムは、経理部門だし、財務シミュレーションソフトは、財務部門に、工作機械は、生産技術や工場長に、CADシステムは設計や生産管理部門にだけ興味を持たれる。
家電製品を作っている企業が、部品や完成品の管理にRFID(ICタグ)の導入を検討する場合でも、現場でそれを使う調達部門や倉庫管理部門がRFIDの選定に関わることはほとんどない。将来のシステム導入やERPの導入を考慮して経営企画部門が担当するか、情報システム部門が主導することが普通なのだ。

BtoBの年間マーケティングプラン

BtoBのマーケティングは、基本的にこうした構造を持っているから、以下のプロセスを可視化しながらシミュレーションしたり、改善点を見つけて手を打ったりできるのだ。

  1. 展示会などで見込み客を集める

  2. 集めた見込み客を整理し競合や自社グループ社員などを排除する

  3. 個人情報保護法を遵守できる環境で顧客・見込み客データを管理する

  4. メール、Web、セミナーなどで啓蒙・育成する

  5. 絞り込んだ有望見込み客から営業案件を作る

  6. 受注する

  7. 受注した顧客との取引を拡大する

つまり、BtoBの年間のマーケティングプランとは、上記の1〜7のプロセスを年間の計画の中に具体的に織り込んでいく作業なのだ。

私の会社(シンフォニーマーケティング)は、上記の7つの要素を「BtoBのマーケティングライン」として使っている。このそれぞれの項目に「How」つまり「どうやって?」を付けて、その答えと目標数値をスケジュールに落とし込んでいけば、年間のマーケティングプランはでき上がる。

イベントやセミナーによる集客

まず、開催や出展が決まっているイベントやセミナーを列挙して、その目的別に仕分けをしてみると良い。例えば、セミナーを年間で10回予定しているとして、その目的は何なのか?
もし既に保有している見込み客や過去客への啓蒙や育成などが目的なら、基本的に自社で収集したリストから案件化する可能性の高いセグメントをリストアップして集客することだ。こうすれば、セミナー参加者の業種や規模、所属部署などがコントロール出来るし、その選ばれた参加者に対して最適な内容でセミナーを行うことができる。

しかし、もしセミナーで新規の見込み客獲得も目的とするなら、ネット広告などの外部メディアを使ったり、ターゲット層が同じで、販売している製品やサービスがバッティングしない企業と共催するなどの方法が適している。この場合はどうしても競合が参加してくる可能性があるのでセミナーの内容や営業フォローの方法は工夫を要する。うっかり競合企業が混じったリストを営業に渡してしまえばセミナー担当者のセンスを疑われることになりかねない。

展示会の出展が決まっていれば、名刺やアンケートの獲得目標を入れて、その合計がその年に収集しなければならない新規見込み客リストの数と合わなければ、不足分を埋める方法を他に考えなければならない。競合を排除するには、競合リストが整備されていなければ、排除できないし、会社ごと排除するのか部署なのか、個人なのかは注意深く考えなければならない。

名刺獲得単価による展示会の効果測定

展示会の効果測定は、名刺の獲得単価で計算すべきだ。展示会に出展している企業でも、名刺やアンケート1枚を集めるのにいくらかかっているかの検証をしている企業は案外少ない。この獲得単価や、もっと細かく純増分の獲得単価、さらにその中のターゲットと識別できる企業の獲得単価などを金額でベンチマークできれば、イベントの効果測定レポートや比較がやりやすく、予算申請も通りやすい。

見込み客向けのメルマガやWebの目的

展示会などで獲得した見込み客に配信するメールマガジンやWebのコンテンツは、最も注意を要する項目だ。この目的は刈り取りではなく「啓蒙・育成」だからだ。育成中の見込み客を強引に刈り取ろうとすれば「配信拒否」「削除依頼」、あるいは「クレーム」という結果を招いてしまう。展示会や営業活動で獲得した貴重で高価な見込み客リストを粗いコミュニケーションで枯らすのは嫌なものだ。

有望見込み客のフォロー

「啓蒙・育成」の活動を通して絞り込んだ有望見込み客をどうフォローするかも重要な要素だ。ここは営業部門や販売代理店のリソースを考えなくてはならない。たとえ営業スタッフの数が多くても、既存顧客のメンテナンスで多くの時間を取られているチームであれば、新規のアポイントコールや訪問に使える時間は限られている。これを無視してどんどん有望見込み客リストを渡せば、「うちの営業は全然フォローしてくれない」と愚痴ることになる。

営業が忙しいなら、状況確認やアポイントのためのコール部隊である「インサイドセールス」をマーケティングの組織内に置けば解決する。営業中の案件のステータスをリアルタイムで確認したいならば、BtoB向けのCRMを導入することが問題を解決するだろう。もちろん選定を間違えなければ、という前提である。

このようにして、マーケティングラインに沿って年間のマーケティングプランを立案し、それを予算と実績で管理できれば、BtoBのマーケティングチームとしての最初の合格ラインをクリアしたと言える。