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ホーム > インタビュー > スペシャル対談[日本オラクル株式会社] 日本企業が世界で勝つために、今、必要なマーケティングとは?(前編)

未だに世界でもトップの技術力を有する日本の製造業。しかしこの10年で競争力を大きく低下させ、苦境に立たされている企業も少なくありません。その鍵は「マーケティング」にあると私たちは考えています。そこで、日本オラクルで多くの企業の営業・マーケティング支援を手がける小島本部長とシンフォニーマーケティングの庭山が対談。グローバルで戦う日本企業に今、そして近未来に必要なマーケティングとセールスの姿を語ります。

やっと日本にマーケティングの時代が到来した
─まずは日本のBtoB企業におけるマーケティングや営業の現状について、お伺いできればと思います。

庭山:BtoB企業に対してマーケティング支援サービスを始めて23年になります。最近、「リードナーチャリング」をテーマにしたセミナーや、Oracle Days Tokyo2013でのマーケティングオートメーションをテーマにしたセミナーで大きな会場が満席になるという状況が続いています。
このビジネスを始めた当初は、アメリカで言われていた「デマンドジェネレーション」や「リードナーチャリング」、「リードクオリフィケーション」という言葉は日本語にはなかったので、なかなか理解してもらうことができませんでした。「見込み客の管理・代行サービス」とか、「ここ掘れ!ワンワン!」という表現を使って説明していたくらいです。
そのような時代が長かったので、今の状況が非常に感慨深く、「やっと日本にもマーケティングの時代が来たか」と胸を躍らせています。

小島氏:私の仕事は、SFAやEloquaなどのマーケティングオートメーション、ソーシャルの3つの商材を提供することです。営業系のSFAに関していえば、オラクルのシーベルを含めマーケットとしては20年くらい前から顕在化しており、すでに一巡した感じがあります。
しかし、本当にうまくいっている企業は少なく、ベストプラクティスを提唱できる人もいない状況です。SFAは、良い意味でも悪い意味でも浸透はしていますが、営業部門単体、IT部門単体で答えが出るというものではない、と考えています。
マーケティングに関していえば、「今年の4月にマーケティング部門をつくった」という製造業の方も多く、危機感を持たれ始めたのかなという印象です。ただ、「マーケティング部門をつくって何をするんですか?」と聞くと、「市場調査ですかね・・・」という微妙な答えがあったりもします。
ソーシャルは、BtoBではこれからですかね・・・。

庭山:そうですね。アメリカでもソーシャルの成功事例は圧倒的にBtoCです。日本では、Webのチャットさえも活用できていません。リアルタイムでのコミュニケーションをビジネスマンがやるかといえば、日本でも専門性の高いコミュニティをつくったとしても、ほとんどの方は参加できないのではないでしょうか。企業の機密保持規定やアクセス監視が厳しいこともありますから。海外のように、同じ業界で転職を繰り返すことが普通で、業界内で名前を売ってナンボというわけではありませんから、その違いはかなり表れますね。

小島氏:我々も実際に話してみると、BtoCばかりです。欧米でもお客様とのトータルなエンゲージメントの中でソーシャルの占める割合というのは、BtoCで2%程度なんです。BtoBにいたっては0.5%以下なんですよ。ですから、まだエグゼクティブ達のアテンションをもらうには成熟していないといえますね。

マーケティング力や営業力で差別化を図っていくために
─SFAの導入が一巡し、次にマーケティングの課題を各社が抱える中、オラクルがEloquaを買収し、日本で展開することになった背景などをお聞かせいただけますでしょうか。

小島氏:Eloquaは、欧米では名の通ったマーケティングオートメーションで、リードナーチャリングというプロセスに関して最も秀逸な機能群を持っています。エンタープライズやグローバル企業を中心に多くのお客様に使われています。
今後、日本企業は、良い製品・サービスだけつくっていても差別化できないと考えています。であれば、マーケティング力や営業力で差別化を図っていかざるを得ない。そんなグローバリゼーションの世界で、企業にはカスタマーエクスペリエンス(CX)が非常に重要な要素だと思っています。そこで、企業のCX向上のご支援のために、Eloquaというのは非常に重要なピースでした。SFAとも密接に連携し、CXのサイクルが完成する。オラクルとしては、不足していたピースをちょうど良いタイミングで手に入れることができたというわけです。

庭山:実は、最近、カナダやアメリカをまわって、弊社と同じようなマーケティングサービスを提供している企業の人たちと会ってきたのですが、Eloquaがオラクルに買収されたことに対する評価は非常に高かったです。「オラクルが買収したことによって、今後はしっかりとサポートしてもらえるので安心して販売できる」とすごく喜んでいましたよ。

小島氏:そうなんですか。オラクルとしても、Eloquaはポートフォリオの中核を担う商材になると考えているので、大切に育てていきたいですね。私自身、Eloquaについて勉強すればするほど、すばらしい商材だと感じていて、早く提供していきたいと思っています。

─海外ではマーケティングオートメーションの普及が進んでいますが、実際にどのような企業が活用しているのか、実例をご紹介いただけますか。

小島氏:セールスのサイクルが長く、製品単価や顧客生涯価値が高い業界が多いですね。具体的には、BtoBではIT・ハイテク・製造・通信といったところに相性が良いようです。
例えば、ほぼディーラー経由で販売している建設機械のキャタピラーでは、メーカー自身がEloquaを活用して、お客様と長期エンゲージメントを結び、ナーチャリングをし、温まった時点で、商圏が明確に区切られているパートナーにリストを渡しています。具体的には、パートナーを含めたMA・SFAをベースに、スコアの高いお客様は一定時間内にフォローを徹底させるといった協定をしっかり結んでいます。
製造業では、商流を気にするところが多いですが、このようにパートナーを経由したビジネスモデルで上手く使われているケースがあります。ここが日本企業のチャレンジすべきポイントだと思います。
BtoCでも、住宅や金融、保険など、検討のサイクルが長く、高額商品を扱う分野で多くの事例があります。

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