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2018.12.03

私のマーテック観察の流儀

text:シンフォニーマーケティング代表取締役 庭山一郎

2000年にEloquaが誕生してからわずか18年の間にマーケティングソリューションの数は7,000を超えました。日々新たなツールが生まれ進化していますが、マーケティングの本質は変わりません。変わったことは、マーケティングを実現するための技術なのです。

世界で初めてのMA(Marketing Automation)が誕生したのは2000年、カナダのトロントでの事でした。当時チャットシステムを開発していたマーク・オーガンとスティーブン・ウッズが開発したEloquaです。もちろんそれ以前にも、多くのCRMSFAがあり、UnicaのようなキャンペーンマネジメントもあればOPENTEXTのようなCMSも在り、SASやSPSSのような分析ツールもありました。それでもそれぞれのブランドや特徴を把握できる数だったように思います。

その後、マーケティングソリューションの数は文字通り幾何級数的に増え、2018年は7,000を超えたと言われています。いったい誰がそれを数えたかも分かりませんが、膨大なマーケティングソリューションが存在し、日々分裂、増殖を繰り返していることは事実でしょう。つい先日も、日本でも大きなシェアを持つMarketoがAdobeに買収され話題を呼びました。まさに諸行無常(この世に変化しないものごとは存在しない)の状態です。

でも、変らないものも在ります。私がマーケティングを学び始めた36年前に「正しい人に正しい情報を正しいタイミングで届ける(Right Person, Right Information, Right Timing)こそがマーケティングの要諦だ」と教えてもらいました。この原則は今でも微塵も変わっていません。変わったのはそれを実現するための技術なのです。「誰が正しい人なのか?」「その人にとって正しい情報とは何なのか?」「正しいタイミングとはいつなのか?」を知るためのテクノロジーを米国はもちろん、欧州やイスラエルのエンジニアが日々血眼で開発しており、その進化がマーケティングソリューションの爆発的な増加のベースになっています。

また、情報を載せるビークルチャネル)の変化も大きく、紙のDMや情報誌、それを人がデリバリーする訪問販売、Fax配信後に大規模コールセンターから一斉にコールするなどの手法から、インターネット基点になっています。そのインターネットも、ポータルサイトからSNSオウンドメディアへ、そしてセカンドパーティやサードパーティデータの複合活用へと進化が続いています。

私はこうした大きな流れとその実績はウォッチするべきだとしても、個々のツールをチェックする時代は終わったと考えています。そもそも多くのツールはクラウドベースで提供されており、今日と明日で機能が異なることが普通です。買収や業務提携で手に入れたモジュールを実装し、インターフェースデザインを一新すれば、あっと言う間にまったく別のソリューションになる時代なのです。

私は、技術やツールを見るときに、それを開発している企業や人、そして大切にしている「企業文化」を見ることにしています。創業者がどんな「想い」で「何を解決しようと考えて創ったのか?」「その文化が今でも継承されているのか?」という事を注意深く観察すると、その企業が開発するソリューションの方向性が見えてくるように思うのです。もちろん残念ながらそこが無く、ただブームに乗って先行企業の真似だけをしている企業も存在しますし、経営者の交代によって失われてしまう企業文化もあります。ツールは人間が創り、人間が使います。文字通り道具なのです。だからこそ魂が無いのもは使い勝手が悪く、進化もしないと考えているのです。