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2021.04.19

BtoBマーケターのスキルはクロスキャリアで創られる

text:シンフォニーマーケティング代表取締役 庭山一郎

理論と実務を綾織りにして積み上げていくBtoBマーケティングのスキル。そのキャリアプランはどういうものがあるのか?私なりの考えを書いてみました。

日本のBtoB企業にもようやくマーケティングを強化しようという機運が見えてきて、それに連れて若い方から「マーケターとしてスキルアップするにはどうしたら良いですか?」という質問をいただくようになりました。今日はそれを書いてみようと思います。

先ずここで言うマーケティングとはツールの操作方法ではありません。SEOなどの運用でもなくイベントの仕切りでもありません。マーケティングは経営戦略と表裏一体を成し、顧客を創造し、維持・発展するための極めて重要な戦略です。そこを学ばなければ部分最適のオペレーターになるしかありません。今日本に必要なのは商材ごとに“全体最適”でマーケティングを設計し、実施しながら軌道修正できるプロフェッショナルです。ではそうしたプロフェッショナルマーケターになるにはどんな方法があるのでしょうか?

どんな職種でも同じだと思いますが、プロとして腕を磨くには仕事の「量」と「質」が必要です。量が必要な理由は、例え質の高い仕事であっても1度しか経験しなければ想い出や自慢話にはなるかも知れませんがスキルにはならないからです。質が必要な理由は、要求レベルの低い仕事をたくさんすればスキルは上がるどころかむしろダウンするからです。

そういう意味ではスキルを身につけるひとつの選択肢はマーケティングサービスサプライヤーと事業会社を数年単位で往き来するキャリアプランです。「量」は圧倒的にマーケティングサービス会社で経験できます。しかも多くの企業のさまざまな製品やサービスのマーケティングをパラレルで体験することで短期間にスキルを上げることが出来ます。
一方、事業者サイドでは当事者として製品開発からブランディング、プレスリリース、イベント、リードジェネレーション 、チャネルマネジメントなどに深く広範囲に関わることで「質」を追求することが出来ます。この両者を交互に経験するキャリアプランが欧米でも多いのはそういう理由です。

さらに両方を経験することで自分の適性を知ることもできます。実はプロのマーケターでも居心地の良い場所は人それぞれ違うのです。ひとつの製品やサービスのマーケティングをじっくりやりたい人もいるでしょうし、多くの商材のマーケティングを日々パラレルで体験したいタイプもいるはずです。

私はと言えば完全にサービスサイドの方が心地良いタイプの人間です。ある日の午前中は半導体デバイスの新製品のマーケティング会議に参加し、その日の午後には機能性樹脂の、その次は工作機械のマーケティング会議に参加し、さらに翌日は建設資材とタレントマネジメントシステムのマーケティングプランを、と日々異なる商材や異なるステージ、市場、そして業界順位の商材のマーケティングに参加しています。マーケティングが根っから好きなのでいろいろな企業のそれぞれ異なるターゲットセグメントポジショニングを持った製品やサービスと関われる方をどうしても選んでしまいます。

そういう視点で行くと私のおすすめは、吸収力があって体力もある若い内にマーケティングサービスサイドに身を置いて「量」を経験しスキルを磨く、そして力が付いてきたら事業者サイドに転職してじっくり「質」を追求する。そして両者をそれぞれ3〜5年以上経験した後で、残りのキャリアをどちらに身を置くか決める、というものです。どちらも体験しないと分からない事が多く、1〜2年で分かるという程浅い世界ではありません。

自分のマーケターとしてのキャリアプランをそんな風に考えてみてはいかがでしょうか?

私は、実力のあるBtoBマーケターならば今後20年は絶対に引く手あまたのひっぱりだこだと思っています。日本ではこの専門職の需要と供給のバランスが取れるのに20年でもまだ足りないからです。

じっくり時間とお金を掛けたとしても、本当の実力を身につければ十分に自分への投資を回収できる世界なのです。