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ホーム > インタビュー > スペシャル対談[日本オラクル株式会社] Oracle Eloquaが日本に来て約2年 BtoB企業の「現状」と「これから」(前編)
2016.08.23
2014年、世界的MAブームから10年遅れ日本にもMAが登場しました。この2年間、日本のマーケティングはどう変化したのでしょうか。日本オラクルの塚越氏とシンフォニーマーケティング代表の庭山が対談し、BtoBマーケティングの現状に迫ります。
庭山:2014年、日本に複数のベンダーが来てMAがローンチしたころ、ちょうど日経BP社の連載で「『MAの屍の山』を築かないために今やるべきこと」という物騒なコラムを書いたんですが、今まさにその状況が起きています。「オートメーション」という言葉が先走り、魔法の道具のように認識されてしまい、MAを導入した企業からは失望の声が上がり、それを見ていた企業からは「今は時期尚早だ」という見方をされ、ちょっと良くない傾向にあるなというのが我々の危惧しているところです。
塚越氏:この2年間を振り返ると、日本ではチャレンジの連続でした。まず背景として、当初オラクルは国内ではデータベースの会社と認識されていて、MAを取り扱っていることは十分に周知されていませんでした。ごく一部のお客様が「オラクルが日本でEloquaを扱い始めた」と正しく認識しているにすぎなかったんですが、そこから2年間で引き合いも大幅に増加しました。
庭山さんが言われたような「オートメーション」の誤解というのは、お客様との会話の中でも散見します。ある製造業のお客様からは名前を変えるように言われました。その方にとってはオートメーションというと、マニュファクチャリングオートメーションやエンジニアリングオートメーションのようなものであって、MAは営業か、宣伝か、何をオートメーション化するのか分からない上に、そもそも最も人が介在するところだから不可能だろう、と思われてしまったんですね。
庭山:実際に日本では「マーケティングが楽になりますよ」「マーケティングを自動化できますよ」と言って売っている企業もあるようです。実は日本とは違い、アメリカではMAをパートナーとして売っているのは、マーケティングエージェンシーです。日本ではよくある、導入したけど自動化できないとか、人が減らせると言っていたのにできないとか、そもそも誰に聞いたの?というような失敗も、アメリカやヨーロッパでは聞いたことがありません。
塚越氏:BtoBの世界は、営業がお客様の信頼を得ること、購買担当や技術研修している方の信頼を得ること、そして営業が足でまわり心でとってくるもの、というイメージが染み付いています。それをデジタルで置き換えられるという誤解や狙いがお客様にあり、それを助けるツールであるという認識が広まらず、営業部門からも反発の声が多いというのが現状です。
塚越氏:数倍に増えました。導入されるのはマーケティング部門が多いです。中小企業だと最後の最後までマーケの方と会話をして成約になります。一方、大企業の場合は途中からIT部門も参加し、他社との比較資料や機能検討項目が大量に出てきて、本質的にやりたいマーケティングって違いますよねという話になるケースが多い印象です。
庭山:なかなかうまく使いこなせている企業は少ないように思います。なぜなら、ツールを先行して導入するケースが多いからです。まず、どういうマーケティングをしたいのか、するべきなのかを徹底的に話し合うことが重要となります。
例えば、現在どういうマーケティングをしているのか、営業は直販なのか間接販売なのか、それとも2次店・3次店がいるのか、SFAは何が入っているのか、案件単価や営業マンのリソースなども確認します。
それが要件定義になり、ツールを選ぶことができるようになります。やりたいマーケティングに照らし合わせて道具を選ぶんです。
塚越氏:我々のところにご相談いただくケースは、どうしてもオラクルだからこのツールという話になります。ツールの実現性を問われて、我々がそれにちゃんと答えたところで案件として進まないんですね。最終的に何がやりたいのかっていうのがないと、お客様の予算も落ちてこない。「私の会社は今こういう状態で、こうしたい。そこの差分を埋めるすべがないからどうにかしたい」というくらい明確に、どういうマーケティングをしたいか固まっているお客様はごく一部に限られますね。
庭山:自分たちのやるべきマーケティングを設計できる会社は、日本にはほとんどないんですね。マーケティングの中でも全体最適の基本設計は、ものすごくスキルがいるんです。リサーチやブランディングに長けた企業や人材は多くいますが、より営業に近いデマンドジェネレーションやアカウントベースドマーケティングのようなノウハウを蓄積できている企業は少ないのが現状ではないでしょうか。