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ホーム > インタビュー > スペシャル対談[日本オラクル株式会社] 日本企業が世界で勝つために、今、必要なマーケティングとは?(後編)

製品力・技術力では世界をリードし、尊敬も集めている日本の製造業。唯一の弱点であるマーケティングをグローバルスタンダードにキャッチアップするためのツールとしてマーケティングオートメーションが必要です。本格的に日本市場への参入が始まった今、どのようにしてマーケティングオートメーションを日本企業に普及させていくのか。現状をふまえた事例を通して解き明かしていきます。

グローバルスタンダードが日本にも浸透し始める兆しが
─マーケティングオートメーションはSFAとセットで導入することが、グローバルスタンダードだと思いますが、日本ではどうでしょうか。また製造業においてSFAは普及しているのでしょうか。

小島氏:製造業におけるSFAの認知度はとても高いですね。しかしSFAという言葉の定義は広いです。本来、SFAは案件をステータス管理して可視化することにより、全社で勝率を高めていくためのものですが、日報や週報のようなものと考えている方もいて、概念は非常に広いですね。
ただマーケティングオートメーションを導入するのであれば当然SFAとセットでの提案になります。やはりセットでなければ効果が見えませんからね。実際にどのリストから受注に繋がったのか分からなければ、ROMIも分からないので。
また、セールスサイクルをまわしていく中では、スコアリングも一度決めてそれを利用し続けるのではなく、都度チューニングしていく必要がありますので、そこはしっかりとインフラを構築していくことが重要だと考えています。

庭山:そうですね。マーケティングオートメーションとSFAはセットであるべきです。しかし残念ながらSFAと比べてマーケティングオートメーションの市場規模は圧倒的に小さいのが現状です。世界でトップのEloqua社の従業員でさえグローバルで百数十人なのです。おそらくビジネスアプリケーションの部類で、世界のトップ5の企業が1社も日本に拠点を持っていないとか、製品をローカライズしていないのは、マーケティングオートメーションだけだと思います。だから本来はSFAとセットで入れるべきなのですが、セットで買えなかったのです。

─マーケティングオートメーションとSFAをセットで導入して、うまく運用していくためにはどのようにしたらよいのでしょうか。

庭山:マーケティングの設計は、川下から行わなければなりません。必ず次の工程の分母が前の工程の分子というつなぎ方・設計をしなければ意味がないからです。
例えばスコアリングによってHigh Quality Leadを1,500件ほど営業に渡したとしても、営業チームが1ヶ月に消化できる数が100件だとすると、残りの1,400件は意味がなくなってしまいます。営業チームが100件しかフォローできないのであれば、100件しか渡すべきではないのです。だからスコアの変数をチューニングしながらスコアリングしていくのがマーケティングオートメーションの正しい使い方ですね。そうしなければ営業は1件もフォローしてくれないかもしれません。

日本企業の未来はマーケティングで開かれる
─マーケティングオートメーションが普及してくるにつれて買収も進んでいますね。

庭山:数年前のBIのように買収がどんどん進んでいますが、少し不思議な点があります。例えばBIの場合には、ERPやサプライチェーンなどを持っていてシナジー効果を期待できる企業が買収をしていました。しかしマーケティングオートメーションの場合には、連携先となるSFAやCRMを自社で持っていない企業が買収を進めているのです。これではあまり意味がありません。そう考えると、SFAを複数チャネル持っているオラクル社がEloqua社を買収したことは大きな意義がありますね。

─では、今後マーケティングオートメーションを日本の製造業にどうやって広めていくか。また、Eloquaの今後の展望をお聞かせください。

小島氏:今後、ポートフォリオの中核を担う大事な商材ですので、無理に拡散させて失敗事例ばかりが市場に出てしまうことは一番避けたいですね。そのためには、マーケティングのバックグラウンドがあり、Eloquaを扱える方々にサーティフィケーションを受けていただき、そういった方をしっかりと見極めてパートナー様を広げていくことに力を入れていかなければいけないと考えています。
また、今後Eloquaを広めていくという意味では、そういったパートナー様をどこまで広げて盛り上げていき、成功体験をいかに市場へフィードバックしていけるかどうかが重要になってくるかと思います。そのため一気に広がらなくても、着実にステップを踏んでいくということをしばらくしていくと思っています。急いでしまうと、失敗事例ばかり出てしまい、それで日本市場には合わないと判断されても困るので、しっかりと成果を上げて市場に出していければ、あとは自然に浸透していくと思っています。

─ユーザーに対しては何か取り組みがありますか。

小島氏:Eloqua社はトップランナーというユーザーのコミュニティが英語ベースであり、日本でもこういう何かしらのコミュニティを形成していきたいと考えています。
トップランナーのようなWebコミュニティとなるのか、あるいはリアルなユーザー会という形になるのかは検討中ですが、そういった「場」を提供することはベースを固める意味でも重要であると思っています。

─Eloquaの展望やオラクル社に期待することはありますか。

庭山:日本の製造業はグローバルでマーケティングを展開しなければ生き残ることはできません。そのグローバルプラットホームとしては、Eloquaはとてもいいと思います。日本の製造業はマーケティング以外では未だに世界のトップであり、尊敬もされていますから、唯一の弱点であるマーケティングをキャッチアップするためのツールとして日本でもEloquaが普及していくことを期待しています。

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本格的に動き始めてきた日本のBtoBマーケティング。日本企業の唯一の弱点であるマーケティングを強化することで、明るい未来が切り開けることでしょう。

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